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神話蓮転伝~Gods times ended of human.  作者: みのむしslime
乾域濃霧のシルクロード
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不可思議な青年の名は

世界観としてはFMGです。MGは調べたら出てくるので自分で調べてください。FはファンタジーのFです。そしてこれから発表する自分の作品と同じ世界なのでもしそっちが出た時はそっちを見るのもいいかもしれません。(CD作品)

 2283年.12月24日。12:00、日本を除く先進国や様々な賛同国が軍事演習と称して約25万人が海上要塞“ノア”を奇襲。12:25.2000人しかいなかったノアにいた兵士、スタッフは1920人ほどが殺害された。

 15:30.乗り込んだ殲滅隊からの通信が途絶える。15:45.上空にて待機していた戦闘ヘリ分隊2000機からの通信が途絶える。15;55.ノアから20km付近で待機していた空母75隻と軍艦528隻の撃沈を確認。

 16:00ノアから2000km離れた総司令のイディムの本拠地に謎のエネルギー探知、基地の消滅。この神が起こしたとしか思えない大虐殺は、その残酷性から。

「ノアの大逆襲」と呼ばれるようになった。───────────────────

 2280年.5月7日。

「四肢を撃って動けないようにしろ。」

 ダン!ダン!ダン!ダン!

「うっ。ううううううううぅうぅぅぅぅ」

 激痛で目を覚ます。心臓が出血を止めるために患部に血小板を大量に送ろうとしているのか鼓動が早くなる。うつ伏せだったようだが、痛みでいいが動かせないためあまり周囲が見えない。

「ボス!」

「大丈夫だ。お前たちは基地の警戒を強めろ。後何人かこいつが少しでも動いたら迷わず撃て。だが殺すな。何か情報を持っているかもしれない。」

 会話に集中できなかったが、ボスと呼ばれる人物が一人でこちらに近づいてきているようだ。ここは動かないのが得策か。グイっと髪を掴まれて無理やり顔をあげさせられる。乾燥地帯だった。3方向を崖に囲まれた閉鎖的な基地だった。頭に銃を当てたまま男は尋問した。

「お前は何者だ?何しにどうやってここに来た。お前に答えないという選択はない。むしろ真実を話すという選択しか選べない。」

 俺は尋ねられたことに完璧に真実で返答した。

「俺は稲葉陣夢(いなば じんむ)だ。ここに来た目的はない。むしろ俺はここにどうやってきたのかもわからない。突然目が覚めたらここにいた。」

「名前からして東方の人間か。国籍はどこだ?」

「日本。」

「こいつを部屋に連れて行け。ケッセキに任せろ。全部吐かせた後、帰す。」

 まだ激痛の走る腕を力づくに掴んで俺は運ばれた。

 運ばれた先で部屋に投げ込まれた。そこには絶世の美女がいた。

「あら。こんな青年みたいなやつが送り込まれたっての?うちも舐められたものね。まぁいいわ。すべて話してもらうから。」

「いやさっきも。言ったが俺は本当に何も知らないんだ!本当のことしか話していないし!」

 その声を聴いて女はボサクサと言った。

「ダブルシンクかしら?まぁ、あの青年の脳に入っていること全部抜き出せば本当かわかるわよね。」

「OKよ。じゃあ始めましょう!」

 そうして。拷問が始まった。

 といってもまずは下準備からだ。

 撃ち込まれた弾丸をそのまま手で摘出される。患部には赤く熱せられた板で止血がされる。

 まずは拘束だけの対話からだった。マイペースな尋問だった。行う日もあれば行わない日もある。早朝から深夜までの日もあれば、3時間ほどで終わる日もある。拷問にランダム性を付けることで拷問を受けることを習慣化させずに精神を怯えさせようというのか。

 しかし確実に回数を重ねるごとにつらいものになっていった。

 水攻めされたり、死なないように何発も銃弾を撃たれて処置を繰り返したり、挙句には燃やされたりした。しかし、話すことにどこか納得いかないようだった。─────

「ボス。あの青年を処刑しましょう。気味が悪い。ケッセキの拷問を受けて話すことの辻褄が崩れることも、話すことが変わることもなくただ何度同じ質問をしても同じ返答をするというそうですし。」

「だが何か引っかかる。情報班の調査結果は?」

「はい。稲葉という名の性がその地域に住んではいましたが母親とされる女性、祖母、また漏電事故で亡くなったとされる祖父はいませんでした。しかし、それ以外の稲葉家についての情報は全て正しく、住んでいた者の写真を青年に見せたところ、『仏壇に飾ってあったような気がする。』とのこと。」

「そうか、じゃあ稲葉の事だけでなく青年の記憶全てを取り出し、現実に照合するのだ。そして青年にも日本の情報を与えよ。何か反応から情報が得られるかもしれん。では拠点班。」

