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はじめてのギルド

暇だった、、友達いるもんっ!

移動中は魔物に会うこともなく、目的の場所に到着する事が出来た。


一人は地面に横になっており、もう一人はその隣に木にもたれ掛かるように座っていた。


「誰だっ!」


此方に気付き一瞬警戒されるがリーエさんを見てすぐに警戒をとく。


「リーエか、無事だったのか。」

「この方達が助けてくれました。」


そう言って俺達を紹介する。彼らを見ると生きてはいたのだが、ダメージが大きく一人はまだ意識が戻っていなかった為身動きが取れなかったようだ。


意識のある方はダンテという名前で引き締まった体に中間管理職やってますといような苦労顔の似合う堀の深い茶髪セミロングのおじ様で、短剣を扱う索敵役の人だった。


倒れている方リはッツという名前で顔は幼さが残るちょっとやんちゃなヤンキー風の青年。金色の短髪で無駄にピアスが何個も付いていたりしていてなんかチャラそう。


所でダンテさんいわく不思議な格好だがその衣装は?と聞かれ、新作の宣伝もかねて着てるんですー!なんて適当にごまかした。やっぱりこの格好はなんとかする必要がある。


とりあえずこの場にとどまるのは危ないので、ダンテにポーションを渡し転がっているリッツの顔をバシバシ叩き、意識を戻した所どポーションを口に突っ込む。リッツはこんな扱いでも大丈夫な気がする。


意識を取り戻したリッツとダンテさんがポーションに驚きながらもなんとか歩ける位までに回復したので、ようちゃん先導のもとランドソードと戦った場所まで戻る。


「なんと…倒していたのか…」


ダンテが少し驚きながらもリーエさんから詳細を聞いている。

それを横目にようちゃんと俺はどうやって剥ぎ取ろうか考えているとダンテさん提案する。


「よかったらこいつは俺達がもらってもいいか?勿論今すぐではないが報酬は出させてもらう」


どうせ持ち運ぶ事も出来なかったのでようちゃんにいいよね?と許可をもらってダンテさんに任せる事にした。

するとダンテさんは自分のポーチを触りながらランドソードを触るとランドソードが収縮されるようにランドさんのポーチに入っていった。なんでも生き物以外であれば一定量まで収納出来るようだ。

リーエさんは商人なのに知らないの?と聞いてきたが、田舎から出たばかりだと適当な嘘でごまかしておいた。


その後町の事を聞くとどうやら本当に小川を下った先に小規模な町があり、バランシールという町だそうだ、日が暮れる前には到着出来るとか。


途中何度かゴブリンに遭遇したがようちゃんとリーエさんが無双して何事もなく町に到着した。途中リッツがようちゃんを見てやべっす!パネェッす!とか言いながら変な目で見ていたのだが、ようちゃんにそっちの気は無いよと思いながらするーした。


因みにこの森は深緑の森と言って、ゴブリンや比較的弱い魔物しか居ない森なのだそうだ、なのでランドソードなんて普通居るはずもなく、ゴブリンさえ気を付けていれば薬草や山菜が豊富に捕れるバランシール御用達の裏山的存在だった。


町は石造りの3メートル程の防壁に囲われており、あまり大きな建物は無いカントリーな雰囲気の町だった。


そのまま門まで歩くと、兵士のような人が二人立っており、こちらに気づく。


「あっ!ダンテさん…その怪我…大丈夫ですか!?…それとそちらの二人は?」


ダンテさんは簡単な経緯を話して兵士の一人がどこかに走っていった。


「それでは一応形式ですので身分証をお願いします」


兵士がそういうと、リーエさん、ダンテさん、リッツと順番にカードのようなものを取りだし提示していく。そして俺達の番になる。


「すみません、身分証は持ってないです」


下手な嘘をつくよりはましだろうと正直に話す。


「それではあちらの方で簡単に確認させていただきます」


兵士はそう言ってすぐ横にある木の小屋の方へ指をさす。


「それじゃあ俺達はギルドに用事があるから、お礼や報酬もあるし後で来てくれ」


ランドさん達とはそう言って一旦別れる事になった。あるんだね、ギルド!


その後俺達は小屋の方に案内された。

中は真ん中に木の机と椅子が4つ、横に本棚と水瓶が2つに棚が一つととても簡素な作りになっていた。その中の椅子に促されて俺とようちゃんは座って簡単な面談を受ける。


「お名前は?」

「ユウって言います。彼はヨウです」

「この町にはどういう要件で来たのですか?」


ここは俺が話をするからようちゃんは合わせてちょーだい!と事前に話しておいたので俺が話す。


「ダンテさん達を助けたついでというのもありますが、田舎から商売をする為にでて来ました」

「出身はどちらですか?」


そう来ると思ってたから先に壁に張ってある地図を見て適当な村に目星をつけておいた。こんにゃくのおかげで異世界文字もばっちこいだぜ!


