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はうとぅー魔王 ~異世界転移の魔王譚~  作者: 道奈 めい子
二章 目的なんだっけ?
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迷宮初心者

気まずい…。


俺は目を覚ますと氷越しに俺をぼこぼこにした少女と眼が合った。


やばっ!と思い目を閉じると頭の中に声が聞こえてくる。


(イマ目が合ったよね?良かった?大丈夫?ワタしの事覚えてる?嫌いになってない?ねえ、ワタシを見て、あの時はシカタなかったの、トモダチなりましょう?そういえばアナタの名前は?ワタシはシエル、今日はいい天気ネ!今日はパンを食べたノ、オナカ空いてない?氷の中はドウなっているの?寒くない?ヒトリで寂しくない?大丈夫、ワタシがトモダチになってあげる!ヒトリは嫌よね?そういえば今朝ネコを見たの、逃げたから追いかけたラ死んじゃった。アナタはワタシをヒトリにしないよね!アナタはすぐ壊れないもの!そういえば………)


う、鬱陶しい…。やっぱりこの子ヤバい子だ。今日は頭を法衣が覆っておらず、青く澄んだ長い髪に白と赤の法衣で幻想的な雰囲気を醸し出していて黙っていれば可愛いのだが。うん、黙ってはいるよ?他の人から見たらね?


俺は脳内一方通行の話を罪人の迷宮の中に放り込まれるまでひたすら聞き続ける事になった。俺まで病んで終いそうだった。


迷宮の中に放り込まれ、扉が閉められるのを確認して氷を解除する。


中はカビ臭く湿気が酷い。明かりになるものは壁についた松明だけで心もとない雰囲気を作っている。


とりあえず迷宮に入り込む事に成功した。


俺が氷を解除した事で一緒に運ばれてきた者達が警戒している。


「やあ、初めまして!怪しいものでは無いですよ!」


その言葉に空気が凍る。氷は俺の専売特許だぜ!


「俺は今から迷宮主倒しにいくので、皆さんはここで大人しく待っていてくださいね!」


その言葉に場がざわめく。


「そんな事できる訳ないだろ!」


声を出したのは猫耳のおっさんだった。

猫耳おっさんは需要ありません!


「出来る出来ないとかじゃなく、やらないといけないのであなた達は生き延びてくださいね!」

「なんでお前は昨日あんな事をした…俺達の見方なのか…?」


再度猫耳のおっさんは質問してくる。この獣人達のリーダーの様だ。


「見方か?と聞かれたら違うかな」


その返答に緊張感が走り、猫耳のおっさんは身構えている。


「だけど、俺教会ぶっ潰す予定だから邪魔さえしなければ敵ではないよ?」


更に場が騒がしくなる。こんな見た目子供の話にここまで真剣になるなんてビックリだよ!


「な、なんで教会を…」

「魔王になる上で邪魔なもんで」


ま、魔王だと…!?なんていいながら更に場が混乱を極めている。面白っ!


「人間が魔王になれる訳ないだろっ!」

「俺これでも魔族だよ?」


なんでも魔族には特徴があり、頭に羊や八木、鬼のようなものなど多種多様な角が生えているそうだ。


「信じる信じないは自由だけど、ここ出てから俺を魔王様扱いは辞めてね!」

「まあ、言った所で誰も信じないだろうけどさ」


この世界では既に魔王は過去の存在で、魔王を語ったところでその恐ろしさは伝わっておらず、ただの戯れ言として誰にも相手にされないのが現状だ。


それでも魔王を語るのにはリスクがあるのだが、今回は教会を敵に回す為の大義名分として利用させてもらう。「魔王」という名前でどれだけの者が付いてくるのかは分からないが、前魔王は亜人の味方であったようだからそれなりに効力はあるだろうと考えている。


「そんな訳で行ってくる!」


俺はシュタッ!と手で敬礼をつくり唖然としている亜人達を残して迷宮に踏み込んで行った。


地下に降りるといきなり魔物と遭遇した。剣をもった骸骨で、詳細をみるとスケルトンソルジャーと表示され、自分より格下であるのが分かった。


格下と分かった時の俺は強い!え?いじめっこ?いやいや、元の世界でイジメなんてしたことありませんよ?


