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淡々三国演義  作者: ンバ
第二回 張翼徳怒りて督郵を鞭ち、何国舅宦豎を殺さんと謀る
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五、十常侍の暗躍

 朱儁は軍団を纏めて洛陽へ帰還、恩賞の沙汰が有り、詔勅によって車騎しゃき将軍、河南尹かなんいんに任命された。


 朱儁は孫堅と劉備の功績を上奏し、孫堅は揚州で既に著名だったため昇進して別部べつぶ司馬しばに除されたが、無名の劉備に対しては、任官の報は一向に届かなかった。


 劉備三兄弟にとっては面白かろうはずもなく、鬱々たる気持ちで街を練り歩いていたところ、郎中ろうちゅう張鈞ちょうきんの車が通りかかった。劉備が自らの功績について陳情し窮状を訴えると、大変に驚いた張鈞は、入朝して帝に謁見するとかのように上申した。


「以前に黄巾が立ち起こった事は、その事情を尋ねれば、すべては十常侍が爵位や官職を売りに出し、息のかかった者の意見だけを用い、仇を為す人物を全て誅殺してきたがためで、天下は大いに乱れてしまいました。この際十常侍は斬首し、南郊にその首を懸けて天下に宣告すべきです。功績のある者に重い賞賜を加えれば、四海は自ずと清められ、平穏となりましょう!」


 この事を耳にした十常侍、連名の上で帝に上奏文をしたためる。


「張鈞は陛下を欺こうとしております」


 結局、帝は武士に命じて張鈞をつまみ出してしまった。


 十常侍は協議して、


「これは間違いなく、黄巾討伐で功を挙げた者の差し金だな。官位を得られなかったために張鈞に直訴したのであろう。一先ずは閑職をあてがい、根を張らぬうちに監察官でも差し向けて更迭してしまえばよかろう」


 こうして劉備は※定州中山(ちゅうざん)安喜(あんき)県の尉に任命され、日を定めて赴任する運びとなった。劉備は黄巾討伐にともに戦った兵士たちを郷里へ帰してやり、近侍の二十名余りだけを残して、関羽・張飛とともに任地の安喜県へと向かった。


(※後漢末期に定州という行政区分はまだ存在しない。当時の中山国は州に属していた)

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