「はい。まず青年が基地に侵入する前後の基地周辺の情報を集めたので纏めました。恐らく彼は空から侵入したと思われます。理由として青年が発見される5分前に上空5000mに高さ1.8m、直径80cmの円柱型の飛行物体が確認されました。恐らくカプセルのようなものかと。」

「成程な。じゃあ次に建設中の海上要塞の様子はどうだ?」

「はッ!ではボス。次は我々H2がダミーとともに複数建築中の海上要塞の建設状態ですが、ノアが7割ほど完成とのこと。ダミー5つは完成済みです。ネロはあと設備の整備だけです。ダミー2つはとうに完成していたので多少の防衛設備を搭載。もうすぐネロが完成するため直ぐに入居できるよう、ダミーにそれぞれ500人ほどを転居させました。」

「わかった。引き続き基地の警戒は緩めるな。じゃあ終わり、解散だ。」

 男の一声で全員が同時に席を立ち、部屋から出ていく。

「ボス。少しだけいいですか?」

「どうした?何か俺に用か?」

「いや。少し会議で話さなかったことが。いやみんなを呼び戻す必要はないです。

 少数が知っておくべきだと判断して。」

「わかった。言ってみろ。」

「あの飛行物体のことですが。」

「あぁ、確かにお前は言葉を濁したな、俺も少し不思議に思った。」

「ええそうです。我々でこの飛行物体について何度もデータから3Dモデル化し、検証してきました。しかし何度やっても、条件を変えても、正体は一つしか考えられませんでした。それは…生身の人です。」

「生身の人だっていうのか。そりゃあり得るのか?」

「あり得るわけないじゃあないですか。もし本当に生身で飛べる人間がいるとして、意識がない人をそこから落とすとします。じゃあなんで彼は生きているのでしょうか?彼は服を着ているだけでした。その服は別に特殊な素材で出来ているわけでも、特殊な製法で作られているわけでもありませんでした。ただの市販の服です。」

「つまりこう言いたいのか?我々の中に内通者がいてその青年から着地器具を回収した。もしくは不思議な力を行使できる奴にここに勝手に連れてこられたと。」

「はい。それしか考えられません。」

「あれはどうだ?フツタマアーマーと呼ばれる東方の装備は。先の第四次世界大戦いや米中戦争に巻き込まれた日本が自衛としてフツタマアーマーを装備した100人の兵士を導入して、二国に損害なしで勝利したというやつでは?確かあれは空をある程度飛べなかったか?」

「確かにあのアーマーならできるでしょう。あのアーマーは展開式ですからコアは体内に埋め込めるほど小さかったはずです。しかし」

「感知時間がおかしいのか。流石にテレポート機能は搭載していない。かといって3.14秒だけ感知されているってのがおかしいのか。範囲内に3.14秒だけ滞在して通り過ぎたとしたらもっと前から誰かが飛行音ぐらい聞いているはずだしな。ここのレーダーの範囲をその時間で通過するということは、物理学上どうしても大きな音が聞こえるからな。しかもレーダーで人型と認識できたということは、それ自体が音をほとんど発していなかったということになるしな。」

「そうです。レーダーは波を感知していますからもちろん音も感知します。と、ボス一つ賭けをしてみませんか?」

「チップは?あと何を賭けるんだ?そして何が得られる?」

「チップは俺らの命です、得られるものはH2の更なる発展です。」

「そして賭けることは。あの青年を我々の仲間にするのはどうでしょうか?もしかしたら神のギフトかもしれない。」

「反対に神からの時限爆弾かもしれない。ということか。」

「そうです。ここ中東に遠く離れた東方からなぜ彼の意識なくここまで運べたのか。そして何故言っていること以外は普通の青年が選ばれたのか。」

「俺は乗った。」

「え?」

「俺はな、伝説の兵士であった父の血を継いでいる。自分でも確かに才能が有って幼いころから訓練を受けてきた。だからこそ失敗をしたことがない。失敗とは自分の目指す頂への近道をわかりやすく示してくれるものだ。俺はこの組織のトップであるから常に頂を目指さなきゃいけない。でも俺には成功体験と能力がありすぎる。だからその分失敗は大きなものじゃなきゃいけない。」

「ボスの目指す頂とは何ですか?」

「俺の目指す頂とは世界を支配することだ。人々が革命を起こす気にもならないような素晴らしい世界にする。そして脅威から人々を守る。」

「それは社会主義の復活ということですか?」

「違う。俺が目指す支配とは永遠に支配されていたいと心の奥底から思えるような政治をすることだ。洗脳なんかじゃない。素晴らしすぎて幼きことから支配する者の行動に不信や疑問を覚えないような清く正しい支配だ。」

