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はじてのショッピング

いや、まじで暇だった。

ようちゃんの方を見るとまだ終わっていないようだったのでベンチに座って時間を潰す。


ギルド内は人間だけしか居ないので、異世界なのにエルフとかドワーフ、獣人なんていう他種族の居ない若干期待外れな世界なのかなと落胆する。魔族はいるらしいけどね!


しばらくぼーっとしていると戻って来たようちゃんと合流し、ステータスを見せて貰う。




〈LV.5〉

【人族】ヨウ

〈称号〉

〈刻印〉

〈加護〉「生命」

〈スキル〉「格闘I」「投擲I」「忍耐II」「片手剣II」「体力I」「疾走I」

〈魔法〉「身体強化」




ようちゃんはいつの間にか魔法を使える様になっていたようだ。


「俺ホゲワーツ魔法学院行ってくる」

「お、おぅ」


そんな会話をしていたら受付のおば…お姉さんがそっとパンフレットを差し出して来てくれた。


なになに…『ホゲワーツ魔法学院入学案内』…あんのかよっ!そう言ってパンフレットを地面に叩き付けるが、折角貰ったのに捨てるのは悪い気もするのですぐに拾って鞄に入れる。うん、後で見てみよう。


ギリドの職員さんに、この町で一番安い宿を聞いてから、門番の兵士の所へ向かうことにする。

聞いた話によると、一番安い宿で一泊銅価1枚だが、あまり治安が良くないのでこちらがいいですよー。と『ムササビの宿』という所を紹介された。


この世界の貨幣価値は基本的に銅貨=1000円くらいの感覚らしい。

先ほどの創造での金貨1枚=10000円の変化は日本円がインフレを起こしていたらしい。文化レベルの違いに感謝しておく。

とりあえず日本円感覚で98,000円位位持っていると考えれば多少は心に余裕が持てる。


入り口の兵士さんに仮の身分証を返却し、ステータスカードを見せると俺とようちゃんを見て大層驚いていた。俺も星持ちだもんね!えっへん!


その後二人で「ムササビの宿」に向かうと受付にはブロンドの癖っ毛ロングでたれ目の爆乳さんがいた。もう一度いいます。爆乳さんがいた!


「おふたりですか~?」


おっとりとした話し方でとても癒される!


「一人部屋が~、一人銅価3枚で~、二人で部屋が~、二人で銅価5枚になりま~す。」


なんかだんだんイライラしてきたぞ?可愛いのに、、とりあえず目線は胸に釘付けです。はい。

え?ようちゃん?ようちゃんも胸に釘付けになってますよ?


「じゃあ二人部屋で、一緒でいいよな?」

「もち!」

「1日で~よろしいですか~?」

「とりあえずそれで」

「は~い、前払いになりま~す」


鞄から銅貨5枚を取り出してカウンターに置くと、受付のお姉さんは後ろから鍵を一つ取り出してようちゃんに渡す。


「お部屋は~二階の~、右側~、一番奥で~す」


そう言って手を降って見送られながら部屋に入る。


「破壊力やべぇぞ!」

「いやいや、ぴょん見すぎだから!」

「いや、ようちゃんだって!」


お互い傷つくだけの話題は適当に切り上げ、元の世界から着たままになっている服装をなんとかする事にする。このままだと無駄に目立って面倒だ。


今この部屋では、俺達はパンツ1枚という人に見られたら誤解されそうな状況だ。


ガチャ


「そう言えば~、忘れてたんですが~、一階の~奥に~食堂があるので~、お腹が空いたら~いつでもご利用くださいね~。」


爆乳さんはノックも無く扉を開けてそういい放つと、俺達二人を交互に見てからあまり部屋を汚さない様に注意を入れ、にこっ!と笑ってから扉を閉めて消えていった。


俺達は泣いた…




気を取り直して服装をどうにかする事にする。

今、目の前には俺達の着ていた服が置いてあり、それを全て創造で素材の状態にする。

それを町の住人を参考にしたしんぷるデザインの黒のシャツと黒のパンツ2セットを作り、二人無言で装着する。


「ペアルックだね…」

「そうだな…」


さらに、自分の着ていたコートを素材にして、黒のフード付きローブコートを作り羽織る。

ようちゃんには勝手なイメージで着物の羽織風の服を作りたかったが素材が足りないので布性のサーコート的なものを作り渡す。

後は靴だけなのだが、この世界の靴系は基本的にハイカット以上の革靴が主流の様で、根本的な革不足に陥り町の防具屋に向かう事となった。


因みに俺はくるぶしまでのビジネスシューズで、ようちゃんは灰色のクロックスだ。ミスマッチ感がハンパない。


一階に降りると案の定爆乳さんは微笑ましい笑顔を向けて来たが、俺達はそそくさと宿を後にして早くこの町を出ようと決意する。


町のメイン通りを歩いていると服屋もあったのだが、服屋は基本的に儀礼用や、農民、商人向けの服を主に扱っており、戦闘での実用性が無かった為、ギルドの並びにある防具屋に向かった。

