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見たこともない風景

今回から長い間やってみたかった東方二次創作に着手します。

今回のお話しは幻想郷にやって来た半獣少女が記憶を探しながら幻想郷で暮らすお話しです。


・・・・? ここは何処だろう、沢山の木々が周りには覆い茂っている。

私はこんな所は知らない・・・・いや、そもそも、私は何者?

なんの記憶も無い、名前も覚えていない・・・・自分が何をしていたのか

何でこんな場所にいるのか、それすら分からない。


「よく分からないけど・・・・動かないと駄目かな、あれ? 体に力が」


うぅ、足に力が入らない、立つのも凄く難しい。

私は四苦八苦しながら、近くに生えている木にもたれ掛かり、ゆっくりと立つことに成功した。

何でただ立つだけなのに、ただ歩くだけなのに、こんなに辛いの?


「うぅ、しんどいけど、進まないと」


私は重たい足を引きずりながら、ゆっくりと進んだ。

そして、しばらく歩いていると、周りの木が晴れ

目の前にとても広い湖が見えた、その湖は霧が立ちこめ、全体を見ることは出来そうに無い。

まだ明るいのに全体図が見えない霧の湖、何だかとても凄い光景だ。


「凄い」


私はしばらくの間、その湖に釘付けになってしまった。

よくよく見ると、その霧の中を飛び回っている小さな子どもの様な影がいくつかある。

どう考えても対岸の子供が遊んでいるようには見えない、だって明らかに高いところで動いている。

更に上下左右にふわふわと動いている、どう考えても空を飛んでいるとしか思えない。


「わぁ、凄いなぁ」


私は空を飛べる子供が居るなんて事を初めて知った。

いや、そもそも今までの記憶が無いんだから、今の私には全てが新鮮に見える。

記憶があったらこんな事を思うことも無かったんだろうなぁ。

記憶が無いのは不便だけど、そういう所は意外と良いかもしれない

どれだけ長生きしていても、記憶が無くなれば全てが新鮮に感じる

毎日が未知との遭遇、きっと無知は凄く幸せなことなのかも知れない。

だとしても、私は記憶を取り戻さないと駄目かな、このままだと家に変帰ることが出来ないよ。

とにかく今は歩くしか無い、体が重たいけど、必死に進めば何かあるはず。


「はぁ、はぁ」


湖の畔をゆっくりと進んでいった、それにしても、本当に広い湖だなぁ。

あれ? 何だか凄く赤い館がある、大きいなぁ、行ってみよう!


「うーん、門番は退屈ですね」


何だか緑色の服を着ている人が大きな門の前で変な動きをしている。

頭には帽子を被っていて、星のマークが付いて、そこに龍って書いてる。

赤髪で髪の毛が長く、三つ編みが似合う・・・・背も高いし、胸も大きい。

凄いなぁ、あのスタイル、とても憧れるよ、私はちんちくりんだし。

・・・・うぅ、私のお胸、全くないじゃん・・・・はぁ、背も低いしなぁ。


「ふぅ、今日の運動は終わり、それにしても暇です・・・・あ、眠いかも」


どうしようかな、話しかけようかな、あまり害が無さそうだし話しかけても大丈夫かも。

でも、怒られちゃったらどうしようかな、うぅ、話しかけるのが怖いよ。

だけど、やっぱり勇気を出して最初の一歩を踏み出さないと! うん、そうしよう!

私は気合いを入れるために、自分の顔を強く叩いた。


「うぅ、痛い」


ちょっと気合いを入れすぎたせいで、妙に顔が痛くなってしまった。

大きな音も出たし、もしかしたら気が付かれちゃってるかな?

いや、でも動かないし、気が付いてないのかな? とにかく話しかけよう。


「あ、あの」


私はゆっくりとその女の人に近寄り、小さく声を掛けてみた・・・・

が、返事は無い、怒ってるのかな? それとも声が小さすぎたのかな?

も、もうちょっと勇気を出して、大きな声で!


