16/23
クマとトラと女 その16
特定していたのである。この不幸の発生源なるものは世界のとある地域で語られる『不幸伝説』という民話の中で紹介されているものである。この民話によるとこの不幸の発生源と考えられる地域には無数の『不幸の芽』をつけた樹木からなる『不幸の森』と呼ばれる大森林が存在しているというのである。この世の不幸の数々はこの『不幸の森』に由来しているのだ。
女史は『不幸の森』と呼ばれる最終目的地に向かうに当たって片付けて置きたい用事がいくつかあった。そのひとつがこの町に暮らしているまだ会ったことのない親友に会うということであった。