危険な贈り物
2016/11/20(改
「「え?」」
もともと予想も何も無いがその斜め上にをいく回答に、俺とようちゃんは驚く。ようちゃんの声久々に聞いて少し安心。
「まおーってよく勇者に倒されてるあのまおー?」
「えっ、勇者じゃないのか」
自分でいうのもなんだけど、ようちゃんの突っ込みそこ?
『はい、私の世界で魔王になってくれませんか?』
私の世界とか神様か何かですか?
『あなた達がいた世界とは違う世界。そこでは人間と魔族で争っていました。最初は数の多い人間と、数は少なくとも力の強い魔族で拮抗していたのですが、あるとき人間達が異世界召喚を使い始めたのです。』
「えっ!もしかして俺ら以外の日本人も居たりするの!?」
『はい。ですが私のお願いはその方々とも敵対する可能性のあるものです。ごめんなさい。』
『ですが、それら特殊な能力を持った異世界人が人間の側となり魔族は急激にその数を減らしていきました。そしてついに魔王は倒されてしまい、このままでは残りの魔族が死に絶えるのも時間の問題なのです。』
「うーん、それじゃあ俺らは魔王になって人間滅ぼしちゃえばいいの?」
『いいえ、あなた達には魔王になって魔族達を助けてあげて欲しいのです。』
「具体的にどう助ければいいの?」
『魔族達が生きていけるように、具体的にはお任せします。』
「流石に俺ら普通の人間だし無理じゃね?」
ようちゃん、分かるよ、欲しいんだね!チート!
『はい、なのであなた達には一つずつ力を差し上げます。』
きたこれ!チート能力で異世界無双!
もともと俺とようちゃんは最近増えてきた異世界系アニメや漫画は見ていて、異世界行ったらどうする?という無駄な話を真面目にする程度には異世界ものの知識はあった。なので大体の話の流れは掴むことが出来た。
しかし異世界ものが流行ったら本当に異世界が目の前に現れるのもどうかとは思う。
とりあえず事情は分かった。
「因みに断ったらどーなるの?」
『その時は残念ですが、元の世界にお送りします。けど無闇に世界の狭間に落ちるような事はしないでくださいね?魂まで消滅したら生まれ変わる事も出来なくなりますよ?』
つまりこの人は命の恩人になるわけなんだな、と急に恩を感じで返したくなる。
「うーん、俺はいいけどようちゃんどーする?」
今までの世界に未練は無いと言ったら嘘になるが、愛着がある訳でもないのでいいかなと思う。それにやっぱり異世界って面白そうだし!
「その世界って俺らいた場所とどう違うんだ?」
アバウトな質問だけど聞きたい事は分かるよ!
『はい、こちらの世界には魔法があります、魔法に依存した世界の為、科学技術も発達していませんし火薬兵器も存在しません。それと魔物という動物とは違い人を襲う生物なんてのもいます。』
まさに理想通りの世界観!なんてネトゲ?何気に欲しい情報押さえられてる辺り神様でいいのか?
という訳で異世界で楽しむ為のスパイスが欲しいなと思うのでもう一押ししてみる。
「その世界で自分達の強さを見れるようにして欲しいんだけど無理かなー?」
やっぱり欲しいよね、ステータス画面!
『はい、そちらに関しては見たいと念じれば見ることが出来るので安心してください。』
いうまでもなく見れるのは概念の違いって凄いんだな、と感心してみる。
「うーん、分かった、いいよ。それで、どんな力を貰えんの?」
流石ようちゃん!決めた瞬間核心に迫るんだね!
『望む力を一つ教えてください』
それなら、やっぱりあれだよな。
「望んだモノを創る為の力!」
やっぱり日本の生活水準向こうで作るには製作系チート! 内政チートだって出来るぜ!
「じゃあ…全てを破壊する為の力」
流石ようちゃん!分かってる!役割分担大事!ようちゃんは戦闘特化の無双系。これは前に異世界行ったらどんなチートがいいかって話をした時に言っていたものだ。
『分かりました』
その女はそう言って手のひらを上に向け、口元まで運びふうっと息を吹き掛ける。その瞬間白い光の粒子が俺達を包み身体の中に吸い込まれていく。
それが自分の中で力に変わるのが解る。
『それでは私の世界に送らせていただきます。こちらの世界でその姿のままでは恐らく目立ちますのでそちらの願望も交えて補正させていただきますね。』
別にこのままでもいいんだけどなとか思ってしまうけど美化される分には文句ないので黙っておく。うん、余計なことは言わないよ?
『わたしの世界へようこそ』
そう言ってその女は口元を綻ばせる。この人顔は見えないけど実際可愛いんじゃないかな?と思うが確かめる間もなく視界がホワイトアウトしていく。