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淡々三国演義  作者: ンバ
第二回 張翼徳怒りて督郵を鞭ち、何国舅宦豎を殺さんと謀る
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三、宛攻防戦

 一方、黄巾の残党である趙弘ちょうこう韓忠かんちゅう孫仲そんちゅうの三人は数万を集めて張角の仇討ちを唱えていた。


 朝廷はすぐさま朱儁に討伐を命じ、詔勅を奉じた朱儁は軍を率いて前進した。当時、賊はえんに籠城しており、朱儁がこの拠点に攻撃を掛けると、趙弘と韓忠が迎撃に出てきた。


 朱儁が劉備・関羽・張飛に城の西南側を攻撃させると、韓忠は精鋭の悉くを西南に結集させた。朱儁は自ら鉄騎二千を率いて間道から東北側を攻め取った。落城を恐れた賊は慌てて西南を放棄したが、劉備に背面を衝かれて掩殺えんさつされた。


 大敗を喫した賊軍が宛に引っ込むと、朱儁は兵を分けて四方面からこれを囲んだ。やがて城中の食糧が尽きると、韓忠は使いを遣り、城を挙げての降伏を申し入れたが、朱儁は許さなかった。


 劉備が直訴して、


「かつて高祖(劉邦りゅうほう)が天下を得られたのは、投降者に対して寛大だったからです。公はなぜ韓忠を受け入れてやらんのですか」


 朱儁は反駁した。


「その時代と今とでは状況が異なる。秦から項羽こううの時代は天下が大いに乱れ、民衆には定まった主君がいなかった。故に高祖は投降した者に恩賞を与えて帰順を勧めたのであろう。今は海内が統一され、ただ黄巾党のみが朝廷に造反しておるのだ。もし奴等の投降を受け入れれば、勧善とは申せまい。賊は利あらば欲しいままに略奪を行い、利が無くなれば投降するようになるだろう。賊をのさばらせる選択を良策とは呼べん」


 劉備、


「賊の降伏を受け容れぬというのは正しい事なのでしょうが、今は四方面を鉄桶の如くに固められおり、賊は降伏が叶わないとわかれば、必然的に死を賭して抗戦してくるでしょう。一万人の敵が心を一つにすれば、なお当たるべからざる勢いとなります。況してや、城中には太平道に命を捧げられる人間が数万人もおるのでしょう? 東と南の攻囲の手を緩めて、攻撃は西と北のみに絞るのが得策です。さすれば賊は抗う意思を持たず、必ずや城を放棄して逃げ出そうとするでしょうから、すぐにでも虜にできます」


 朱儁は劉備の進言を尤もだと考え、東と南の二方面の軍団を撤収させて、西と北から同時攻撃を仕掛けた。韓忠が果たして城を捨てて逃亡しようとしたところ、朱儁と劉備、関羽、張飛の率いる三軍に迎え撃たれた。韓忠は矢に当たって死に、余勢は蜘蛛の子を散らすかの如くに四散していった。


 追撃を掛けると、趙弘と孫仲が軍勢を引き連れて到着した。朱儁は交戦しようとしたが、趙弘の兵力が多い事を鑑みて一旦撤退、趙弘は勢いに乗じてえんの城を奪い返した。

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