「森を挟んだ先にあるリエールの村です」


そういうと兵士は、えっ!?という顔をして机に手をついでガタンと立ち上がる。

やべぇ、やっちまった感あるな。そう思っていると兵士は哀れみの表情を向けてくる。


「その周辺は5日程前に魔族に占拠されたのでおそらくもう…」


魔族に占拠?あれ?そういえば俺らの種族って魔族になってなかった…?バレたらやばい…?嫌な汗が額を流れるがなんとかばれないように繕わなければ…俺は勢いよく椅子から立ち上がり、そ、そんな!とか言っておく。


「ユウさん達は運が良かったですね…」


兵士は哀れみの目で見ている。効果は抜群だ!


とりあえずごまかし切れたようで、仮の身分証として番号の付いた木の板を渡され、無くすと銅貨5枚の罰金という事と身分証が作れたら再度提示に来るようにと説明された。身分証は教会とギルドの2ヶ所で作ることが出きるようなので、ギルドの方で作りますと言って解放された。

因みにギルドは中央の道をまっすぐ行くとすぐに分かるそうだ。


ギルドに向かい小屋から少し離れた所でお声がかかる。


「ぴょん、どーする?」


ようちゃんの言いたい事は分かる。もし身分証を作る際に魔族だとバレたらヤバいという事を言いたいのだろう。一応当てはある。


「とりあえず、ようちゃんいまいくら持ってる?」

「ん?お金は全部ぴょんが持ってるだろ?」

「違う違う!日本円の方!」


そういうとようちゃんは、ああ!といって財布取りだし覗きこむ。


「んー、2万くらい、、?」

「普段持ち歩かないようちゃんにしては上出来!!というかもう日本円使わないし全部貰うねっ!」


そういってようちゃんから財布をひったくって中身を取りだし財布は返す。


そのまま自分の財布からもお金を取り出すと全部で49,821円になった。定番の語呂合わせも何もない雑な数字に落胆しつつ、回りに見えない様に鞄の中に手を突っ込んで4万を対価に2つの指輪を作る。


その一つをようちゃんに渡して一つを自分の人差し指に着ける。サイズが自動で調整される辺りファンタジーだ。ようちゃんも自分の人差し指にはめるのを見てペアリングだね!と言うとパシンっと頭を叩かれる。気を取り直して創造する際に浮かんだ効果を説明する。


「いてて、えっと、偽装の指輪って言って、これ付けとくとステータスの偽装が出来るよ!因みに声と姿も変えられるみたいだけど遊ぶのは後でねっ!」

「おおっ!やるな!」


ようちゃんは面白いものを手に入れたとニコニコして指輪を見ている。だけどここでとても大事な話がある。


「この指輪をこの世界の通貨で交換すると金貨2だったんだけど、金貨1枚が一万円の価値だとすると俺らかなり貧乏かも、、もしかしたら宿泊まれないかも…」


そう言って鞄の中で残りの9,821円をこちらの通貨に変えて銀貨9枚と銅価8枚、青銅貨2枚と、最後に銭貨という純度の低い鉄製の通貨1枚を手に入れてそのまましまう。


「野宿かあ、ギルドいって仕事探すか」


ようちゃんも野宿は嫌だよね


「まあ、でも今日は報酬も貰えるらしいし一泊くらいなら出来るはず!」


種族という憂いの無くなった俺達は、とりあえずギルドに向かうことにした。


ギルドは本当にすぐ見つける事が出来た。建物自体も他に比べて大きめで、なにより大きな看板に大きく『ギルド』と書かれており、さらにはその周辺は人がたくさん集まっているので、これは馬鹿でも分かるわなと納得した。


あまり目立ちたくない俺達は、テンプレ通りヒャッハー!な人に目を付けられないよう、ようちゃんを先頭に慎ましくギルドに入る。


中は役場の様な感じで半分が職員用のエリアになっていて、カウンターを挟んだ半分が沢山のベンチの並ぶ待合室スペースになっていた。待合スペースはそれこそ老若男女様々な人が座っていた。


俺達が入るとテンプレ通り視線を集めたりする事も無くダンテさん達を見つけ片手で挨拶する。


「早かったな、とりあえずこれが報酬だ」


ダンテさんから銀貨3枚を渡される。2枚が護衛の分で1枚がランドソードの報酬分だそうだ。因みにダンテさん達は冒険者として依頼を受けていた様で、今回の報酬の半分以上を貰う事が出来た。


