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建国神話

2連休って何すればいいか分からない。

俺は天翔で空を翔けていた。普通に歩いたり馬車を使うよりも断然はやい。


砦にもすぐに着くことが出来たが、状況は酷いものだった。魔族の砦は障壁が張られていたが、あの分だとそんなに長く持たないだろう。既に籠城するまで追い詰められていた。


俺は魔族側の布陣の中程に降り、魔眼を使いながらどうも魔王です。挨拶しながら砦の中へ入る。皆混乱していたり平伏していたり怯えていたり様々な反応をしていたが、特に邪魔される事無く入る事が出来た。


俺は偶々目についたボインな魔族の女兵士に魔眼を使い、魔王だよ!指令室まで案内よろ!と言うと混乱しながら案内してくれた。


指令室の前まで来ると、その扉を思いっきり強く開け放ち魔眼を使う。


「魔王様だよ!呼ばれて飛び出てじゃじゃじゃじゃーん!」


そう言って前に出る。誰もくしゃみしてない?あくびでもいいよ?


この魔眼は本当に便利だ。信用という面で一切誰も疑ってこない。


「それで状況は?」

「今更魔王が来たところで何も出来る訳ないだろ!」


鬼のような二本の角を生やした深い青髪の青年が食って掛かる。自分が伝えた魔王という所までしか信用はされておらず、実力という点では一切信用されて居ないようだ。


「とりあえず目の前の人間の軍をどうにかすればいいんだよね?」


青年はイライラしながらいい放つ。


「それが出来るならとっくにやっている!」


周りの魔族も皆既に敗戦を受け入れているようだ。ふむ、情けない。


「じゃあ行ってくる!」


俺はシュタっ!と敬礼のポーズをとっても散歩に行ってくるというようなノリで部屋を後にする。


指令室には唖然とした空気だけが残った。


俺は砦の上へと向かい、屋上まで行くと、天翔を使い魔法や弓をかわして人間の布陣の真ん中に着地する。


直ぐに囲まれて剣や槍を向けられる。


「見たところ人間の様だが何者だ!」


鬼軍曹みたいな感じの甲冑を纏ったダンディな隊長格らしきおっさんが話しかけてくる。


俺は魔眼を使いながら話す。


「始めまして、魔王です。人間の深夜する神は残念ながら俺が殺しました!今ここでお前らを皆殺しも出来るけど、我らが神、イザナミ様を信仰するならとりあえず捕虜として身の安全を保証してあげます。イザナミ様は寛大なので人間も差別なく受け入れ、許し、慈しんでくれます。受け入れられない人は今ここで死よりも酷い方法で処理します。選んでね!」


そう伝えた瞬間一気に場の空気が凍った。中には剣を落とす者やへたり込む者等反応は様々だ。


すると一人の兵士が奇声を上げながら俺に斬りかかってくる。皆殺しに出来るという圧倒的力の差を信用させた上でだ。恐らく気が狂ったのだろう。


丁度いいので見せしめにしようかと思う。

俺は氷の破片を宙に作り、一瞬でその兵士の四肢を切断し、そいつの首を持ち上げる。


そして喰らった。煉獄に行って俺の精神は崩壊したのだと思う。なんの嫌悪感もなく骨ごと喰らう。スキル『悪食』のお陰で、口に入れた物はどんなものでも噛み砕き飲み込む事ができるようになった。


俺は首だけになった兵士をそのままポイと転がして、口に着いた血を手で拭い、いい放つ。


「おかわりは?」


その光景を見た人間達全てが降伏した。

総勢3000の兵をたった1人殺しただけで降伏させたのだ。

俺は取り上げた武器から元の世界の手錠を人数分創造し、先ほどの隊長格の奴に使い方を教えて手分けして全員付けて!と伝えて全ての人間が手錠を着けた事を確認して砦の方まで連れていく。


砦の前に着き、閉まったままの門を拳で破壊して砦の向こうに出る。すると先ほどの青髪の青年が急いで砦から降りて来た。既に反対側に布陣していた魔族や、砦の中の魔族も身を乗りだしたり、しながら此方に注目している。


「門は破壊しなくても…王よ、先ほどの無礼お許し下さい。」


素直ないい子だった。

しかし、この捕虜達を決して傷付けず丁重に拘束するように伝えたが、納得いかないようだった。


「何故人間を生かしておくのですか!?こいつらは俺達の仲間を!家族を…今すぐ皆殺しにしてくださいっ!!」


捕虜になった人間達の間に不安や動揺が交じる。


「言いたい事は分かるよ。だけど逆の立場でも一緒だろ?俺が『殺せ』って言ったら殺すだろ?戦争の責任は全部上の人間が持つもので、一介の兵士であるこいつらは極論で言えばら責任は無い!それにこの人間を殺した所で仲間は甦らないよ?」


そう伝えるが表情を見るに簡単にはいかないようだ。


「君の名前は?」

「アルベルト・エーディ…です。」


青年は俯きながら答える。


「よし、それじゃあアルは魔族としての誇りはある?」

「も、勿論です!エーディの家名に賭けて!」


よくわからないがいい御家柄なのだろうと思う。


「俺の知ってる魔族は高潔で慈悲深いものなんだけど、今の魔族は自分より力の弱い者は見下し差別し、気に入らなければ切り捨ててもいいとか腐った考えしてんの?」


とりあえずそれっぽく言って丸め込む!


