1-1 この暇神様が!
誤字脱字多いと思いますが。どうか暖かな眼で見守っていて下さい。
『異世界転生』。誰もが一度はしてみたいと思うだろう。
この世界は不平等で、不可能で、不完全だ。
いじめはあるし、最初から裕福な奴もいる。元から優れているやつに勝つことなどできない。こんな世界クソくらえだ。
だから俺は思う。異世界に行きたいと。
異世界に行き、チートを手に入れ、魔王を倒し、英雄と称えられ、女子にモテて、ハーレムを作る。
最近のラノベで見られるテンプレ異世界転生だ。誰もが夢見るだろう。
だがそんなことはありえない。
俺はあえてそう言おう。
そんなものはフィクションの中だけの話だ。
そんなものはフィクションの中だけで十分だ。
このクソみたいな世界に新しい刺激をくれるニート顔負けの暇神なんていない。
もしそんな神がいて本当に剣と魔法のファンタジーな世界があるのなら。今すぐ連れて行って欲しいものだ。
知力も財力も全て捨ててでも、その世界に行きたいものだ。
だが、そんなことはできない。
もう一度言おう。
異世界転生。そんなものはありえない。
俺はこの物語が始まるまで本当にそう思っていた。
◆◇◆◇◆◇◆◇
雲ひとつない晴天に世界を照らす大きな太陽。
今日もお勤めご苦労様です。
俺は冷たいコンクリートを背に太陽に敬礼をする。
ちょうどその時授業の始まりを示すチャイムがなった。
俺はその鐘の音を屋上で聞いていた。
昼休みが終わり、5限目が始まったところだ。
でも俺には関係ない。こんなクソみたいな世界の中でなぜ勉強をしてまでいい大学に行って、いい就職をして、いい人生を送らなければいけないのか。俺には理解できない。する気もない。
じゃあ何故わざわざ行きたくもない学校に足を運んだかって?
今日は俺の最後の高校生の日だからだ。
卒業式じゃないよ?出席日数が足りなくて留年決定って言われたから、「だったら辞める」って言ったらこうなった。後悔はない。
あ、一つだけあったわ。高校生のうちに彼女作って卒業したかったな。……あっちの卒業ね?
まぁ今更言っても、もう遅いんだけど。
俺は仰向けに寝たまま、時間が経つのを静かに待った。
気持ちのいい風に頬を撫でられ、自然のままに意識を沈める。
あぁ、このまま異世界に転生でもしないかなぁ。
さっき自分でありえないと言ってたくせに。やっぱり夢見る男子である。
そして深い眠りについた。
◆◇◆◇◆◇◆◇
俺は眼を開けた。あれから何時間が経っただろう。
空には雲のない青空が広がっている。そして、最後に見た時よりも傾いている太陽。
まさか、本当に、異世界にっ!
っとそこで6時限目の終わりを告げるチャイムが響く。
………………ですよねぇ……。
雲のない青空は寝る前と同じだし、太陽は時間が経つと傾く。当たり前だ。
「はっ!期待しただろ!?バカめ!そんな簡単に異世界に行けたら苦労しないっつうノォ!」
誰に叫んだのかわからないが。とても腹が立つ。
そして、驚くことに。今のセリフが俺の初めてのセリフなのだ。
ついでに俺のことも教えよう。ついでだよついで。
浅見龍人。童貞歴=年齢。17歳。高校中退(予定)のクズ野郎です。
どう?引いた?これでも中学の時はバスケ部で「オリンピックに出る!」とか夢見てた少年だったよ。彼女もいたし、リア充してたよ。
なんでこうなっちゃったかなぁ……
と、その時後ろのドアが開いた。
「浅見くん。先生が呼んでます」
現れたのは美女だった。長い茶色い髪を大きなリボンで結っている。身長170㎝くらいある、超絶スタイルのいい美女だ。大きなリボンがとても似合っている。
同じクラスの神羅茜だ。
話したこともなければ目を合わせたことも…………あれ?そういえば学校に行った日はよく目が合っていたような……。
もしかして……俺のことが……。
っんな訳あるか!
危ない危ない。危うく勘違い野郎になるところだった。
「どうしたの?私の顔になんかついてる?」
はい、綺麗な目と鼻と口が。黄金比でついています。
なんて言えずに。
「いや、なんでもない」
と、答えて立ち上がる。
(俺の育児なシィ!)
まぁいいや。どうせ今日でお別れだしな。
俺は神羅の横を通り抜けて校舎の中に入る。後ろから神羅が付いてくるのがわかる。
「なんで学校やめちゃうの?」
「えぇ!?」
振り返る。
いきなり話しかけられたせいで、キョドってしまった。変な声出たし、ハズカシィ……。
「どしたの?変な声出して」
「いや、神羅に話しかけられるのなんて思ってなかったから」
やっぱり変な声だったか。
「そお?私は浅見くんと話したいと思ってたよ?」
「そ、そうなんだ……」
(も、もしかして……これって……フラグか?もしかして、もしかしなくても。いつのまにかにフラグ立てちゃってたパターンか!)
俺は前を向きなおして歩き始める。
「なんで学校辞めちゃうの?うちのクラスつまらなかった?」
「いや、そんなことない…と思うよ。俺はただ……」
(この世界に夢を持てなくなった。なんて言えねぇ!ってか言いたくねぇ!)
「ただ?」
神羅が聞き返してくる。
「俺はただ…この世界に夢を持てなくなったんだ」
「「………………………………」」
2人の間には沈黙が続く。
(言っちまったぁぁああああ!!!ヤバ!超恥ずい!)
「…………え?夢が持てなく、なったの?」
「あ、いや。こんなつまらない世界でなんで生きなきゃいけないのかなぁ……なんて思ったり…してて」
最後の方はボソボソと言ってしまったので聞こえただろうか。
(あー、やっちまったなぁ……早く教室つかないかなぁ……)
「実は、私も同じこと考えてた」
(はぁ……そうか。同じこと考、え…て……た?)
バッ!と振り返って神羅の顔をガン見した。
「え?同じこと考えてた?」
「…うん……」
神羅は少し恥ずかしそうに頬を染めてうつむいていた。
「え、うそ。まじ?いやいや……神羅が?」
「あ!もう教室だ!早く行こ!」
「え!あ!ちょっと!」
神羅は頬を赤くしたまま教室に入っていった。
しょうがなく俺も後を追って入る。そこにはクラスメイト全員が着席している。
俺が入った瞬間に騒がしかった教室に静寂が訪れる。
すみませんね、俺が入ってきて。
そのまま空いてる席に座る。すると、先生は何事もなくHRを始めた。
俺は最後くらいはマジメに聞くか、と思い頬に手をついたまま聞いていた。
あと少しで俺の高校生活が終わる。
思ったより普通だった。
その時スピーカーから声が聞こえた。俺だけにではない。全校生徒にだ。
『みなさん、こんにちわ。どうも神です!』
スピーカーからは幼さが残る男の声がした。
『それでは異世界転生物語の始まりはこう書き出そう』
高等部1000人と中等部1000人。教師が500人くらいいるから、計2500人が放送を聞いただろう。
『昔々あるところに。ってね』
初回なので長くしてみました!これからはこんなに長くなりません!むしろ短いです!
どうでしたか?皆さんの心を撃ち抜きましたか?よかったらコメント等お待ちしております。