防具屋はあまり広くない店内に革製から鉄板系の防具が所狭しと並べてあった。


俺達は目移りしながらも中古のコーナーから黒革のロングブーツと茶色の革のロングブーツを手に取りカウンターに持っていく。

カウンターにはスキンヘッドのTHE親父という感じの筋肉もりもり日焼け上等のおっさんが椅子に座って金属の籠手を磨いていた。


「これください!」

「あぁ?そっちの兄ちゃんはともかく、坊主にこの靴はでかいんじゃねーか?」


テンプレ的威圧のある話し方なのに、小さな気遣いの出来るいいおっちゃんだった。俺的好感度急上昇中!


「革細工の心得があるので大丈夫です!お気遣いありがとうございます。」

「へぇ、ちっこいのに大した奴だ、もし今度型直しがある時、手伝ってくれんならまけてやるよ!」

「本当ですか!ありがとうございます!」


おっちゃんは、いいって事よ!といいながらようちゃんの方に視線を移す。


「兄ちゃんの方は見たところ格闘もやってそうだし、その革靴よりこっちのが使えるぜ」


そう言って見た目は同じ様だが、靴先に鉄板の仕込まれた安全靴のようなロングブーツを持って来た。


「まあ、こいつは新品だから値は張るが、余裕があんならこいつがお勧めだ」


なんと気配りの出来た商売上手!成る程この町一番の防具屋を謳っているだけの事はある!


「因みにいくら?」


やはり、ようちゃんもそっちの方が好みみたいだ。


「中古の革靴はどれでも銅価5枚で、この鉄板入りが銀貨1枚だが、そこの坊主に免じて銅価5枚割り引いてやるよ、その変わり坊主は明日手伝いに来てくれ!大口の注文が入って猫の手も借りたいくらいなんだ、勿論報酬もある!」


「ぴょんどうする?」

「んー、あした1日だよね?日当もらえて値引きもしてくれるみたいだし、明日の予定決めてないからそれでもいいかなー?」

「じゃあ明日は自由行動だな!」


明日の予定も決めて、鞄から銀貨を1枚取り出してカウンターに置く。


「そういえば、もう一つ欲しいものがあるんですが、アイテムバックってありますか?」


リーエさんやダンテさんの使っていたアイテムバックが気になっていたので聞いてみる。


「アイテムバック程大きいのは置いて無いがアイテム袋ならあるぞ」


そう言っておっちゃんは奥から拳大サイズの腰袋を2つ持ってくる。


「見た目は小さいがこれで10キロ位なら収納出来て、重さも増えない。まぁ、中古だから一つ銀貨2枚でいい」


本来はこんなのでも一つ銀貨5枚位するらしいが明日の手伝いに念を押された上で安くしてくれた。

結構な出費だったが背に腹は変えられないので買っておく。


その後軽く挨拶と明日の予定を簡単に詰めて俺達は防具屋を後にした。


店のおっちゃんはランディさんと言うらしく、この町では結構顔が広いらしい。


俺達は宿に戻り、創造で革靴の新品化とサイズ調整をして装備し、一階の食堂に降りて青銅貨5枚を払い食事をする。


メニューはお任せ定食しか無かったが、定食は厚切りの謎肉に白パン、謎野菜のサラダで、味付けは塩胡椒がベースなのに正直元の世界に負け劣らずの味だった。でもやっぱりお米が恋しい今日この頃。


部屋に戻りアイテムバックとさっき創造したポーション5個、銀貨2枚をようちゃんに渡し、日も暮れランプの明かりだけで特に出来る事も無かったので、早速床に付く。


今日1日で色々あったがなんとか異世界でもやって行けそうだな、と感慨に耽っていたが隣のようちゃんはもう寝ているらしくちょっと煩いいびきにイライラしながら俺も眠りに落ちた。

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