走れ走る天才!
私は昔、足が速かった。
リレーではアンカーに選ばれたし、運動会で出た種目は全て1番だった。
持久走は好きではなかったが、1番をとれたことで好きになった。
勉強が苦手で、友達と遊ぶことも苦手で、自分の取り柄はいつでも走ることだった。
走るのは体育の授業くらいで、特に走る練習はしていなかった。
「あなたは走る天才ね。」と体育の先生に言われた。
それを鵜呑みにした小学生の私は、卒業の文集の将来の夢で「オリンピックで金メダルをとる。」と書いたのである。
小さな小学校で走るのが1番だった私。
井の中の蛙だったと後で知った。
中学生になるとオリンピックで金メダルをとるというのは、夢のまた夢だと知ったのだ。
いっぱい走った後、背中が汚れるのを気にせず寝転んだな。そして見た空はすごく青かったな。
私は「井の中の蛙大海を知らずされど空の青さを知る」という言葉が好きだ。
誰の言葉だろうか。
昔の私にピッタリだ。
短い天才期間だったが、足の速さと運動神経の良さは健在で今はフィットネスインストラクターとして働いている。
青い空の下を走るのは嫌いじゃない、私は井の中の蛙。