「ボス…わかりました。ボスの考えこの身に深く共振しました。」

「ありがとう。お前の話は来週臨時で会議を開いてそこで決める。」

「ありがとうございます!!ボス!!ゆっくりお休みになられてください!」

「あぁ。ありがとう。君もだ。」

「はい!」

 この二人の男の話は世界を今までから大きく変えることになるとはだれも考えていなかった。────

「嘘だろ。何かの冗談だ!こんな何百年前の新聞が新刊だなんて誰が信じられる!誰が!本当のことを話しても拷問をやめない奴らの言うことを信じるか!ふざけるな!」

 朝、部屋に今朝の朝刊として投げ込まれた新聞には2280年7月6日と書かれていた。

 俺の記憶の最後の日付は2438年4月10日だ。友人と外出して昼食を食べたところまでしか覚えていない。

 いったい何が起こっていて、なんで巻き込まれているんだ。

 ────7月14日

「来い。お前の処遇が決まった。」

 一人の兵士が俺のいる部屋に来て言った。

 処刑されるのだろうか。確かに自分の家の敷地に知らない奴がいたら何でここにいるのかわからないとか言っていても警察を呼んで迎えに来てもらうと思う。それが今回は警察でなく、死神だったという話だ。

 少し重厚感のある扉の前に来ると、

「入れ。ボス直々に処遇がお前に言い渡される。無礼のないようにしろ。」

「手錠で扉を開けられないので外してください。」

「体で押して開けろ。」

 徹底されている。両手が開けばこの兵士を人質にするか、装備を奪えると思ったのに。

 扉は意外と重く、木製のようなのに100kgは有りそうだった。

 中に入ると左右に5人ずつ、正面に椅子に座ったがたいがよく、装備で固めた男が座っていた。

「俺は、ジョン・イロコィ・ソリダスだ。この組織のトップを務めている。稲葉陣夢、お前に処遇を下す。」

 恐らくソリダスという男がボスと呼ばれていた人物なのだろう。一度も姿を見ていないから断定はできないが。

「お前を、このH2のメンバーとする。これを拒否した場合即座に射殺する。」

「処刑じゃない?嘘だ。どうせ油断させて安心したところを苦しめながら殺すんだろう。」

「我々は蛮族ではない。秩序のある、組織だ。我々はお前を信用する。おい、こいつに銃を渡せ。」

 すると右から一人歩み出て拳銃を渡してくる。

「それで俺を撃て。我々は誰も反撃しないし、俺を撃ったならH2に加入したとする。加入を拒否する場合、自分で自分を撃て。」

 は?なにをしたいんだ?

 でも俺は初めてだが発砲しなきゃいけない。もちろん日本ではありえないことだ。確かに人生で一度は銃を撃ってみたかった。がそれはスポーツで樹脂で出来た的に向かって撃つや無機物に向けて撃つことを楽しむと言う点でだ。男の言うことを信用するなら俺は男を撃てば助かる。俺は、俺は、俺はッ。

 そうだ。まだ目的は終わっていない。そのためには何でもする。

 そして、ある人達に誓った。俺はどんな方法でも天命を全うしてやると。この手が汚れようとも俺は生きる。

 俺はゲームで見てきたように銃を構え、頭を狙う。

 トリガーを引く前にセーフティを解除して、トリガーに指をしっかりかける。

「銃の知識があるみたいだな。」

 そして息を整えてトリガーを引いた。

 反動はガスガンだとかエアガンに比べてとても大きく、体制を大きく崩した。

 ちらりと見ると、弾は額を狙ったが逸れ、喉に命中した。

 そして男は喉から血を吹き出しながら倒れ…ていなかった。

 命中し出血した痕跡はあるが、すでに治癒していた。

「お前、なかなかやるな。確かにこいつは神からのギフトかもしれん。」

「え?ど、どどどうして?」

 俺は実は異世界転移していたのか?どう見ても喉に銃弾が命中していた。銃弾が喉に命中して立っていてさらに笑っていられるなんで人間じゃあない。完全に俺は怯えきってしまった。

「どうした?あ、こいつ漏らした。というかビビってないかなんかこいつ。」

「ボス。そりゃあ人間が喉に銃弾が命中して死なないなんておかしいですから。しかも笑ってらっしゃる。そのわけを知らぬ者からしたら我々は人外にしか見えません。」

「あぁ、そうか。あれをすっかり忘れていた。俺らの体にはMNM(メディカルナノマシン)SNM(サポートナノマシン)RNM(レコードナノマシン)が大量に注入されている。MNMが即座にある程度までの負傷を治療してくれるんだ。まだ信じられないか?ほらよく見ておけ。」

 ソリダスはナイフを取り出すと自身の腕を切り落としたが、断面から赤い線が大量出でて、断面がくっつき、最後に皮から出血を示す赤いラインが消えた。そのまま男は切り落とした腕を動かす。

「ほらこういうことだ。H2のやつらはみんな体に打ち込んでいる。」

「お前もH2に加入するならばこれらを注入する。決して、人外になる禁断の薬とかじゃあないから安心しろ。」

 そんなことを言われてもにわかに信じきれなかった陣夢だった。


気楽に続けていこうと思います。前回と違って今回はしっかりと設定を練ったので途中で続きが詰むことはないと思うので1か月に1話連載出来たら上々だと思います。(リアルが忙しい^^;)

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