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クマとトラと女 その15



ところが先生は僕が思いもかけなかったようなことを言い出したのだ。


「犯人の容姿の特長は正確に把握しています。その容姿には多くの際だった特徴があったのでそれを警察に伝えれば犯人を特定し財布を取り返すことは不可能ではありません」


「どういうことでしょう? 先生は財布をすった犯人の姿を目撃したのですか?」


「スリについてこういう言い方するのもなんですが犯人は相当の力量の持ち主ですよ。ですから犯行に際して自分の姿を見られるようなミスは犯しませんよ。しかし少しばかり相手を見くびったのか今回彼の犯行には少し計算ミスがあったのです。ところで君! 今朝カフェでお茶を飲みカフェから出てきた時のことを覚えていますか?」


「もちろん覚えていますがあそこで何かありましたっけ?」


「僕らがいたところから少し離れた場所の物陰にこつ然と人が現れたのです」


「つまりどういうことでしょう?」


「つまりはですね。犯人はそのころには僕らのことを良い獲物と見て僕らのことをつけ回していたということなのです。犯人は自分の気配を消すことに関しては天才的であります。ですから財布をすられた後になってさえ僕らは彼の存在に気づかなかったのです。ただ犯行を行うに当たって僕らの力量というか注意力をはかる必要があった。そこでカフェから少し離れた場所で一瞬自分の気配を消すことを止め僕らの反応をみたのでしょうね。僕はこの町にやってきて以来ずっと考え事をしていたものですから突然人が現れたことにたいしてそれほど気に留めなかったのですがそれでも一瞬現れたその人物の容姿などは正確に記憶しています」


それを聞いて呆れ心の中で思った。


ーーしかしここの警察は先生のいう気配などというものを手がかりにして犯人を逮捕してくれるのだろうか? そんな話真面目に聞いてはくれないと思う。しかし僕が一番気にくわないのはスリの犯人をほめるように話しているが実は自分が一番上と主張するいつもの先生の傲慢さなのだ。


人に会う約束まで時間もあったし僕らはこの町の警察に行ってみることにした。


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