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淡々三国演義  作者: ンバ
第二回 張翼徳怒りて督郵を鞭ち、何国舅宦豎を殺さんと謀る
8/135

一、張宝の妖術

 〜この回から登場する人物〜


劉協りゅうきょう(伯和)181〜234

 霊帝の次子。後漢の献帝けんてい


孫堅そんけん文台ぶんだい)155〜191

 揚州()富春(ふしゅん)県の人。江東の虎と謳われる剛将。


袁紹えんしょう本初ほんしょ)?〜202

 豫州汝南(じょなん)汝陽(じょよう)県の人。四世代に渡って三公を輩出した名門の出身。


公孫瓚こうそんさん伯珪はくけい)?〜199

 幽州遼西(りょうせい)令支(れいし)県の人。劉備の学友。「白馬義従はくばぎじゅう」という精鋭部隊を従える。


劉虞りゅうぐ伯安はくあん)?〜193

 徐州東海(とうかい)(たん)県の人。後漢の宗室。幽州で人望を集める。


荀攸じゅんゆう公達こうたつ)157〜212

 豫州潁川(えいせん)潁陰(えいいん)県の人。後に曹操の幕僚となる外柔内剛の士。

 さて、董卓とうたくの字は仲潁ちゅうえい隴西ろうせい郡の臨洮りんとう県の人である。官職は河東かとう太守であったが、もとより驕慢な人物であり、この時に当たって劉備を軽侮する態度を取ったため、張飛の逆鱗に触れ、たちまちに命の危機に晒されていた。


 劉備と関羽は急ぎ張飛を取り押さえ、


「よさぬか翼徳! 朝廷の任命した官吏を殺したとあっては、刑死は免れられんぞ!」


 張飛、


「あのくそ野郎をぶっ殺さにゃ、奴の部下として働かなきゃならねえじゃねぇか。そんなの俺はごめんだぜ! 兄貴たちはここにいてくれ、俺一人でもやってやる!」


 劉備、


「我ら三人、生死をともにすると誓った間柄ではないか! どうしてお前だけを行かせられよう。さぁ、三人で戻ろう」


「わかったよ……。屈辱を受けても、三人で分け合えば少しは晴れるってもんだよな」


 こうして三兄弟は軍を引き連れる事連夜にして朱儁しゅしゅんに身を投じた。朱儁は劉備らを厚くもてなすと、兵を一箇所に集めて張宝の討伐に乗り出した。


 この時曹操(そうそう)皇甫嵩こうほすうの張梁討伐に従軍しており、曲陽きょくようにて賊軍と大いに干戈を交えていた。この間に朱儁は進軍して張宝ちょうほうを攻撃、張宝は黄巾党八〜九万を率いて山地の後方へ駐屯した。


 朱儁は劉備に先鋒を命じて賊軍と相対させた。張宝が副将の高昇こうしょうを遣って戦いを挑んでくると、劉備は張飛に迎え撃たせた。馬を駆り、蛇矛を手に襲い来る張飛を前にして、数合と持たずに高昇は刺し貫かれ、馬から生命感なく崩れ落ちた。劉備麾下の軍はかくて前進、当たるを幸いに賊軍を薙ぎ倒していった。


 張宝は馬上に就くと髪を振り乱して剣を手に取り、妖術を用いた。見やれば大挙せし風雷、突如として巻き起こった黒気が天より降り注ぐ。黒気は人馬を象り、際限なく殺到して来た。劉備もこれには慌てて軍を回す他なく、軍中は大いに乱れ、陣形は崩壊した。


 帰陣した劉備は朱儁と対策を協議した。


 朱儁、


「張宝は妖術まで使うのか……。猪と羊と狗の血を準備させて、兵士を山頭に潜ませよう。賊が追ってきたら、高所からこれを浴びせれば破れるだろう」


 劉備は命を受け、関羽・張飛とともにそれぞれ兵一千を率いて山中の高き丘陵の上に埋伏、猪・羊・豚の血といった穢れた物を揃え、準備を整えた。

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