よくある? 異世界転生
初心者です。
アドバイス等頂けるとありがたいです。
今思い出してもテンプレな異世界転生だった。
突然の事故死の後に幼女女神の土下座からの謝罪。そしてチートスキルを貰ってからの転生。
そこから先は中略―いや、だって、旅の途中で盗賊に襲われたエルフを助けたり、奴隷にされた猫耳少女を助けたり、お家騒動で暗殺されそうだった姫様を助けたりしてキャッキャウフフとか、よくあるチーレム物のテンプレそのものだったから……
このまま彼女達と仲良くハーレムを楽しもうと思ってたら、これまたテンプレで魔王が復活しやがった。
しょうがないから雑魚魔族は国に任して、俺と仲間達が敵本陣、っていうか魔王城を強襲するというよくあるパターンだったけど……
四天王とか三魔将までは問題なかった。
ただ魔王だけは別格だった。
自分達の攻撃は一切通じなかった。
仲間達が一人づつ倒されていった……
「この程度か? 勇者よ、期待外れだったな」
魔王バーミルドが椅子に座ったままつまらなそうに言った。 まだ魔王を立たせることもできない。
魔法もスキルも完全に無効。 はっきりいって打つ手なしだ……普通なら。
俺は取って置きの魔法を使う。 魔王ではなくその周りに。
『我がマナよ、 障壁となりて彼の者を守れ、 全ての束縛から彼の者を守れ!!』
攻撃魔法ではなく守備魔法。 それも究極とも言ってもいい。 一定空間を断絶しあらゆる攻撃を防ぐ魔法だ。
「何のつもりだ? 気でも狂ったのか? わざわざそんなものを掛けなくても我にはお前の攻撃なぞ効かんぞ」
確かに攻撃は効かないだろう、 しかもこれは守備魔法だ。 ただし、 現代知識のある俺が使うと有る効果が発生する。
『完全断絶!!』
ドガァッッッ!!
次の瞬間魔王バーミルドの姿は消失し、 城の天井が破壊され夜空を見せていた。
あらゆる束縛から解放し全てを断絶する……この星の『自転と公転』からもだ。 異世界だろうと昼と夜が有り四季が存在するのだから自転と公転も存在する。 それから断絶すれば星の動きから『置いてかれる』のだ。
この世界でも多分宇宙は広がっているはずだから二度と魔王がこの星に戻ることはないだろう。 『完全断絶』の魔法は転移を防ぐ。 もし『完全断絶』を破っても宇宙に放り出される。 真空状態では呪文も唱えるのは不可能……詰んだ、 俺の勝ちだ。 後は仲間達を復活させてハッピーエンドだ!!
「……なかなか面白かったぞ、 まさか守備魔法で空より高く飛ばされるとはな」
後ろから魔王バーミルドの声がした。
「ばかなっ!? 転移は不可能な筈だ!!」
「ああ無理だったみたいだな……魔法を破ったら血液が沸騰したあと凍ってしまい動けなくなったそうだ」
「……まさか偽物? あの強さで!?」
「いや、 本物だよ…… 但し、 強さが1/1000の分体だけどね」
……あれで? どうやったって勝ち目ゼロじゃん!! てか強過ぎだろうがっ!
「まあとりあえず『束縛』」
ガッッ!
俺の身体が魔法の鎖で拘束され床に転がされる。
「何をする気だ? とっとと殺すなら殺せ」
「ん~、 ちょっとした種明かしをしてやろう」
魔王は面白そうに笑うと指を鳴らした。
すると、 俺を転生させた幼女女神が現れた。
「なんで神様が此処に?」
「ああ、彼女は我の娘だ」
魔王が楽しそうに言った。
「……は?」
俺は多分かなり間の抜けた顔をしていたのだろう。 魔王が更に笑みを深くする。
「最初から説明してやろう。 蟲毒って知っているか? 壺の中に大量の毒虫を入れて蓋をしてお互いを喰らいあわせるんだ。 そうして生き残った虫はとんでもない強さの毒虫になる」
「それがどうした?」
「魔界という『壺』に魔族という『毒虫』を入れて弱肉強食という『喰らいあい』をさせて生き残った我は強くなった……神よりもな!」
「何やってんのそこのロリ女神!?」
「私じゃないです!!」
「ああ、その神なら天界に攻め込んで真っ先に喰い殺した。 確か人間共を飼育するために邪魔だったから閉じ込めたらしいぞ。 その後天使共を殺し、 女神を全員犯して、 産まれてきたのが彼女達だ。後、息子共は全員魔界送りにした」
……外道、 流石は魔王だ。
「神共を殺して更に強くなったのはいいが強大になりすぎてな、 この世界の生命の半分が1日の食事に必要になった」
「2日で食料が無くなるじゃねぇか!!」
「しょうがないから分体を残して本体は休眠してるんだが退屈でね、 娘達を使って暇つぶしの玩具を他の世界から仕入れさせてるんだ」
「ふざけんなっ!! 人を玩具扱いかよ!!」
「おいおい、 その代わりに君達には最初に素晴らしい人生を楽しませてあげてるんだ。 感謝してほしいくらいだよ」
両手を横に上げて首を振る魔王バーミルド。 物凄くムカつく。
「1/1000とはいえ我を倒したんだ、 『合格』だ。君はこのまま殺すのは勿体無い」
魔王が右手を俺に向ける。
「君には更に強くなってもらおう」 ……何をするきだ?
ヤバい予感がする、 というか、 危機察知系のスキルがガンガン警告してる。
「君も魔界という『壺』の中で頑張って生き残りたまえ。 そうそう、 僕の息子達に遭ったら『遊んでないで早く復讐しに来たまえ』と伝えてくれないか。 まあ、魔界から脱出するには1/500 の我を倒さねばならんがね」
俺の身体を赤い光が覆っていく。
「じゃあ頑張りたまえ、 期待して待っているから♪」
瞬間、 床に穴が開きそのまま真っ暗闇に落とされる。 自由落下しながら俺は叫んだ。
「このバカ魔王っ! 『束縛』解除するの忘れてんだろうがっっ!!」
続きません。