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機関と組織

 彼方は八重に連れられて、郊外の私有地の森の中を歩いている。


 「お、おい。ここ私有地だぞ!怒られる前に出ないと」


 「大丈夫ですよ。ここは機関が買い取った私有地なので問題ないです。もう観念して付いてきてください!」


 そう言われ諦めるように彼方は八重について書くことにした。

 そして森の奥に入ると一軒の洋館が建っており、八重が中に入るとメイド服をきた女性が出迎えていた。

 メイド服と言っても某電気街のお店にあるようなものじゃなく欧州にあるようなクラシカルな正装だった。


 「お帰りなさいませ。八重様、そちらの方は?」


 「ただいま、氷室さん。クラスメイトで新しく発見した異能者です。応接室借りますね」


 「はい。それでは後程紅茶とお茶請けを持っていきますね」


 そう言って氷室と呼ばれた女性は屋敷の奥に消えていった。

 そして、八重は彼方を連れて応接室に向かい、机を挟み備え付けのソファーに座らせた。


 「さて、御空君。聞きたいことを答えます。まず何が知りたいんですか?」


 学校で見せる可愛らしい笑顔を見せながら、彼方を見る。


 「卯木……君は何者なんだ。異能ってなんなんだ。機関や組織のこと教えてくれ」


 「……先程言ったように私は異能者を組織から守る機関のエージェントです。機関の命令で御空君と同じ学校にさせてもらってます。あ、一応言っておきますけど私はちゃんと貴方達と同い年ですからね!」


 「いや、そこは別に聞いてないんだけど……」


 学校で見た八重とのギャップに彼方は少し引いていた。


 「えぇと、次は異能の話ですね。異能とは血筋とは関係なく個人に現れる特殊な能力です。俗に言う超能力者もこの分類に入りますね」


 「ん?血筋は関係ないのか?フールは血族専用とは言ってたんだけど……」


 彼方は八重の説明に首を傾げる。


 「フール?それが御空君の異能なんですか?」


 「あぁ、そっか。フール、出て来いよ」


 「はい。マスターの質問には私が答えましょう!」


 彼方のポケットからフールが飛び出てくる。


 「うおっ!?お前そんな所にいたのか!」


 「はい。マスターからの帰還命令もありませんでしたし、入りやすかったポケットに隠れさせてもらいました」


 「会話の応対も出来るし、状況判断した上で行動を起こせる……魔術師の作るゴーレムとは違うようですね」


 彼方とフールの話しているところをみて、八重はフールの様子に感心していた。


 「当たり前です!キリュシリア様が創造してくれたのです!そこいらのゴーレムやホムンクルスと同じにされては困ります!」


 「ご、ごめんなさい」


 フールの剣幕に押され八重は反射的に謝ってしまう。


 「お、落ち着け。卯木が困惑するだろう」


 「了解しました。それでは質問に答えましょう。マスターには言いましたが、キリュシリア様は元々幾つかの異能を持っていてそれを組み合わせて作られたのが私達になります」


 「なっ!?複数持ちですか!?そんなのありえません!異能とは本来、個人の深層意識が表面化したものか、なんらかの影響により本人の資質関係なしに発現した単一たんいつの能力です!そんなのありえるはずが……」


 八重は手で机を叩きつけながら立ち上がる。


 「しかし、私達はここに存在していますよ?」


 「た、確かに現物である貴方がここに存在している以上どれだけ否定したとしても無駄になりますね」


 フールの言葉になにも返せなくなった八重は落ち着いたのか再び着席した。


 「脱線しましたね。次に組織と機関についてですね。まず組織とはここに来る前に言ったようにとある目的の為に異能者の拉致などを行う集団であり、機関はそれに対抗するために創立された政府公認の秘匿集団です」


 「く、国も関与してるのか」


 「通常の犯罪者と違い異能者が相手では警察で対応できませんからね。餅は餅屋に頼むのが一番ですよ。魔術師や異能者が犯罪や暴走した時のために私達機関の者が対応することになっています。そして、今や組織による異能者、魔術師の拉致などが増えていて、その調査のため私はここに派遣されました」


 彼方はあまりにスケールの大きな話に現実逃避をしそうになるが八重が続きを話そうとしているので意識を八重に傾けることにした。


 「そして、組織の目的とは異能者、魔術師による世界の支配。組織が上位に立ち、それ以外の者を支配下に置くのが最終目的と上司から聞いています」


 「そんなこと可能なのか?現代なら銃とかの現代兵器で対抗できるんじゃのか?」


 「今はたぶん不可能ですけど、もしなんらかの力を得た場合、立場が逆転する可能性もあります。異能の相性によれば銃の無効化も簡単ですしね」


 彼方はもしそんな世界になったことを考える。

 異能力に目覚めた彼方はともかく能力を持たない彼方の家族や真琴達のような友人達が隷属させられると思うと、ゾッとした。


 「……なぁ、俺はどうすればいいんだ?もし奴等にまた会ったときの対処や家族や友達を守るときどうすれば良い?」


 「……その為に私は貴方を連れてきました。貴方には幾つか守っていただきたい事があります。1つ目、機関や組織の事など一般市民に教えない。これは一般市民に混乱を与えない為に絶対に秘匿してください。2つ目、御空君にはこれを渡しておきます」


 八重はメモを一枚と小さな機械を渡される。


 「これは?」


 「片方は私の連絡先です。何かあったときにこちらに連絡してください。もう片方は発信器のようなものです。機関が見つけた異能者を管理する為に必要なので可能な限り持っていてくださいね」


 「わかった。他にないのか?」


 「そうですね……それじゃあ鍛えましょうか」


 「えっ?」

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