↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
淡々三国演義  作者: ンバ
第一回 桃園に宴し三豪傑義を結び、黄巾を斬りて英雄功を立てる
PR
2/135

二、黄巾の乱

 時に、鉅鹿《きょろく》に張角《ちょうかく》・張宝《ちょうほう》・張梁《ちょうりょう》という三人の兄弟が有った。この張角という男、※秀才の試験に落第した身である。


(※後漢の官吏登用項目の一つ。本来光武帝の避諱により、茂才とされる)


 ある日張角が薬草を採りに山へ出掛けると、碧眼にして童顔、藜《あかざ》の杖を撞いた不思議な老人と出逢った。老人は張角を呼び付けて洞穴の中へ入ると、天書《てんしょ》三巻を授けた。


「これは、太平要術《たいへいようじゅつ》といってな。汝はこの書を得て、天に代わって教化を行ない、あまねく人々を救うのじゃ。もし異心を抱いて悪用しようものなら、必ずや報いを受ける事になるぞ」


 張角が拝礼して姓名を問えば、


「わしは南華老仙《なんかろうせん》じゃ」


 そう言い終えると、老人は忽然と姿を消してしまった。


 太平要術の書を手に入れた張角は、朝な夕なこれを読み耽るうち、風や雨を呼び起こす事が出来るようになり、「太平道人《たいへいどうじん》」と称された。


 中平《ちゅうへい》元年(184)の正月に疫病が流行すると、張角は※符水《ふすい》を人々に施して治療を行い、「大賢良師《だいけんりょうし》」を自称するようになった。


(※呪《まじな》い用の水に浸したおふだ)


 張角には五百人余りの弟子が存在したが、それぞれが方々に散って太平道の布教を行った。彼らは皆、お札を書いたり咒《まじない》を唱える事が出来、教徒の数は増加の一途を辿った。張角はかくて集めた三十六万人の信者を、一万人余の「大方《だいほう》」、六〜七千人の「小方《しょうほう》」に分け、それぞれに渠帥《きょすい》を立てて将軍に任命した。


「蒼天《そうてん》已に死す、黄天当に立つべし。歳は甲子《かっし》に在りて、天下大吉」


 かくの如くに訛言《かげん》させると、各人に命を下し、白土によって「甲子」の二文字を描かせ、家屋の大門の上に掲げさせた。


 青州・幽州・徐州・冀州・荊州・揚州・兗州・豫州の八州の人々、その家族、近侍者らが「大賢良師張角」の名を奉った。


 張角は宦官の封諝《ほうしょ》のもとへ腹心の※馬元義《ばげんぎ》を遣わして密かに金銀や帛《きぬ》を齎《もたら》させ、内応を持ち掛けた。


(※正史では、馬元義が内応する手筈だったとあるだけで、宦官を調略したとは書かれていない)


 張宝・張梁の二弟と協議して言うよう、

「民心を得る事こそ至難である。今、民心は已に帰順しておる。勢いに乗じて天下を取らねば、後で間違いなく悔やむ事になろう」


 かくて張角は黄色の旗を私的に造らせ、挙兵の期日を定めた。


 また一方で、弟子の※唐州《とうしゅう》を早馬に遣り封諝《ほうしょ》へと報せようとしたが、彼の人は中途で事を洩らした次第。帝に召し出された大将軍の何進《かしん》は、兵を調えて馬元義を斬り捨てると、続いて封諝等一千人を獄に下した。


(※唐周《とうしゅう》と作る場合もある)


 計画が露見した事を悟った張角は星夜に挙兵し、「天公将軍」を自称した。張宝は「地公将軍」、張梁は「人公将軍」である。


 信徒らに告げて言うよう、


「今、大聖人が出現し、漢の命数は終わろうとしている! 汝ら、皆天の意思に従い、太平に向かって漕ぎ出す時ぞ!!」


 黄色い頭巾を身に付けて張角の反乱に付き従う者、実に四十万から五十万。強大な賊の勢いに、官軍は風に靡く草の如くに蹴散らされてしまった。


 何進が事の次第を上奏すると、詔勅による火急の命が各地の諸侯に下された。


「黄巾の賊を討伐し、功を立てよ」


 聖旨を受けた中郎将の慮植《ろしょく》、皇甫嵩《こうほすう》、朱儁《しゅしゅん》らは、それぞれ精鋭を率い、三路から黄巾族の討伐に乗り出した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。