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組織の会合

 彼方が八重に連れられた日の夜中、とある廃墟のホテルの一室の前にある男がいた。

 彼方を襲った男、永塚地竜也なかつかじ たつやは部屋の前でため息をついていた。


 「はぁ、ったく。気が重いぜ」


 遅刻した上に機関のエージェントに放り投げられて、まだどこのにも所属してないらしき男も逃してしまった事を仲間に言われること考えると竜也は気が重かった。


 「入るぞ」


 部屋の中に入ると四人の男女が椅子やベッドの上に座り待っていた。

 内容としては男一人に女三人であり、どうやら竜也が来るのを待っていたようだった。


 「遅い。一時間の遅刻です。一体どこで油を売っていたんですか?」


 肩甲骨辺りまで伸びたら髪を後ろで束ねた眼鏡の女性が遅刻した永塚地に向かい言葉を吐き捨てるようにいう。


 「うるせぇ、相変わらず硬いんだよ。多良崎たらさき


 多良崎と呼ばれた女性は横柄な態度をとる永塚地に一言言おうとすると別の女性が間に入り止める。


 「いいじゃない。いくら時間にルーズな永塚地と言ってもここまで遅れるのには理由があるんじゃない?それに服の汚れかたからして誰かと交戦したんでしょ?」


 女性はウェーブをかけたロングで露出の高い服を着ているので話し方と相まって妖艶な雰囲気を醸し出していた。


 「木野宮このみやさん…」


 「ちっ、バレてたか。あぁ、そうだよ。機関のエージェントと思わしき奴と交戦した。逃げられちまったがな」


 その言葉を聞き、全員が竜也の方を見る。

 竜也は続けて何があったかを説明する。


 「へぇ、どうだった?強そうだった?」


 多良崎と竜也の口喧嘩をニヤニヤと見ていた男が声をかける。

 竜也に比べればかなり痩せ型で陰気な感じが漂っていた。


 「さぁな。俺も一瞬の隙を突かれて投げ飛ばされたからよくわかんねぇが、応用力がありそうな異能には間違いないな」


 「ほぅ、出来れば正面からやりあいたくないねぇ。俺は後ろで頑張るタイプだし、美里ちゃんや木野宮の姐さんに頑張ってもらわないとね!」


 「山曽根やまぞねさん!貴方はもっと組織の一員としてもっと働いてください!というか下の名前で呼ばないでください!」


 多良崎はベッドの上でごろついている山曽根に声を荒らげるも当の本人は気にした様子はなかった。

 

 「全く、お前はもう少し静かにしろよ。もし肝試しにきた一般人がいたら、この場所がバレるだろうが」


 「ぐぅ、元々貴方がその二人を逃がさなければ良かった話でしょうが!」


 「あぁ?何もないより生きて情報を得れただけでも御の字じゃねか!」


 またしても一触即発の状態になる二人に横から声が掛かる。


 「止めてください」


 その声と共に多良崎と竜也が上から押さえつけられるよう踞る。


 「ぐっ」


 「うぅ」


 「確かに永塚地さんが逃がさなければこんなことにはならなかったでしょうが交戦し逆に捕らえられてこちらの情報を渡るよりかは幾分マシです。多良崎さん、そこまでにしてあげましょう」


 椅子に座った女性が足を組み、二人に言い放つ。


 「わ、わかりました。隊長」


 「永塚地さんの情報提供はよくやったと思いますが厄介事を残してしまったのには間違いありません。その分働いてもらいますね?」


 「あ、あぁ」


 「ならいいです。今日の私は機嫌が良いので許してあげますね」


 竜也の言葉を聞き機嫌の良くなった女性は後の指示を多良崎に言ったあと出ていき、二人を押さえつけていた異能を解除した。


 「本当にあいつに自由にしてるな。なぁ、多良崎。あいつは正規の隊員じゃないんだろ?」


 「えぇ、基本はフリーの異能者らしいですね。戦闘能力、戦闘頭脳なども優秀で私達よりも有能で上層部のお気に入りらしいです」


 「あんなに美人さんだから上の爺さん連中が変な意味で起用してるかもしれないねぇ?」


 山曽根がちゃちゃいれるように楽しそうにいう。


 「な、何をいってるんですか!」


 「一見、真面目そうだがあいつはなんかヤバイ感じがする。戦闘だけじゃなくてあいつの人間性がな」


 大きくはなかったが竜也のその声は周りに響いた。

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