2-2 王宮で人助け
俺の名前は浅見 龍人。ごく普通の高校生。しかし、ある事件で異世界に飛ばされてしまった。そして、目が覚めたら。
体が縮んでいた。
っていうのは嘘です。普通に異世界に飛ばされて、女性を助けたらその人の家に招かれました。
しかし、俺は今王宮の門の前にいます。
なんでかって?話は1時間前に遡る。
◆◇◆◇◆◇◆◇
「そ、それじゃあ。お邪魔します」
美人の家に招かれて行かないはずがないだろ。でも、貴族なんだよな。絶対甘い展開にはならないだろうな。
「わかりました。すぐに馬車を手配しますね」
そう言って女性は水晶のような物を取り出して、独り言を言いだした。いや、独り言ではない。水晶から声がする。あれは……。
「電話!?」
俺は水晶みて、ある電子機器を思い出す。思い出すって言っても、異世界に来て1日も経ってないんだよな。
「”でんわ”と言うものはよくわかりませんが、これは『通信結晶』と言って、同じものを持っている人と連絡を取ることができる魔道具です」
電話。もとい通信結晶なんてあるのか。ってか魔道具ってやっぱりあるのね。
「へー、便利だな。一家に一台あるものなのか?」
「あなたは異国の方なのですか?確かにこれは便利ですが、なんせ魔道具ですからね。持っている人の方が少ないでしょう」
「あ、高いんだ。じゃあやっぱり君は貴族なの?」
「え?私のことを知らないんですか?」
「ん?何?有名人だったりするの?」
2人の間に沈黙が訪れる。
「本当に私がわかりませんか!?」
「え!?え!?ほ、本当にあなたがわかりません!」
なに!?そんなに有名な人なの!?確かに美人だけど。
「では、自己紹介させていただきますね」
ここで「コホンっ!」と小さく咳をして。
「クレバー王国第二王女。《ヒスイ・クレバー》と申します。以後お見知りおきを」
と、軽くスカートの裾を持ち上げておじぎをしてきた。
へぇークレバー王国の第二王女か。クレバー王国ってどこにあるんだろ。
ん?王女?王女って、あの王女?王様の娘様?
「………………マジ?」
「………………マジです」
まさかの1人目のヒロインが王女とは……。いきなり気合い入れましたね、神様。
俺は額に手を当て天を仰いだ。
「あ、そろそろ馬車が到着するらしいので、話の続きは王宮でということで」
そう言って馬車に乗るのであった。
同じ馬車に乗ろうとしたら「一般人が王女と同じ馬車に乗れるわけないだろ!お前はこっちだ」っと違う馬車に乗せられた。
助けてやったのに、なんて無礼なやつだ!親の顔が見てみたい!
◆◇◆◇◆◇◆◇
馬車に乗った感想はというと。正直言って最悪だ。
めっちゃ揺れて酔うし!お尻痛くなるし!あんまり早くないし!
車を知っていると、やっぱり比べてしまう。ごめんな馬車よ。