「あ、あの!」

「・・・・」


うぅ、私の渾身の大声も聞えないなんて・・・・私の声ってそんなに小さいんだ。

あぁ、凄く自信がなくなった、もう駄目かも知れない・・・・


「zzz」

「ん?」


私がうなだれていると、あの女の人の方から寝息のような音が聞えてきた気がした。

そして、その音を聞いて、彼女の方を見てみると・・・・ね、寝ていた。

目を瞑って、グッスリと眠っている・・・・あ、あれ? おかしいな、確かさっきまで・・・・あれ?


「はぁ」


私がその状況にあっけにとられていると、何処からか小さなため息と指を鳴らす音がした。

すると私の目の前の風景が一瞬で変化し、私は赤い1室で誰かに抱えられていた。


「あ、あれ!? あれ!? え? え!?」

「お嬢様、門の前にて侵入者を捕獲しましたが、いかがしますか?」

「え!? え!?」


私がかなり困惑しながら、前の方を見てみると、そこには小さな女の子が座っていた。

彼女は白色のドレスを着ていて、腰には赤いリボン、袖にも赤いリボンが付いていて

腕にはふりふりした白と赤のシュシュ、白色の帽子を被っており、そこも赤いリボンが付いている。

髪の毛は青っぽく短く目の色は真っ赤で背中にはコウモリみたいな羽が生えている。


「咲夜、それは侵入者というのかしら?」

「明らかに不自然な場所に居た物で、それで、いかが致しましょう? 排除しますか?」

「は、排除!? あ、あ、あ、あの、わ、私、悪い事はしてません! だから、殺さないで!」

「子犬みたいな反応をする子ね」

「耳と尻尾も生えていますし、恐らく子犬の妖怪なのでは?」

「もしそうなら、結構可愛らしいかも知れないわね、でも、人の耳が生えてるってのは特殊ね」


お嬢様と呼ばれていた女の子が、私の方を見てクスクスと笑っている。


「まぁ、とりあえず排除する必要は無いわ、少し興味が湧いたから」

「そうですか、それではいかが致しましょう?」

「この子をここに置いて、元の仕事に戻って頂戴」

「はい」


お嬢様という人に指示を受けた私を担いでいた女の人は指を鳴らした後姿を消した。

そして、抱えられていた私はいつの間にか立っている状態になっていた。


「はえ!? あ、あれ!? え!? どうして!? え!?」

「そう動揺しないで良いわ、ただ咲夜が時間を操っただけよ」

「え? 時間を操る? え!? ど、どういうことですか!?」

「そのままの意味よ、咲夜は時間を操れるの」


時間を操る? ど、どういう意味だろう、そんな事が出来るの?

そんなとんでもない事が出来る人がいるって言うの!?


「それよりも、あなた」

「は、はい!」

「見た目通り犬の妖怪なの?」


犬の妖怪? 私は自分の姿を見たことがないから分からないけど、そうなのかな


「え? あの」

「質問に答えなさい」

「えっと、わ、分かりません」

「分からない? 自分の事なのに?」

「・・・・はい、記憶が無いんです、自分が何者なのか、自分がどこから来たのか

 ここが何処なのか、もう、全部分からなくって」

「ふーん、そう」


私の話を聞いた後、彼女は悪い笑みを浮かべた。


「じゃあ、協力して上げるわ、あなたの記憶を取り戻すことに」

「ほ、本当ですか!?」

「えぇ、丁度退屈していたの・・・・でも、その代わり」

「そ、その代わり?」

「紅魔館で働いて貰うわ」

「え?」

「あなたの仕事は私達の犬よ」


い、犬? え? な、え? どういうこと!? どういうこと!?

何でいきなり犬扱いされないと行けないの!?


