§日常と新生活§
浜辺に来てボーッとしていたらいつのまにか夕方になっていて僕は急いで喫茶店に戻った。
カランっ
「あっ!おかえりなさ〜い。」
店に帰ると渚ちゃんが出迎えてくれた。店内のお客さんはまだ少ない。
「ごめん。遅くなっちゃったね。」
「いいえ。このくらいなら、私一人で大丈夫ですよ♪テンチョは気分転換できました?」
「うん。ありがとう。」
そう言ってカウンター内に入るとお客さんが沢山きて注文が次々と入ってきた。
渚ちゃんは急いでメニューを聞きにお客さんの所へいく。
「テンチョ!これ、お願いします!」
「はーい。」
紙を受けとると奥のキッチンへと行きオーダーを受けたものを作る。
「お待たせ。」
そう言ってカウンターの上に作った料理を並べていく。
「お待たせしました!」
オーダーを一通り聞き終わるとちょっと暇になる。お客さんの注文は飲み物系になるからだ。
「テンチョっ。あの。青司君の方に行っていただいても構いませんよ。今なら私一人で何とかなりますし。」
「あ。」
忙しくてすっかり忘れてました!っていう声をあげてしまったら、渚ちゃんは僕を見てくすっと笑った。
「テンチョ。忘れてたんですか?」
「え、どうだろっ。忙しかったしね!」
と同意を求め、忙しかったを強調して言ってみたけど、渚ちゃんはクスクスと笑うばかりだった。
「今の話しは青司君には秘密ですね♪」
「そうだね。じゃあ、何かあったら呼んでいいから。」
そういい残して青司君の居る部屋に入った。
「お待たせ。」
「んーん。忙しそうだね。」
青司君はオレンジジュースをストローで飲みながらケータイをいじっていた。
「そのジュースは?」
「あぁ。西見サンがくれた。総司が出ていってからしばらくしたら部屋に来てさ。お腹空いてないかーとか。」
どうやら渚ちゃんは帰りが遅くなった僕の代わりに青司君のお世話をやいてくれたみたいだ。
「で、渚ちゃんからケーキを食べさせてもらったんだ?」
机の上に置かれた空っぽのお皿を指差し指摘すると、青司君はむっとした顔をして言い訳をする。
「総司が遅いからだろっ。お腹ぺこぺこだったんだからなっ。」
「青司君がトラブルを持ってきたんだろう?それくらい我慢しなさい。」
ちぇーっとむくれた顔をして不機嫌になるところをみるとまだまだ高校生だなぁとおもってしまう。
「あ、そうだ。青司君の高校はバイト大丈夫?」
「……?あーたぶん。」
「じゃあ♪」
ガラッと勢いよく扉を開いて店内に戻ると、お客さんは一人で後片付けをしていた渚ちゃんが僕の方を振り向いた。
「!!」
「どお?渚ちゃん。うちの新しいバイトさんだよ♪」
ずいっとエプロンを着けた青司君を渚ちゃんの目の前につれてくると渚ちゃんは頬を赤く染めた。
「か、か、かわいい〜です〜!!」
渚ちゃんの誉め言葉に嬉しくないのかむすっとした顔になる。
「かわいいって青司君。よかったね♪」
「総司〜〜っ!!」
「青司君、これからよろしくお願いしますね♪」
「っだぁ〜〜。誰がよろしくするもんか!!こんな店で!!」
「青司君、働かない子はここに置いてあげないよ?」
「卑怯だぞ!総司!」
「テンチョ、置いてあげるってなんですか?」
「あぁ。実はね〜。」
「総司!要らんこと言うんじゃねぇ!!」
こうして新しい生活が始まった。
ここまで読んでくれた読者様ありがとうございます!
これからもどんどん書いていくのでよろしくお願いします♪