Hide & Attack
「じゃああとは任せたわ。
今度こそ私達が世界の頂点に立つのよ。あいつさえ居なくなれば……あなた達もよ……乗りなさい。」
少しの間。去ったのか?アシータ達が話始める。
「やつに協力者が居るのか……?死体は3つあった。必ず誰かが殺しているはずだ。我々の首には少し痣がある。首を絞められていたのだろう。」
「言いたいことはわかる。あんなやつが首を絞められている時に3人的確に頭を撃ち抜けるか。ということだな。そうなると協力者がいる可能性が高い。」
「やはりあいつはH2にスパイとして潜り込んだということなのか。」
「いや。そんなことが有り得るのか?どれだけ質が良くともあれでボロを出さないのは流石におかしいだろう。」
「でも奴は日本人だぞ?奴らなら有り得なくは無い。」
「そんな馬鹿な。」
「もしくはやつは洗脳なり人体改造をされていて、どこかとタイミングで事実を知らされ、今は協力者と共にいる。ということなのか?」
「そんなばかな。その程度の細工はバレる。」
「じゃあ1人ということでいいんだな?」
「用心に越したことはない。」
「どうする?まず死体を片付けるか。民間人にバレるとまずい。」
「いいや。一緒に片付けた方が楽だ。」
「ん。時間が無い。逃げられた方が面倒か。目撃者は口封すればいい。」
「じゃあどこから探すか?」
彼らは声を落として話し始める。わざと声を聞かせていたのかもしれない。
しかし今ので目的が変わった。ドイツに着くまで無事でいること。しかし客室に置いてきた装備を回収するべきだと思った。
着いたところでほぼ手ぶらではただの軽武装をした奴にしかならない。
捕まってしまうだろう。多分だが二手に別れたはずだ。別人のフリをして戻ればよさそう。とても狭い視野角だが隙間から覗いて近くにいないことを確認する。
そして全ての武器を完全に隠して何も無かったかのように通路を歩く。焦りすぎては追いついてしまう。しかし遅すぎても折り返してきて顔を揃えて遭遇してしまうだろう。いや普通にすべきだ。歩く速度に気を使っていては怪しまれる。普通に客室に戻ることだけを考えて歩く。車両を2つ移ると奥に見えた。アシータだ。でも無視してそのまま進む。そして横を通り過ぎる時に声色を変えて普通に一言言って横を通り過ぎる。
そのとき、
「アジア人の青年を見なかったか?」
急に聞かれて一瞬どもってしまう。
「僕もアジア人なんですけど。僕を探してる訳では無いですよね?」
フードを深く被り直しながら俯いて答える。
「いや。君の事じゃない。背丈は君ぐらいだが。もし見かけたら、876号室に来てくれないか?一緒に降りないといけないのに目を離した隙にどこかに行ってしまってね。」
「わかりました。もし見かけたら。」
「ところで顔を見せてくれないか?声に聞き覚えがある。」
不味い。なんて言えば回避できるか。
「それは嫌です。」
「どうして?どこかで会ったような気がするので思い出したいんだよ。協力してくれ。」
バレてるのか?
「あ、あの。今僕の顔には醜い出来物が沢山できてしまったので……見せたくなくて。」
「おっと、それは失礼。」
頭を下げるアシータ。
いや大丈夫ですよ。と言おうとした時。
手首をしっかり掴まれる。
クッ!やはりバレていたか!咄嗟に袖に隠していたナイフで攻撃しようとする。
しかし
「甘い!」
思い切りアシータの足が上げられ、
股間を膝蹴りされた。
あまりの激痛に耐えることなどできず、まるでラブコメのヒロインが主人公の手を取ったまま力無く座り込むように座り込んでしまった。
決定的な違いは手を取っているのではなく握られていてへこたれた理由もそいつのせいなのだが。
吃音のような呼吸をしながら意識が薄まっていく…………………………
まぁショック死なんじゃないですかね?
知らんけど