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序幕2
その日は大学の帰りに寄ったスーパーの買い物袋を手にしつつ、家の鍵を開けて、そして自らの体を家の中に入らせたのち、しっかりとドアを閉めた。
・・・確かに、ドアは閉めた。
その状況を頭で反芻しつつ、その次を思い起こす。
・・・そして手を洗い、買い物袋を再度持ち直して二階に上がり、机とベッドが置いてある自分部屋の扉を開けた。
キイ、と唸るドアノブはいつも通りに私を部屋へと迎え入れてくれた。
その先に見えた光景は、変わらず私の部屋だった。
…のだが、一つだけ違和感を感じさせるものがあった。
「もの」ではない。それは人のようであった。
その人が、今、私の眼前に佇む来訪者である。