表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
淡々三国演義  作者: ンバ
第一回 桃園に宴し三豪傑義を結び、黄巾を斬りて英雄功を立てる
5/135

五、三英傑、黄巾と戦う

 数日経たぬうち、黄巾族の将の程遠志ていえんしが兵五万を引き連れて涿たく郡の侵略に現れたとの報が告げられた。


 劉焉は鄒靖に劉備三兄弟を連れて迎撃に向かうように命じ、五百の兵を率いて進軍した。


 劉備らは泰然と軍勢を頭領して前進し、直ちに大興山たいこうざんの麓まで到着、賊と対峙する格好となる。賊軍は全員、黄色い頭巾を被っていた。


 左手に関羽、右手には張飛を従えて出馬した劉備は、鞭を挙げて大喝する。


「国家に叛く逆賊め! 何故早く降らぬ!」


 激怒した程遠志は副将の鄧茂とうもを差し向けた。張飛が一丈八尺の蛇矛をしごいて応戦、手ずからみぞおちを一突きさば、鄧茂は吹き飛んで馬から落ちた。


 鄧茂が討ち取られたのを見るや、今度は程遠志自らが馬に鞭入れ刀を舞い踊らせ、張飛を目掛けて突進してきた。


 関羽は青龍偃月刀を手に取ると、跨った馬を自在に操り、飛ぶが如き速度で迎撃に出た。程遠志が「あっ」と驚愕の声をあげる間に、関羽は大上段に構えた長刀を振り下ろし、防御のいとまも与えぬままにあな一刀両断。


 後世の人が関羽と張飛を讃えた詩にこうある。


 英雄芽を発するは今朝に在り、

 一たび矛を試し、一たび刀を試さん。


 初め出でて便ち威力を展べんとし、

 三分好く把り姓名を標さん。


 程遠志が斬られた事を目の当たりにした賊軍は、皆武器を捨てて逃亡した。劉備は軍団を指揮して追撃し、投降してきた者は数え切れない程の数にのぼった。大勝利を収めて帰還すると、劉焉は自ら劉備を迎え、軍士を労い賞賛した。


 翌日、青州太守の龔景きょうけいから「黄巾族の攻囲を受けて落城寸前である。救援の兵を出して欲しい」との旨を伝える牒文ちょうぶんが届けられた。劉備が「どうか私に行かせてください」と懇願すると、劉焉は鄒靖に五千の兵を与え、劉・関・張とともに青州へと向かわせた。


 賊軍は救援が至ったのを見ると、兵を分けて攻撃してきた。たちまちに乱戦となったが、劉備は寡兵のために勝利する事が出来ず、退却して三十里の位置に幕営を張った。


 劉備は関羽と張飛に言った。


「賊は多勢で我々は無勢、奇襲の兵を出せば必ずや勝利を得られよう」


 そこで、関羽に一千の手勢を与えて山の左手に、張飛にも一千の兵を分けて山の右手に伏せさせ、銅鑼と号令の合図に呼応して一斉攻撃を仕掛けるように言い含めた。


 翌日、劉備と鄒靖は軍勢を率い、太鼓を打ち鳴らして前進した。賊軍が迎撃に出てくると、劉備は即座に軍勢を引かせて退却させた。賊軍は果たして余勢を駆って山嶺まで追ってきたので、劉備は軍中に銅鑼を鳴らして合図を送った。すると左右から関羽と張飛の軍が一斉に出撃、劉備の軍もまた反転して攻撃に加わり、三路から攻撃を受けた賊軍は木っ端微塵に吹き飛んだ。


 三兄弟は追撃を掛けて青州の城下まで到達し、太守龔景もまた民衆と兵卒を率い、城から飛び出して助勢に加わった。黄巾は徹底的な打撃を受け、極めて多くの被害を出した。かくて青州の攻囲は解かれたのである。


 後世の人が劉備を讃えた詩にこうある。


 はかりごとめぐらし算を決して神功有り、

 二虎()た一龍におとる。


 初め出でて便ち能く偉績を垂るは、

 自ずから鼎立に応じて孤窮に在らん。


 龔景きょうけいは幽州からの援軍を慰労し、任務を終えた鄒靖はかくて帰還しようとしたが、劉備はそこでこのように述べた。


「聞けば、この頃中郎将の盧植ろしょくが賊の首領の張角と広宗こうそうで戦っておられるとか。私はかつて彼に師事していた身、救援に向かわせていただけませぬか」


 鄒靖は軍を引いて幽州へと戻ったが、三兄弟はもとから付き従っていた五百人とともに広宗へと向かった。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