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世界を越える物語  作者: 大川魚
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流れ者の神

 もとは神様が君臨していた聖域には今はもう誰も存在せず、草木ひとつ生えていない。厳かな装飾であったことなど思い出すこともできないほどには荒れ果てた過去の場所となっていた。カロナとジュンマは過去の場所に足を踏み入れた。天高い場所に。

 「いるわけ……ないよね。ここに来る度に神様の生まれ変わりが現れるのではないかと思っちゃうの」

 ここに来る度にカロナの揺るぎない瞳に一瞬の悲しみが宿る瞬間があることをジュンマは気がついていた。気がついていながらもカロナ自身がすぐにいつもの瞳を取り戻すため、あえてジュンマは何も触れていなかった。しかし、今日は初めてカロナの方から胸の内を明かしたのだ。

 「私たちが異変に気がつきここに訪れたときには既に神様の姿が消えた瞬間だったから何が起こっているのか確認する術はなかったわけだし」

 カロナの独り言。今にも泣き出しそうなほど、瞳には涙がたまっている。なにも言わずにカロナの手を握るジュンマ。カロナのふかふかの手がジュンマの男らしい手に優しく応える。爪がジュンマの手に食い込まないように加減しながら。ジュンマは照れているのかそっぽを向く。カロナの犬のような耳はぴこぴこと嬉しそうに動いている。


 時間をおいていつものカロナに戻っていた。今は手を離しており、神様がよく天を見上げていた場所に感じたことのない何かがあることに気がついた。二人は顔を見合わせその場所に向かうと死神を連想させるような姿をした何者かが天を見上げていた。

 「既に滅んだと思っていたこの世界に、まだ住民が残っていたとは。面白い」

 死神のような何者かは二人の姿を見てもいないのに口を開いていた。失笑している。

 「私はカロナ、あなたは誰ですか」

 臆することなく質問をするカロナ。カロナもジュンマも警戒体勢を怠らず。

 「我が名はディスペイヤー。統一する世界を持たない、流れ者の神だと思ってくれたらいい」

 ようやくこちらを向いたディスペイヤーは攻撃を仕掛けてくるでもなく、丁寧に自分の存在を紹介した。昔、神様から聞いたことがある。統一する世界は神様自身が創造するため、世界を創造していない神様が少なからず存在すると、そしてそれらの神様のことを準神様と呼ぶのだと。しかし、ディスペイヤーは自身を神と呼んだ。

カロナの容姿は犬の擬人化が近いかな。癖のあるショートヘアでふわふわの耳に手足、顔は人間だけれど鼻は犬のお鼻。

ジュンマは緑の長髪をポニーテールのように結い上げ、手首足首から葉のような何かが生えている。カロナよりも人間に近い姿。

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