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淡々三国演義  作者: ンバ
第十九回 下邳城に曹操兵を鏖にし、白門樓に呂布命を隕とす
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三、三兄弟再会

 陳宮が急いで小沛しょうはいへ身を投じるように勧めると呂布はその提案に従い、道程を半分も行かぬうちににわかに至った一団の兵馬と出会したが、視れば高順と張遼である。呂布がわけを問うと、


「陳登がやって来て〝主公が包囲を受けている〟と報せてきたため、こうして我々は急ぎ救援に参ったのですが……」


 との答え。陳宮が、


「これもまた逆賊めの奸計にございまするぞ」


 と述べると、呂布は憤った。


「おのれぇえっ! 必ずや俺の手であの賊をぶち殺してくれようぞ!!」


 かくて馬を馳せて小沛へ急行すると、城の上は曹軍の旗指物一色に染まっていた。曹操は已に曹仁そうじんに命じて城池を襲撃させ、軍団を率いさせた上で守衛に当てていたのである。


 呂布が城の下より陳登を大声で罵倒すると、城の上にいた陳登も呂布を指さして痛罵した。


「私は漢の臣下である。どうしてきさまのような逆賊などに事えることを肯じようか!」


 激怒した呂布がまさに城へ攻め寄せんすると、やにわに背後より喊声が大挙し、一隊の兵馬が到来する──先頭をゆく将は誰あろう、張飛であった! 高順が出馬して迎撃するも敵し得ず、呂布が自ら相手取ったが、激しく火花を散らす折に陣の外より再びの喊声が沸き起こった。曹操自らが大軍を率いて押し寄せてきたのである。


 抵抗し難きものと判断した呂布は兵を引き連れて東方へと逃げ出し、曹操の兵団が背後より追い立てる。どうにか逃げ果せるも人馬ともに疲弊してしまったそこへ、あたかも閃光のように一団の兵馬が行手に立ち塞がった。先頭の一将が馬を縦に刀を横たえ、大喝一声──


「呂布、逃しはせぬぞ! かん雲長うんちょう、ここにあり!!」


 呂布は慌てて応戦したが、後方から更に張飛が追い立ててきたために戦を続ける意向を失い、陳宮とともに血路を開いて直通で下邳かひへと奔る。これを侯成こうせいの兵団が迎え入れたため、どうにか落ち延びる事ができたのであった。


 再会がかなった関羽と張飛は、お互いに涙を流し、離れ離れになってからの次第を語り合う。


「私は海州路に停留していたのだが、消息を探し当ててここまでやって来たのだ」


「俺はここしばらく芒碭ぼうとう山で過ごしてたんだが、まさか、今日こうして巡り会えるなんて思わなかったよ!」


 二人は語り終えると、ともに兵を率いて劉備のもとへ向かい、地べたに突っ伏して咽び泣いた。劉備は悲喜交々の様子で両者を曹操に引見させ、すぐ様徐州入りに付き従った。すると糜竺が接見して家族の無事を具に報告してきたので、劉備は深く胸を撫で下ろしたのであった。


 曹操は諸将の慰労として大規模な宴会を催し、自ら中央に陣取ると、陳珪を左、劉備を右に座らせ、その他将士もそれぞれ次序に従って席に着かせた。宴果てると、曹操は陳珪親子の功績をよみして十の県を俸禄として加封し、陳登に伏波ふくは将軍の官位を授けた。

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