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女教皇の召喚と名付け

目の前で微笑む『女教皇』に彼方は目を放せなかった。

目の前にいた彼女はさっきまでいたマギとは別系統の美しさを持っていた。

マギが薔薇のような豪奢で棘のあるイメージなら女教皇は百合の花のような可憐で儚げなイメージを連想させられる佇まいである。

腰までさらさらな金の髪にその隙間から見える澄んだ青い瞳は宝石のように美しく、白ベースに青と金の線の司祭のような服、スカートには大きなスリットが入っており、そこからは細く美しい足が見えている。

胸元がかなり窮屈そうに見えるが本人の表情は苦しそうではなかった。


「主様?どうかなさいましたか?」


心配そうに女教皇は顎に手を当てて首をかしげる。

そう言われ自分が固まっていたことに気付いた彼方は気恥ずかしそうに頭を掻きながら目をそらした。


「だ、大丈夫!ただその……魔術師のマギもそうだったんだけど二人とも美人で露出が高い服を着てるから目のやり場がちょっと……」


「あ、えっ?そ、そういうことだったのですね。申し訳ありません。ですがこの衣服は創造者たるキルシュリア様が私達のために作っていただいた大切なものなので脱ぎたくないのです」


手でスリット部分を押さえながら女教皇は顔を赤らめながら答える。


「あ、あぁ。そのままで大丈夫だ。まぁ、ベッドにでも座ってくれ。俺も椅子に座るから」


しどろもどろにそう言い彼方は女教皇を座らせて、彼方は近くにあった勉強机の椅子に座る。

きわどい服装でいるため彼方はつい視線が何ヵ所かに流れてしまいそうだが顔を見つめるようにして視線を固定する。


「えーと、女教皇はなんで召喚に応じてくれたんだ?フールは俺が卯木を助けようとしたからじゃないかといってたけど……」


「はい。その通りですよ。少なくとも私はあの少女を守ろうと勇気に心打たれ、召喚に応じました」


ふふふっと優しく微笑みながら女教皇は彼方の言葉に答えた。


「おそらく、正義と恋愛も私と同じ理由で召喚に応じたのでしょう。……優しき主様、先ほど魔術師に名前を付けていましたが私にも付けてもらえないでしょうか?」


「えっ!?」


「愚者と魔術師だけ名付けなんて羨ましいです。主様がよろしければですが、付けてもらえると嬉しいのです」


女教皇の言葉に彼方はうーんっと悩む。

付けてあげたいのはやまやまであるが、いきなり事で中々いい名前が思い付かないのである。


「女教皇……ハイ・プリーステス……うーん、プリティアとかどうだ?」


プリーステスの部分から少し変化させた苦し紛れの名前を彼方は女教皇に提案する。

そして、それを聞いた女教皇は嬉しそうに微笑んでいた。


「プリティア……ふふふ、素敵な名前ありがとうございます。この『女教皇』のプリティアは貴方に改めて従います。私の力は貴方に知恵を授けることです。または神託……簡単に言うなら直感力の強化です。戦えない身ですがどうぞよしなに」


女教皇……プリティアは立ち上がり、彼方の前までいくと膝をついて祈るような格好をする。

洗礼されたその姿は一つの絵画に描かれていもような美しさであり彼方も見とれてしまっていた。


「これが私なりの忠誠の誓い方です。それでは次のアルカナと交代しましょうか。主様、正義は騎士道精神が強く、生真面目な子です。融通の聞かないこともありますが優しく見守ってあげてくださいね。逆に恋愛は自由奔放で主様ごと振り回してしまうかもしれませんが、それがあの子の長所であります。仲良くしてあげてください」


「あぁ、任せてくれ!」


彼方がそう言うと微笑みながら女教皇は消えていった。


「次は正義か……生真面目っていってたけど力になってくれるならこれからの戦いも楽になる。認めくれるといいな」


彼方は手をかざし、次のアルカナを呼ぶ。

強烈な光が周囲を白く染め、そこから現れたのは白と赤の鎧を纏う騎士がいた。

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