俺は氷の剣を遭遇し放つと一撃でスケルトンソルジャーは砕けて後には魔石と骨片だけが残った。オーバーキルだなと思っていると音を聞き付けたスケルトンソルジャーが現れたので一瞬で間を詰めて斬り込む。


すると一切の抵抗無くスケルトンソルジャーは倒れて魔石を残して倒れていく。めちゃくちゃ弱い。


俺は何の苦もなく現れた魔物を倒して進んでいき、階段を見つけ次の階層へ降りる。


次の階層も正にゾンビという風格のままんまゾンビという名前の魔物が増えた位で特に苦戦せずに突き進む。


所でゾンビに噛まれたら感染するのだろうか?と疑問になるが、その勇気は無いので止めておく。


途中トラップや新しい魔物等色々いたが、今の自分の敵では無く、何事も無く10階層まで降りて今その巨大な扉の前に立っている。


ふと、ここまで弱い敵にしか会わなかったので俺が強すぎてバランスブレイクしているのでは?と不安になりステータスを確認する。




〈LV.24〉up

【魔族】ユウ

〈称号〉『窮鼠猫噛』「禁忌を犯す者」「刀鍛冶士」

〈刻印〉『創造』『反逆』

〈加護〉「幸運」

〈スキル〉「片手剣II」new「近接戦闘技術I」new「弓II」「鍛冶VII」「甲冑II」「革細工V」「裁縫V」up「木工I」「錬金術VI」up「料理III」「交渉II」『命名』「罠I」

〈魔法〉「氷IV」up「土I」「禁断I」「詠唱短縮III」new




うん、チートが入っているとはいえ、そこまで強いという訳ではないな、と確認して一安心する。


そして俺は巨大な扉に触れると後は勝手に扉が開いた。


中は暗くなっており、少し進むと案の定扉が閉まり、周りの火が灯りその部屋の主を写し出す。


それは巨大な髑髏で、空洞の目から赤い蛇が顔を出した魔物だった。


【棲蛇髏】Lv50

〈スキル〉

「火耐性IV」「闇耐性V」「毒牙」

〈魔法〉

「闇V」「火III」



いきなり強い!このレベル差はヤバいけど負ける気はしない。こいつが魔法特化なら吸収できるし…やっぱりチートだな。


俺はいちど深く呼吸してから間合いを詰める為に踏み込み。が、何か魔法が発動したようだが俺に一切のダメージはなく自分の魔力として吸収されるのがわかる。


とりあえず無視して切りつけていく。目の空洞から顔や尻尾を出した瞬間を狙って切りつけていく。


まるでモグラ叩きのように瞬間瞬間を狙って切る。なんか楽しくなってきた!目指せハイスコア!と思っていたら気づいたら倒していたようだ。


目の前には魔石と宝箱だけが残っている。

宝箱の中には腕輪が入っていた。


【闇の腕輪】★x4

「闇耐性II」「闇II」


うーん、闇の魔法が使えるのは良さそうだが、魔法自体ちゃんと使えない俺にはあまり関係なさそうなのでポーチに仕舞う。


奥の扉を抜けるとそこには階段があり、更に進んでいった。


そこは大きなドームの様になっており、村があった。


「人族か!何者だ!」


そこにはこの階段の番人をしていたのであろう獣人が槍を向けながら仲間を呼んでいる。


一通り仲間を呼び終わったようで、今では槍を向けてくる奴が5人とその観客?が十数名になった。


期をみて俺は自己紹介に入った。


「怪しい者じゃないよ!魔王だよ!四露死苦!」


また空気を凍らせてしまったようだ。

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