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淡々三国演義  作者: ンバ
第三回 温明に議して董卓丁原を叱し、金珠を贈りて李粛呂布を説く
21/135

一、西涼の魔獣、動く

 〜この回から登場する人物〜


呂布りょふ奉先ほうせん)?〜198

 并州五原郡九原県の人。方天画戟ほうてんがげきを操る一騎当千の猛将ながら、目先の利益に義を忘れる。


袁術えんじゅつ公路こうろ)?〜199

 袁紹の弟(正史では従弟)。狡猾な野心家。


李儒りじゅ ?〜192

 奸智に長じた董卓の知恵袋。


 さて、曹操が何進に対して言うよう、


「宦官の禍は古今を問わず存在するもの。ただ世世の主上が彼らを重用したために今日まで至ったのです。もしもその罪を正そうとなさるのならば、元締めを除けば良いだけであって、一人の獄吏でも差し向ければ事は足りましょうに、紛紛と外部から兵を呼び寄せる必要などどこにあるのです。宦官を全て抹殺なさろうとすれば、事は必ずや露見致しましょう。私が考えますに、敗北は必然と申せましょうな」


 何進は怒った。


「孟徳、貴様はまたしても我が意に逆らおうとするのか!」


 曹操は退けられたが、去り際にこう呟いた。


「天下を乱すのは、間違いなく何進であろうな」


 かくて何進は即日使者を遣り、各地の諸侯に密勅を飛ばした。


 さて、前将軍ぜんしょうぐん鰲鄉侯(きょうごうこう)涼州(りょうしゅう)刺史しし董卓とうたく、彼は先の黄巾討伐では功が無く朝廷から罪に問われていたものの、十常侍への贈賄で事なきを得ていたものである。その後も朝廷の重臣と誼を通じ、かくて顕官に任じられ、涼州二十万の大軍を統率する身となっていた。


挿絵(By みてみん)


 二心を抱いていた董卓は何進からの密勅を受けてほくそ笑み、号砲をあげてすぐさま軍馬の準備に取り掛かった。かくて、娘婿にして中郎将の牛輔ぎゅうほ陝西せんせいに留めて守らせ、自身は李傕りかく郭汜かくし張済ちょうせい樊稠はんちょうらを帯同し、精兵を率いて洛陽へと進発したのである。

 董卓の娘婿にして謀臣の李儒りじゅが言う。


「今、詔を奉じられたとはいえ、経緯には不審な点も多々ございます。事前に人を遣って上奏し、大義名分をはっきりとさせておけば大事を図れましょう」


 董卓はこの提案を喜んで容れ、かくて上奏した。その大略は以下の通りである。


「臣が密かに聞き及んだ所では、乱逆が止まぬのは、全て黄門常侍こうもんじょうじ張譲ちょうじょうらが驕慢にして、我が物顔に振舞っておるが故であるとか。沸沸と煮えたぎる湯を冷ますには薪を取り去るに越した事は無く、こぶを潰すのは苦痛とは申せども毒を養うよりはましというものでしょう。臣は銅鑼を鳴らして入洛し、張譲らを除きたいと存じます。社稷に幸あらんことを、国家に幸あらんことを」


 何進は董卓の上奏文を受け取ると、上機嫌で大臣らに示した。侍御史じぎょし鄭泰ていたいが諫めて、


「董卓は豺狼さいろうでございます。洛陽に引き入れてしまえば、必ずや人々を食い物にするでしょう」


 何進は聞く耳を持たず、


「それは杞憂というものよ、お前に国家の大事はわかるまい」


 盧植ろしょくも同様に諫言した。


「私は董卓の人となりをよく知っております。表向きは善人のように振る舞っておりますが、その心は狼の如く。やつを一たび禁中に入れてしまえば、間違いなく禍が生じます。通行を止めて立ち入れぬように致しましょう、さすれば混乱は避けられます!」


 何進はそれでも聞かず、失望した鄭泰と盧植は官を棄てて去ってしまった。朝廷の大臣もまた、大半が禍乱を恐れて洛陽から逃亡していった。


 何進が澠池べんちまでやって来た西涼軍に迎えの使者を出すと、董卓はその場に兵を留めた。

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