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マナビットの「イヤハの里」滞在記  作者: 和示石まかせ
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ここは、ただのちーさな村だよ。

マナビット達は、無事に森を抜け出し安心して休める宿のある町に辿り着くことが出来るのであろうか

「小さな村だよ、ただの村。」とサチアは、俺の「本当、幸福の里だな」という小さなつぶやきを聞き留め軽く言って退けてからミントティーをひとくち口に含んだ。


「ここに来て1ヶ月経つけどな喧嘩とかいがみ合いとか見栄の張り合いとか不平不満、愚痴、泣き言、悪口、文句なんかも聞かないしさ、それに農作物は多いし食事も美味しいし村中も綺麗だしみんなの家の中も片付いて散らかってない。」俺は一口コーヒーを飲む。

「それに不思議なんだけど魔法がないのに明かりがついたり箱から人、物、風景、が見える道具とか有る、馬とか牽かないのに走る馬車があるし!馬車じゃないか(笑い)」


「自動車ね電気で動く、クルマ。」サチアが訂正を入れてくる。


「電気ってすごいな!」魔法が使えない俺は凄く感動した。


「やはりここは、幸福の里だよ!何たって里の人みんな笑顔だもの」


サチアは、ミントティーをもう一口含んだ後ティーカップをそーっと音が発たない様にソーサに戻して、静かに語り始めた。

「マナビット、この世界には現象としての幸せなんて存在し得ないの、不幸も現象として存在し得ない。」とサチアは語った。


俺は、この里で出会った人々を思い浮かべ違うサチア違うよって如何にこの里が幸せなのかをサチアに向かって言葉を吐き出して行く。

「みんな幸せで楽しく暮らしてるこれが幸せじゃないなんて思えないよ。」


サチアは俺に目を合わせながら答えた。

「ここに居る者達は、()()()()()()()()()()()()の」サチアは俺の目を見つめながら言葉を紡ぐ「自分達の存在するこの村の状態を肯定的(よいように)に捉えてるから笑顔でいられるんだよ」

「マナビット、便利な物が有るからって幸せと思わない人もいるの。まだまだ足らないもっと良いものが欲しいて思う人もいる」


俺は、バカだからわかんないけどこの里の様な所に住んでいて幸せじゃないやつがいるとはどう考えてもわからない。


サチアは続けて言葉を探しながら丁寧に語る「幸せって、周りの物とか周りの人とか自分の身の回りの出来事に付随するものではないのよ、物とか人とか出来事とかに出会った自分自身が肯定して自分の(なか)に溢れ出るものなの」

「なになにが幸せとか、その状況とかが幸せって事じゃなく自分が幸せを感じてるてことなの」

「世の中の人みんなの幸せの感じかたは違うものなの」

「幸せを感じた時にしか幸せは存在しないのだから、又不幸も不幸と思った時に自分自身の(なか)に浮き上がる感情なの」とサチアは語り終え冷めたティーカップを手の内に納めた


俺は、わかったようなわからないようなあやふやな不思議な感じを味わって、

ここに来るまでのとんでもない不幸な出来事に思いを寄せた。サチアにしたら不幸でもないなんでもないただの出来事なんだろうなと思いつつ.......


            ~~~~~~~~~~~


幸福の里イヤハを探すのを断念した俺たち「夕陽の誓い」メンバー6人は、城塞都市サージョの手前の町シコックツルギ山脈より北西のミヨッシに向かっている。この森林地帯を最も早く抜け出せる町はミヨッシである。今現在リーダーは、オドルアではない。魔物使いのミカが、使い魔の魔犬チワンを頼りに皆を引率している。


「そのちびころ(チワン)に町までの道ってわかるの~~~ぅ」カマーゲが疑いの眼差しをミカに向けた


「ちびころじゃありません!」「魔犬チワンです!」とミカがそんじょそこらのちびころ犬じゃないと主張しチワン♀も俺はそんじょそこらのちびころじゃないと「ワン!」と主張の一吠えをする

「チワンの嗅覚はすごいんです!」「人の多い町の臭いがわかるんです!」「毛並みもふわふわだしコロコロだし肉球も柔らかく抱き心地は言葉に出来ないほど癒されます。」と道案内ができることと訳のわからないことを主張した。


「ミカさんまた後でチワンちゃん抱かせて下さい」「私も癒されたいですぅー」と聖女イヨが、の賜った。


ミカは、解るものはわかる魔犬チワンの素晴らしさがとイヨに良いよと承諾の頷きを返す。魔犬チワンも俺を後で堪能するが良いの一吠えをする


そんなこんなとしながら帰路を急ぐ五人と未練がましく意気消沈した一人(オドルア)はがさがさと最短距離の町へと歩む。


「ワォン!」小さく一吠えして歩みを止め後ろを振り向く魔犬チワン。

「うっぅぅぅ…」唸り毛が逆立ち前足を踏ん張りながら爪を地面にくい込ませていく


「後ろからなにか来てるのか。」と大剣使いのカッツオが来た道に向かい前に出る。


俺たちは臨戦態勢に入る。オドルアも気を入れた真剣な眼差しで()()()かが現れるであろう方を見据えリーダーらしく的確な指示を出していく

「カッツオ、マナビット前に!ミカ、イヨは後ろ!カマーゲ俺の直ぐ後ろ右だ!」

「ミカ!魔大猿ゴルゴを召喚してくれ」


「オケです。ゴルゴ召喚!」ミカが召喚術を唱えると身長3mの赤黒い魔大猿が現れた。「ゴルゴ13歩ほど前で待機」「チワン、また呼ぶからね暫く休んでなさい」

ゴルゴが俺たちの前に立ち、チワンが帰って行った。


俺たちでも解るほどの凄い魔力威圧が押し寄せて来た。

「まさかS級か!」カッツオの額より冷や汗が垂れる。


「この魔力ってヤバイわよ!」カマーゲがビビる。


「そうだな討伐より皆が無事逃げ切る算段だな」オドルアはこと魔物相手盗賊相手とか戦闘に関しては的確な対応がとれる。リーダーとしての責任感も強い。()()()()()()()頼りになるリーダーだ。


地鳴りが響き振動が伝わる。鳥、魔鳥たちが悲鳴とともに飛び去る。森が鳴き叫ぶ。そしてそれは現れる。


俺達は現れたモノに目を見開き口を開いたまま唖然とした「S級?じゃないSS級じゃない!」カマーゲが顔をひきつらせ叫ぶ!


「魔恐竜!」「こんなの偶然でも会うものじゃない引きが悪すぎる~~」ミカが叫ぶ


「ミカ!ゴルゴを噛ませ押さえ込んでくれ、その後ゴルゴと交代でチビコロを召喚してイヨと逃げろ」

ミカは、チビコロじゃない魔犬チワンだ!と心の中で反論した。

「カマーゲ!炎はヤバイから風塵で目眩ましだ」「カッツオ、マナビット、俺に続いて突撃して足を狙えヤツが反撃して来るまえに逃げろ!」


俺たちは、逃げのタイミングを見計りながら足元に攻撃を集中さす。ヤツの目元が晴れてきたところへ


「カマーゲ!こいつの目の前に爆炎魔法を放て!」「撤退だ!」オドルアが撤退(逃げろ)を告げた。
























「夕陽の誓い」の六人は無事に魔恐竜から逃げられるのだろうか。


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