「そ、そんな事は…」


俺は言葉を続けさせない。


「それならこの人間達はアルが守らなきゃ駄目だよ?捕虜って事は一応は既に魔王軍に下った魔王軍の一部だよ?」

「そ、それは…」

「その代わりこの人達にもただ守ってもらうだけなんて都合のいい事は言わないよ?」


俺はそう言って人間達を見る。


「君たちには魔族領に於いてある程度の自由をあげる。」


人間達や魔族達がどよめく。


「その代わり君たち捕虜は連帯責任を負ってもらうよ。もし誰か1人が問題を起こしたら、1人につき100人を無差別で殺します。」


100人という言葉に更に動揺が走る。多すぎたかな?妥当だよね?


「だから君たち人間はお互いに問題を起こさないように見張り合い、注意し合ってください。もし自分達だけで対処出来ない事があれば報告してください。事前であればなるべく君たち人間の意向に沿った形で対処します。」


これで自由を与えてもあまり魔族の手を煩わせないで済むと思う。


「それから君たち人間には仕事をしてもらいます。流石にこの規模の人間に無償で食べ物は分けられないので、それぞれの出来る事で無理なく働いてもらいます。」


せっかく大量の人手を殆ど無傷で手に入れたんだから仕事してもらわなきゃ意味がないよね!


「最後に、魔王の名の元に宣言する」


その言葉に一気に人間や魔族達が話を止めてこちらに注目してくる。


「今よりこの地に新生魔国『ヨモツヒラサカ』を建国する!俺の国に住む全ての種族は平等であり、一切の差別を禁止する!そしてその全てを守ると誓う!」


その言葉にその場に居た魔族だけでなく、捕虜となった人間達全てが膝まずいた。

なんだか少しいい気分!


因みに国の名前はイザナミが信仰対象だからヨモツヒラサカにしたけど、よくよく考えると死者の国なんだよな…煉獄よかましだよね?


俺はポーチの中の貨幣を調べる。

白銀貨が1000枚程入ってるから…約十億円か。昔の俺調子乗り過ぎワロタ

しかしこれからする事を考えるとまだ足りないな。


そう思った後で閃いた。自分で貨幣作ればいいじゃん!だけどそれは追々。


しかし、一向に誰も頭を上げないな…何か言わなきゃ駄目なのかな?


とりあえず、表をあげい!と言ったらみんな頭を上げた。なんか偉くなくった気分だけど、魔王だし偉いのかと納得する。


そんな訳でもうひとつ布石を置いてみる。


「この人間達の中で一番偉い奴は?」


そう聞くと先ほどの隊長格のダンディさんに視線が集まったのでその人に話しかける。


「それじゃあ君はこの人間達の中から50人位選んで」


何か誤解したのか沈痛な顔で視線を落とす。


「あぁ、殺す訳じゃないから大丈夫!家族が居る人も居るだろうし50人位なら解放してあげてもいいかなって思って」


その言葉に人間達は一気にざわめく。


「まあ、その代わりまた俺の国民を傷付けるような事をするなら殺すけどね」


俺がそう言って笑うとまた沈黙する。

その後でそのダンディさんは恐らく私情を挟まずに50人を選んだ。自分を選ばない辺りちゃんと部下思いなんだなと感心する。


俺はその50人全てに出身や住んでいる所を聞いて、それがいい感じにバラけている事を確認して解放してやった。


50人が門から出て行ったのを確認して俺は自分で壊した門を創造で直して魔族と人間に向き合う。


「よーし!国作りだ!」


その言葉に数人が、おー!と相づちを入れてくれたが人間も混じっていたので突っ込みたくなったが我慢した。


まずは布陣している魔族達よりも奥の小川が流れている横に通貨を代償に少し大きな洋館を創造する。


そしてそこを起点として煉瓦の道を作り、レンガのアパートを数件作り、見張り用の塔を作り、井戸を作り、馬小屋を作り、30分もしない内に小さな町のようなものを作った。


振り替えるとその場に居たもの全てが言葉を失っていた。もう魔王になった訳だし自重しないよ?


その後で、俺はアルを呼んで指示をだす。

まず拠点をさっき作った洋館へ移すこと、見張り塔は三人交代で三人設置する事、アパートは魔族と人間に分けて二人一部屋を使う事。


因みに魔族は500人しか居ないのでアパート5棟で済んだ。アパートは1フロア12部屋5回建ての一部屋6畳という簡素なものだ。人間用のは3000人弱とはいえ端数も含めて26棟必要で、少し追加でアパートを増やした。


そして人間の半数を農業に、残り半数を能力に応じて治療所や鍛冶、織物、錬金など生産、生活系に従事させるように頼む。


それが終わったら足りない資材や建物等をまとめて紙で俺に提出する様に伝えて俺は拠点に定めた建物の自分の部屋に当てた所に行きベットに倒れ込む。


全ての建物は必要最低限の家具つきだ。


イザナミの奴、最後のチャンスとか言ってたが本当にギリギリだったな。頑張ったんだから後で絶対何かお礼でも貰おう!そう誓ってからベッドで寝るのは久々だなと思いながら眠りに落ちた。

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