第二話 俺が死んだ理由
俺は小学生の頃から少しおかしかった。
血を見てしまうと血を飲みたい気分になる。
それがたとえ
動物の血だろうと
人間の血だろうと。
俺は昔から臆病な奴だった。
どんなことをするにも周りを見て、
誰かがやっていることは、やっても大丈夫なことで
誰もやっていないことは、自分もやらなかった。
人と違うことはやらず、真似ばかりしているような奴だった。
だから俺は、血を飲みたくなっても絶対に飲まなかった。
誰も、血を飲むなんていうことはやっていなかったからだ。
どれだけ血を飲みたくなっても我慢してきた。
親に相談しようとも思ったが、我慢することはできているし
悪いことが起きているわけではないと思い、言わなかった。
でも、俺の『血を吸いたい』という衝動は日に日に強くなっている。
それでも俺は、ひたすら我慢してきた。
そんな日が何年間も続いて、俺は中学二年生になっていた。
その頃には、自分の吸血衝動はおかしなものであるということは分かっていた。
学校では、いつも一人だった。
昔は、話しかけてくれるような優しいやつもいた。
俺も、話すことは好きだったから嬉しかった。
でも、自分の吸血衝動がおかしいと知ってからは
なるべく人と関わらないようにしていた。
この「吸血衝動」がいつか暴走して、誰かの血を吸ってしまうかもしれない、
そうなれば、俺は周りから白い目で見られてしまう、
ならば、なるべく人と関わらないようにしておこう、
などという中二病感満載のことを考えていたのだ。
周りからは
「一人でいる俺かっけぇとか思ってんだろwww」
「あの根暗くんキモすぎだろww」
なんて言われてた。
だが、俺はまったく気にしてはいなかった。
いや、正確に言うならば気にしている余裕がなかったといえるだろう。
はじめのうちは、多少は傷ついていた。
でも、
俺の吸血衝動は日に日に強くなっていき、
たとえ血が出ていなくても、血を飲みたくなってしまう。
だから
教室などという狭い場所に何十人もの人がいれば、
俺に周りを気にする余裕なんてものはなくなっていた。