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魔術師との再開、繋がる絆

 朔夜の所から帰った彼方は自分の部屋に入るとベッドに鞄投げ下ろし、タロットカードを取り出す。


「フール。新しいアルカナを呼び出していいのか?」


「はい!三人を召喚する前にまずは魔術師を呼びましょう。この前力になってもらいましたしコミュニケーションを取っておくべ気です!」


確かに……と彼方は納得する。

魔術師はあのあと一度も召喚していないのでお礼も言えずになっていたのだ。


「そうだな……よし。来い!『魔術師』!」


彼方が目の前に手を出し、念じると魔術師の絵が描かれたカードが現れ、空中に浮いたままのカードは激しく光だす。


「眩しいッ!」


あまりの眩しさに彼方は手で顔を隠す。

ほんの数秒で光は収まり、彼方が手を離すと目の前にはあの夜に見た魔術師が彼方を面白そうに見ていた。


「昨日ぶりね。私の主、いきなり呼び出すなんてどうしたのかしら?」


クスクスと笑いながらからかうように彼方に尋ねる。


「あ、うん。魔術師、昨日は助けてくれてありがとう。助けてくれなければきっとあいつに勝てなかったはずだ。だからそのお礼を言いたくて呼んだんだ」


「あら、そうなの?そんな気にしなくてもいいわ。だって主に従い、役に立つことが私達アルカナの存在理由だし、当然の行為だわ」


魔術師はベッドに腰かけて足を組み、彼方の言葉を返す。

立ったままの彼方は初めて召喚した時少ししか見れなかったが魔術師をみていたがあることに気づいたか顔を赤く染めて横に視線を向けた。

元々顔を整っており、スタイルが良い上、スリットが深いローブとマーメイドドレスのような肩から胸の露出が多い格好の為、そちらに目がいってしまったのだった。

魔術師の姿がフールより人間サイズでほとんど外見が人間と変わらないというのも原因のひとつであるのだろう。


「……?あぁ、そういうことね。フフッ、私の主は初心なのね」


からかうような声で艶かしく微笑みながら魔術師は彼方をみる。


「し、仕方ないだろ!魔術師が美人なんだからさ!と、とりあえずフールもそうなんだが俺はお前達アルカナを道具としてじゃなくて対等にいたいと思うんだ。だから、嫌だと思うことは言ってほしい。流石に人殺しとか犯罪は許容出来ないけど共にいるんだからお互いにいい関係でいたいんだ」


「あらあら、美人なんて嬉しいわ!……なるほどね。それが貴方の考えなら私はそれを否定しないわ。そうね……私とも共にあるなら呼び名が欲しいわ。愚者だけフールなんてズルいじゃない?」


彼方の答えを聞き、魔術師は少し考えた素振りをみせ、なにかを思い付いたようにパチンッと指を鳴らすとフフッと微笑みながら要求する。


「別にフールは俺が名付けた訳じゃないんだけどな……うーん、そうだな……なにかないか……魔術師、魔法、マジック……そうだ!マギとかどうだ?」


思い付いたかのように彼方は手をポンッと叩きながら言う。

マジックの英語の綴りからCを抜いただけの単純なものだがそれでも魔術師は気に入ったのか微笑んでいた。


「あら、素敵な名前ね。それじゃあ私の主、『魔術師』のマギは貴方の力として在ること誓うわ。これはその印に……」


そう言い魔術師……マギはベッドから立ち上がり、彼方に向かい手をかざすと魔術師のタロットカードが出現し、淡く光る。


「これは?」


疑問に思った彼方が問うと同時に光は消え、タロットカードには『マギ』と小さく刻印されていた。


「貴方のくれた名前とある仕掛けをしておいたわ。今は使うことはできないけど貴方が成長し強くなればこの仕掛けは役に立つはずだわ」


「仕掛けってどんな?」


「ひ・み・つ」


マギはフフッといじわるな笑みを見せる。


「さて、他のアルカナ達との挨拶もあるのでしょ?私はそろそろ失礼するわ。じゃあね、また必要な時に呼びなさい」


「あぁ、よろしくな」


そういうとにっこりと微笑みマギの姿は消えていった。


「なんと言うか自由な奴だな……さて、次は『女教皇』だったな……来い!『女教皇』!」


彼方が手を前方にかざすと、そこには新たなタロットカードが出現し、マギが初めて召喚されたときのように輝く。


「くっ」


たまらずに彼方は腕で目を押さえ、堪えているとやがて光は収束し一人分の人影ができていた。


「初めまして、新たな主様。アルカナ・女教皇です」


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