それにしても、あの命懸けの戦闘で日本円換算で3000円が半分以上とかこの世界での生活詰んでない?とか真剣に悩んでしまう。


その後適当にあいさつを済ませて俺達はギルド登録をする事にした。


カウンターは大きく3つに分かれており、一つが冒険者カウンター、もう一つが商用カウンター、最後が依頼用カウンターとなっていた。


俺達は冒険者カウンターの空いてる席にそれぞれ向かう。


俺の向かった先には恰幅の良いおば、、お姉さんがいた。因みにようちゃんの方はそれこそスレンダーなお姉さん!くそぅ、羨ましくなんかないぞ…


「あらあら、いらっしゃい、お父さんとお母さんにお使いでも頼まれたの?」


もう子供ネタはいいよっ!と思いながら、おば、、お姉さんに冒険者登録をしたいと伝えると、あらっ!という顔になってから簡単な説明をしてくれた。因みに冒険者の登録は15歳から出来るそうだか、若干それより若く見られていたようだ。ちくそぅ


冒険者について簡単にまとめるとこんな内容だった。


冒険者の怪我や事故、死亡に関しては自己責任であるという事。

冒険者になると冒険者としてギルドに身柄を保証されるが、3年以上ギルドでの活動が無い場合は資格剥奪となる事。

冒険者同士の殺人、略奪は基本的に禁止との事。なお違反時は冒険者資格剥奪の上ギルド長判断で裁かれるという事。

依頼を受けた際、期限以内に達成出来なかった時は減額もしくは報酬無効になる。また、失敗時は罰金が課せられる事。

冒険者に登録するとギルドカードが発行され、初回登録は銀貨1枚、紛失時の再発行は銀貨2枚という事。

冒険者は国や戦争に拘束される事は無いが、魔物や災害といった緊急性のある際にギルドの管理下に置かれそれに従うという事。

冒険者には階級が存在し、5階級に別れ、下からアイアン、ブロンズ、シルバー、ゴールド、プラチナに分けられ、登録時は必ずアイアンからという事。

因みにアイアンは初心者から一般レベルの冒険者で、ブロンズは熟練した上級冒険者。シルバーが上級の中でも特に突出した能力のある冒険者で、ゴールドは化け物クラス。プラチナは規格外との事。さらにランク毎に特権も増えるらしいが割愛。

なので普通はシルバーを持っていれば尊敬される位なので一般的な冒険者の目標はシルバーである。

なのでおば…お姉さんにも頑張ってシルバー目指してくださいねぇ、なんて応援された。


ふむふむ。国に関与しないなら魔族は隠さなくても良かったのかなー?とも思いながらも、どちらにせよ悪目立ちは嫌なので結果おーらいという事する。とりあえずスレンダーなお姉さんと話してるようちゃんの方に銀貨を1枚投げておく。

痛っ!とか聞こえたが今回も幸運はいい仕事をしたようだ。


登録は名前を書いて血印を押すだけという簡単なものだった。そう言えば名前はどうしようかなと迷ったが、既に「ユウ」とあいさつしているのでとりあえずしゃーないとそのまま記入する。

その用紙を持っておば…お姉さんは奥の方に向かいしばらくして鉄製のプレートを持って来た。


「それではこちらがユウさんの冒険者カードになります。なくさないようにねぇ。」


相変わらずの子供扱いであるが、もう気にしない。ギルドカードには名前だけが掘られていた。


「そちらのカードに『転写』と念じてください。」


言われるままに『転写』と念じると、目の前にステータスが表示された。



〈LV.3〉

【魔族】ユウ

〈称号〉

〈刻印〉『創造』

〈加護〉「幸運」

〈スキル〉「鍛冶I」「裁縫I」「木工I」「錬金術I」「交渉I」

〈魔法〉




なんか称号とか気になる所も多いが、そのまま『偽装』と念じるとステータスが変化した。




〈LV.3〉

【人族】ユウ

〈称号〉

〈刻印〉

〈加護〉「幸運」

〈スキル〉「弓I」「鍛冶I」「裁縫I」「木工I」「錬金術II」「交渉I」

〈魔法〉




変化したステータスを確認すると案の定ステータスの提示を促される。なんでも冒険者カードに触れる事でその持ち主のステータスが見る事ができるとの事。


因みに称号というのは偉業を達成した際に得とく出来るもので、いわば名声に繋がるものであると説明された。


とりあえずギルド登録も終わり、ようちゃんを待つ事にした。

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