第三章 想いと思惑 7
「ん?迷子かな?」
晩餐館の会場へ向かう途中オドオドと周りを見回しながら歩いている少年を見つけた
「どうしたんだ?もしかしてガルマンドの関係者?」
声をかけるとビクッと体を跳ねさせてこちらを向いた。
どこかで見たような顔だがこの国の人間ではないようだ。
「会場に行くなら一緒に行こうか?」
言葉では答えず首を横に振って答えると、俺の後ろに何かを見つけたのか走り抜けていった。
「なんだったんだ?」
走り去っていく少年を目で追って、その先にいた人物を見て目を疑った。
「ストリア大臣……!」
大臣はこちらに気付くとローブの奥で不敵にヤリと笑った様に感じた。そしてゆっくりとこちらへと歩いてきた。
「ククク、ずっと見ていたぞ、霧原勇人ぉ。クククク……」
目深に被られたフードで表情は窺い知れない。だが、その異様な雰囲気にのまれた身動きが取れなくなる。
「ククク、怯えているなぁ?紅蓮の魔道砲使いが情けないことだ。」
本当に情けない。だが、この雰囲気は本当に気持ちが悪い。確かにそこに居るのに存在感は皆無、ただ悪意だけがこちらに向けられているような感じだ。
「なぁに、心配することはない。私自身が手を出すことはない。ククク、私自身はなぁ。」
大臣が少年と共に去っていく。言い様のない不安だけが残った。