四 お隣さん
『おい…集中しろよ、崩れない様に…優しく…』
『分かっている…コレを失敗すれば今までの作業も無駄になってしまう…』
深刻そうな顔を浮かべる、フェドとクラッド
その作業は、他の人からしてみれば短い時間かもしれないが、彼らにしてみれば、無限にも等しい時間であった…
恐る恐る、作業の結果を、火を止め確認する
『…成功だ!』
そこにあったのは、たくさんのレンガだった
『やったぞクラッド!私は成し遂げたのだ!』
私だって火加減の調節くらいやればできるのだよ!と言わんばかりのドヤ顔、それはいいけど…
実は粘土の量はかなり余裕があったのだが…
『あの分の粘土が使えたのならなー…』
クラッドは横に目を逸らし、寄せられている黒い塊と崩れて粉になった塊だった物を眺める
『…とにかく、コレで貴様の言うレンガとやらが手に入った、これを使えば一々魔法使って炎を付けなくてもいいんだな?』
『まあそうなる、早速壁にしていくとしようか!』
クラッドは洞窟のフェドの部屋の壁にレンガの壁を設置する
フェドは生産、クラッドは設置という訳だ
『フェドは休んでな、火力の微調整で疲れてるだろ?』
『すまない、そうさせてもらう…』
そう、フェドは魔力量が凄まじく、それに伴い意識せずとも高火力となる、例えるならF1カー、気がつけば全て炭になっている
『それでは、私は少々周りを見てくるよ』
そういい、フェドは空へ飛び立ち、ゆったり飛行する事にした
あわよくば、今日のご飯も見つけようと…
しかし見つけたのは食料では無かった
見つけたソレは、森の中、いくつかの家と畑、ボロっちい木の柵で守られていた
『あれは…』
そう、集落、または村と呼べる人工物の集合体
集落を作るような生き物は、人間、オーク、ゴブリン、リザードマン、ドワーフ、エルフ…
計6種、そのうち半分は魔物の作る集落
人間は道も無いのに森の中で集落を作るような種族では無く
ドワーフは山の麓に洞窟を掘ってそこに集落を作る
リザードマンは基本は水辺に生息する
つまり消去法でエルフ…!
『…さてどうするかな』
我々の住処からココまではエルフの足からしてもそう遠くないだろう、下手に見つかって寝首を掻かれるならいっその事先に手を出した方がいいかもしれないな
『ふむ、なら…』
フェドは何かしら計画を思いついたのか、反対側へと急ぎ目で飛んで行った