「ど、どうして」

「パチェには小悪魔って言うペットがいるのに、私にはいないのが気にくわないのよ」

「え? 小悪魔って? パチェって? どういうことですか?」

「まぁ、今は知らなくても良いわ、でも、私の犬だから、その内覚えれるわ」

「そ、そんなぁ!」

「それじゃあ、あなたに名前を付けて上げるわよ、そうね・・・・ケルベロスね」

「凄く可愛くないです!」

「文句言うんじゃ無いの、嫌なら自分の名前を思い出しなさい」


うぅ、どうしよう、このまま名前を思い出さないと、私の名前がケルベロスに。

それは嫌だ、そんな可愛くない名前は絶対に嫌だ! 思い出せ、思い出すんだ

・・・・私が自分の記憶を全力で探していると、ある言葉が私の頭の中で再生された。


(フィール、あなたはこの世界にいられない、この世界ではあなたは生きていけない

 だから、あなたは幻想の中に生きるのよ)


誰の声だろう、私にはそれは分からなかったけど、とても懐かしい気持ちになった。

そして、その言葉の中に私の名前と思われる単語があった、そう、フェールだ。


「・・・・フィール、それが私の名前・・・・だと、思います」

「ハッキリしないわね、断定できないの?」

「はい、でも、そうだと思います」

「ふーん、でもあれね、いちいち伸ばすのは面倒だし、あなたはこれからフィルね」

「えっと、はい」


凄く名前が変わったわけじゃ無いし、呼びにくいなら仕方ない。

それに、これが私の名前だって断定できないから多少変わっても問題は無いよね。


「そう、それじゃあ、あなたはフィルね、これからペットとして頑張って貰うわ」

「うぅ、やっぱりペットですか?」

「そうね、小動物っぽいし、その方が面白そうだから」


そんな曖昧な理由でペットにされちゃうなんてなぁ。


「所であなた、そのマフラーは何かしら?」

「マフラ-? あ、本当だ」


私の首には赤いマフラーが巻いてあった、普通ならすぐに取りたいのだけど

何故だかこのマフラーはとても暖かく、取りたいとは思う気持ちは薄れていく。


「やっぱり何で巻いているのかも気が付かなかったのね」

「はい、今まで巻いていることにすら気が付きませんでした」

「そう、馴染んでいるのかしら」

「多分そうだと思います」


今まで気が付かないほどに馴染んでいるマフラーだし、取らないでも良いよね

その内暑くなってきたら取ればいいや、それまでは巻いておこう。


「それじゃあ、今日からここがあなたの家ね、それと部屋も案内しましょうか」

「あ、はい」

「そうそう、私の名前を言ってなかったわね、私の名前はレミリア

 レミリア・スカーレットよ、この紅魔館の主をしているわ」

「凄く小さいのに凄いですね」

「一言余計よ、そもそも、あなたも私より少し背が高い程度じゃ無いの」

「えっと、そうですね」


でも、私とレミリアさんとの身長差は20センチくらいある気がする。

自分の身長は分からないけど、咲夜さんと比べるとかなり小さいと思う

あと、あの緑色の服の人と列ぶと私の身長だと、あの人の胸辺りまでしか無い。

多分、レミリアさんの身長だと緑色の服の人のお腹辺り位だと思う。


「さて、ここがあなたの部屋よ、ゆっくりくつろぐと良いわ」

「わぁ、凄いですね」


私が案内された部屋はとても広く、ベットも大きかった。

多分2人同時に眠ることも出来そう、いや、もしかしたら3人かも?

とにかく、それ位広いベット、部屋はその大きなベットが後2つくらい入りそうな程に広い。

もしかしたら、それ以上入るかも知れないけど、多分それ位だと思う。

大きな机と椅子もあるし、とても豪華な部屋だ。


「当たり前よ、私の館なんだから」

「凄いですね、レミリアさん」

「ご主人様かお嬢様と呼びなさい、ペットの分際で私の名前を気安く呼ばない事ね」

「あ、はい、すみませんレミリ・・・・えっと、お嬢様」

「ご主人様とは言わないのかしら?」

「その、それはちょっと恥ずかしいので」

「そう、まぁ、その内呼ぶことを願っているわ」


あはは、ご主人様って呼ぶのはかなりキツそうだなぁ。

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