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淡々三国演義  作者: ンバ
第三回 温明に議して董卓丁原を叱し、金珠を贈りて李粛呂布を説く
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十二、虎狼と虎狼

 明くる日、呂布が丁原の首級を持参して李粛のもとに現れた。李粛はかくて呂布を董卓に引き合わせ、董卓は宴席を設えてこれをもてなした。


 董卓はまず呂布に跪き、こう述べた。


「わしがこうして将軍を得た事は、旱魃の大地に甘露の降るかのごとくじゃ。よくぞ来てくれた!」


 呂布は董卓の座に拝礼して、


「もし公さえよろしければ、この呂布の義父となっていただきたく存じます」


 かくて董卓と呂布の間で親子の契りが交わされた。董卓は呂布に金の鎧と綿の戦袍を下賜し、大いに酒を飲み交わした。


 董卓の威勢は呂布を幕下に加えた事でますます強まり、自らは前将軍の事業を統括するようになり、弟の董旻とうびんを左将軍兼()侯に、呂布を騎都尉きとい及び中郎将ちゅうろうしょう都亭侯(とていこう)に封じ、その他息のかかった人物を次々と高官に任じていった。


 朝廷にもはや董卓に太刀打ちできる者はいない。腹心・李儒は一刻も早くに帝を廃立するよう董卓に説いた。


 後日、董卓は再び宮中にて宴席を設え百官を招いた。呂布及び武装兵千人余りが董卓の周囲を固めており、宴席と呼ぶには余りにも異様な雰囲気のなか、太傳の袁隗以下文武百官が揃って至った。


 かくて宴が始められ、前回同様に酒が数巡してから董卓は本題を切り出すと同時に、抜剣して周囲を脅し付けた。


「今のお上は暗愚にして惰弱、宗廟を奉じる事など出来ぬ! わしは伊尹と霍光の故事に倣い、帝を廃立して弘農王とし、新たに陳留王を即位させようと思う! さぁ、異議のある者は前に出よ、皆殺しにしてくれようぞ!!」


 群臣は震え上がり、誰も反論する事が出来ない。この様子に業を煮やした袁紹が、とうとう身を乗り出して言い放った。


「主上は即位してより日が浅く、過失などは一つもない! 貴様は嫡子である陛下を廃立して庶子を立てようとしているが、それこそ国家に対する反逆ではないのか!!」


 対する董卓は怒声をあげて、


「天下は既に我が手中にある! 今、わしが為そうとしている事に、一体誰が逆らえよう!? 袁紹よ、貴様は我が剣の切れ味を身を以て知りたいと見えるな」


 袁紹もまた抜剣して叫んだ。


「貴様の剣がいかに鋭かろうと、我が剣の鋭さには及ぶまい!!」


 董卓と袁紹、席上にて睨み合い。一触即発。


 ああ、丁原まさに義に拠りどころに命を落とし、袁紹もまた董卓と切っ先を争い、未曾有の危機に陥らんとしている。


 果たして、袁紹の運命やいかに。


 それでは、また次回。


 ─第三回、おわり─


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