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はうとぅー魔王 ~異世界転移の魔王譚~  作者: 道奈 めい子
二章 目的なんだっけ?
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はじめての迷宮

ヨウ視点だよ!

ヨウは後悔していた。まさかあんな大胆に策もとらずに行動するとは思ってもいなかった。


「他人の振りかよ…」


だからこそ俺を巻き込まなずに単独で動いたのだろう。ぴょんは感情的になっても慎重派なので必ず何かしら意味のある行動しか取らないと思っていた。


しかし今回の行動は全く意図を掴めるものでは無かった。情報が足りないだけなのだろうか?


「よ、ヨウさん、ユウさんは大丈夫でしょうか?」


ディオもぴょんに大分なついていたし心配なのだろう。


「あいつは殺しても死ななそうだから気にすんな」


ディオを安心させる為に優しく諭す。


しかし、ぴょんと戦ったあの少女は強かった。正直強いと自負している自分ですら敵う相手では無いと思う。


ぴょんが氷になった後も少女は氷を破壊しようと攻撃を止める事は無かったが、結局破壊する事が出来なかったようでそのまま運び出されてしまった。


ぴょんの反亜人に参加したく無くなる様なという目論みは皮肉にもあの少女のお陰で達成され、鎮圧部隊は壊滅的なダメージを受けて中止されていた。


「さて、どうしたものかな…」

「た、助けに行くんですよね!僕も行きますよ!」


ディオの言うとおりぴょんを助けたいとは思うのだが、少女の様な規格外の戦力がある事を考えると迂闊に行動する訳にもいかず、正直手詰まりだった。


俺達は今後の行動を考える為に一度宿へ向かう事にした。


宿へ付くと俺のベッドの上には畳まれている服と手紙があった。


『これで君もSS小隊だ!』


この馬鹿みたいな手紙を残したのは恐らくぴょんの残したものだろう。


服を見てみるとかなりセンスのいい軍服のようなデザインの装備だった。


少し期待して装備してみると、丈やサイズは丁度良く、生地も布の様だが皮と同じ位の丈夫さがあり、機動性も高い。


ディオが少し訝しげにみてくる。


「SS小隊で黒の軍服って明らかにナチスですよね?」


そういえばイギリスとドイツは第二次世界大戦でひと悶着あったような気がする。


「黒は高官が着る服で、ナチスだけじゃないぞ!」


と、とりあえず無難な回答をしておく。


しかし、本当にどうしようかと考えるが答えが出ないので明日ギルドで情報を集める事にして今日は眠る事にした。


朝になり冷たい空気の中準備を整えて朝食の為に食堂へ降りる。ディオは低血圧の様で後でギルドに行きますといって二度寝していた。


朝食はハムエッグに食パン、野菜のスープと質素なもので、まあ、美味しかった。

ぴょんが居ればいちいちレポートし始めて面白いのだが、今は居ない。


目の前の空いた席を見て苦笑し、宿を後にした。


ギルドに到着すると相変わらず賑わっていたが、何処と無く緊張感のある空気が漂っている。


受付で何があったのかと訪ねると、昨日の緊急クエストでの反乱分子の輸送隊護衛のクエストが発行されたが、昨日の件を知る冒険者は誰も関わりたくない様で皆様子を見ているんじゃないか?という事だった。


本来ならば輸送隊に護衛など必要無いのだが、昨日の氷剣使いがいつ暴れだすか分からないので保険として冒険者も募集したようだ。


俺は迷わずそのクエストを受注した。

輸送は今日の正午に行われる様で、それまでに正門に集まるように説明された。


まだディオがギルドに来ていなかったので、ギルドの一般連絡用掲示板に自由行動!と残してギルドを後にした。


正門に到着すると早くついたようでまだあまり人は集まっていない。責任者と思われる教団兵にギルドの受注票を見せると、時間までそこで待っていろと馬車の横で先に到着していた者達の所を顎で刺される。


こいつムカつくな、燃やしてやろうか?


今目立つのは得策では無い為、移動して周囲を見渡す。


馬車は3台あり、荷車には鉄の牢が乗せられており、獣人やエルフ、ドワーフのような小さい人、そして人間等様々な人種が閉じ込められていた。


そして1台の馬車だけ、大きな氷塊が鎖に繋がれて乗せられており、昨日の少女が同乗して氷を見ていた。流石にあの少女と関わるのは後免なので直ぐに視線を外す。


そうして暫く待っていると人数も集まり出発となった。


冒険者は馬車の後方と両サイドに配置され、教団兵が先頭を歩き輸送する隊列で、俺は右側に配置される。


流石にこの人数を相手にする者は居ないようで、目的地までは何事もなく到着する事が出来た。


そこは都市の防壁を右手伝いに進んだ所にある集団墓地の様な所で、真ん中の警備の厳重な神殿のような建物に囚人達は運ばれていった。


ぴょんもそのまま運ばれていったが、少女が名残惜しそうにじっと見ていたのが印象的だった。ぴょんは相変わらず変なモノに好かれるな。


囚人達が全て入った事を確認して石造りの扉は閉められた。


そしてそのまま都市に戻りそれだけで銀貨1枚という破格の報酬を受け取り解散となった。


ギルドに戻るとディオが置いていくなんて酷いと言い掛かりをつけきたのを無視して受付にあの場所が何かと聞くと、迷宮と呼ばれるものだと分かり、この都市にもう一つ迷宮が有ると聞いて準備をする。


「まずは強くなるか…」

「ま、まさか昨日の子と戦うつもりですか!?」


独り言をディオに拾われるがいい機会なのでこいつも巻き込んでやろうと思う。


「お前も強くなりたいって言ったよな?よし、いくぞ!」


え?え?と困惑しているディオを引きずって俺達は修練の迷宮へ向かった。

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