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#04 車中話と鳴り止まぬ雨音

 僕は後部座席に乗ろうとしたが、名波さんの提案で助手席に乗る事になった。この時代の車に乗った事がないのでなんだか新鮮な気持ちだった。果たしてあのボンネットの上ら辺についているミラーでちゃんと見えているのだろうか...。

コンビニを後にしてしばらくすると交差点に差し掛かった。信号は赤を示していた。名波さんはブレーキを踏み車が完全に止まるとついに口を開いた。

名波「あっ、そうだ。さっき言ってた例の500円玉、見せてくれない?」

達也「あ、あぁ、ちょっと待って下さい。今出しますね。」

達也は名波さんが突然そう言ったせいか少し慌てた様子で500円玉を財布から取り出した。

信号が青になったので名波さんは車を発進させ、少し進んだ所の路側帯で停止した。

名波さんは500円玉をじっと見つめていた。すると名波さんはまた口を開いた。

名波「この500円玉よく出来てるね。どうやって作ったの?」

達也「いや僕は作ってませんけど!?」

少し意外な一言に達也は食い気味に突っ込んだ。そんな達也の様子を見た名波さんは少し微笑んだこう言った。

名波「キミ、面白いね。お姉さんのうち来る??」

達也は少し驚いたが、冷静に返事をした。

達也「いろいろ聞いたい事とか沢山ありますよ。この世界の事とか。」

名波「私もあなたに聞きたい事いっぱいあるよ。ありすぎて何から聞けばいいか分からないくらい。」

魅惑の笑顔であった。

名波「それはそうと、この500円玉凄いね。黄色く輝いてる。でも、私が今持ってる500円玉と大きさとかデザインもそこまで大きく変わらないっていうのがまた不思議な所よね。」

達也はそういう名波さんに向かって少し目を見開いて言った。

達也「その500円玉、少し斜めに傾けて見てみて下さい。0の中に'500円'って書いてありますよ。」

そう言われた名波さんは早速試してみた。

名波「ほんとだ!これ凄いね!気に入った!なんか近未来のお金って感じがするね。」

名波さんは満面の笑みを溢しながら言った。名波さんの言う事はあながち間違いではない。

名波「もう一つどうしても気になる事あるんだけど良い?」

名波さんは真剣な顔をしてそう放った。達也は頷いた。

名波「こういう硬貨って製造年が書いてあるでしょ??昭和何年とか。ここに書いてある平成へいせい...だっけ?これが一番疑問に思う所かな。一番新しい硬貨でも'昭和五十年'が精一杯。」

達也「昭和か。そう言えば信号機もなんか懐かしいなって思ってました。白熱灯の信号機。 あっ!」

達也は余計な事を言ってしまったと横目で名波さんを確認すると想像通り興味津々だった。

名波「え!?あの信号機が懐かしい!?懐かしいって何??あの信号機しか見た事ないけど。私たちで言うゼブラ信号機みたいな物??」

達也(めっちゃ興味津々じゃないか。俺にとってゼブラ信号機は懐かしいというより古過ぎ。地方に言った時に派手な広告の前にある物を一度見た事しかないよ!)

達也は心の中で散々突っ込んだ。達也は少し重たい口を開いて挑戦するかのように言った。

達也「多分話ても信じてもらえないと思うけど、僕が知ってる信号機はLEDで光ってるライトの上に傘のような物はもはや無いんですよ。そして、めちゃくちゃ薄い。もちろん全てがそんなんじゃなくて、あの交差点のような形をしていてLEDという物もありますよ。薄型の物は最近増えて来てますね。」

名波「え?え?何それ??LEDの信号機!?ここ田舎だからそういうの見た事ないな。キミ、東京から来たの?東京の信号機ってそんなに進んでるの??」

名波さんの反応は達也の想像の斜めを行く物だった。そして意外な食いつきだった。

名波さんはハザードを消して、再び車を走らせた。

名波「この後、大丈夫でしょ?私の家そこまで遠くないから寄って行きなよ。まだまだ聞きたい事沢山あるし。なんから泊まって行っても良いよ。」

達也はとても驚いたが自分自身も聞きたい事が山ほどあったので少し甘える事にした。

達也「特に予定も立てられる状況でもないので、全然大丈夫ですよ。」

名波「よしっ!もうすぐ着くからちょっと待ってね。」

名波さんは微笑みながらそう言った。

達也と名波さんは会話をする内にいつの間にか仲良くなっていた。

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