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日常の終わりを告げる転校生

 春。桜が散る季節のなか、4月の入学式も終わり、それから1ヶ月が経ち、八津幡高等学校2年生である御空みそら 彼方かなたは肘で頭を支えて寝ていた。


 「ねぇ、いつまで寝てるの。もう授業始まるよ」


 「諦めな真琴。彼方は1度寝ると中々起きないの知ってるだろ」


 彼方の幼なじみである亜麻髪のショートの女の子、篠宮しのみや 真琴まことが寝ている彼方を起こそうとするが、黒髪短髪の同じく幼なじみの片上かたがみ 遼太郎りょうたろうがそれを止める。

 すると始業開始チャイムがなり、担任の教師の松田まつだ 源五郎げんごろうが後ろに見知らぬ女生徒を連れて入ってきた。


 「えぇー、今日からこのクラスに入ることになった卯木うつき 八重やえだ。みんな仲良くするように」


 「卯木 八重です。まだ来たばかりなのでお友達になってもらえると嬉しいです」


 八重が微笑むとクラス内の男子を中心に拍手の嵐が巻き起こった。

 八重は美少女と言っても過言ではないルックスをしている。

 腰まで伸びた黒髪に整った顔、小柄でまるで小動物のような愛くるしさに男子はもうメロメロであった。


 「卯木は…御空の隣が空いてるから底に座ってくれる…っておい。御空ぁ!いい加減起きろ!」


 寝ていた彼方を見つけた松田は黒板に備え付けてあるチョークを掴んで彼方に投げつける。

 勢いよく投げつけられたチョークは見事に彼方の額に直撃し、砕けて彼方も目を覚ます。


 「痛っ!なにするんですか!」


 「やっと起きたか。転入生の卯木だ。お前の隣の席だから面倒見てやれ」


 「えぇー」


 「えぇーじゃねぇよ。寝てた罰だ。そのくらいしろ」


 「えっと、よろしくね」


 2人の会話を聞き、八重は苦笑していた。

 それから彼方は休み時間を利用して八重に校内を案内する。

 ただ彼方1人ではなく他にも付いてもらってきており、理由としては周りの目が恐ろしいので幼なじみの真琴と隆太郎に頼んで付いてきて貰っていたのだった。


 「ここが音楽室で隣が視聴覚室、たまに授業で使うかな」

 

 「なるほど、ご丁寧にありがとうございます。篠宮さん」


 八重は真琴に深くお辞儀する。


 「あはは、真琴でいいよ。それに敬語なんていらないし頭あげてよ」


 「えぇと、うん。よろしくね。真琴!」


 「なぁ、彼方。二人の女子が友情を育んでるぜ。いい光景だと思わないか?」


 「いきなりなんだよ。てかお前の百合好きを俺に強要すんな」


 「いいじゃねぇか!百合はいいぞ!綺麗な女の子同士の絡みは男女の恋愛にも負けないぞ!」


 遼太郎は剣道部に所属しているスポーツマンである。

 背も高く、剣道でも強い為、2年生でありながら既に部内における期待のエースである。

 面倒見もよく、女の子対しても優しいのでモテるのだか重度の百合好きで自分と女の子との付き合いは考えたことはなく、今まで異性からの好意に気付いていない。

 すると遼太郎の顔面に上履きが飛んでくる。

 急だったため、回避できずもろに受けてしまった。


 「もう、何て話してるのよ!八重ちゃんが恥ずかしがってるじゃん!」


 一方、真琴は実家が和菓子店であり、店の手伝いの為に部活動に所属していない。

 人当たりがよく、人懐っこい性格で基本的に誰とでも仲良くなる。

 それが原因か学校内に隠れファンが多い。


 「あぁ、すまんすまん。けど好きなものは好きなんだ仕方ないだろう」


 「お前なぁ、好きなのは構わないがもう少し周りを見てから発言するようにしろよな」


 彼方が呆れた風にそう言うと、遼太郎はしぶしぶ了承する。

 それを聞くと真琴は小さくため息を吐き、八重は困った風に笑う。

 転入生が入ったことによって始まった新たな日常。

 しかし、この日を境に平和な日常が終わり、慌ただしい非日常な世界に踏み入れることになるとはこの時誰も思いもしなかった。

みてみんにて管澤捻様にアルカナルーラーの卯木八重を描いていただきました!

挿絵(By みてみん)

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