ビビィィーーってくるらしい。
ミーンミンミーン
蝉が鳴く中私は自分の部屋で紗夜と台本読みをしている。
『クリスマスには戻ってくる??私気が短いの。いつまでも待ってる保証無いから』
『ふっ。明菜は待ってるよ。いつまでもね』
『すごい自信ね。』
『それぐらいじゃないと明菜とはやっていけないからね。』
紗夜が台本から目を離す。
そして近くにあるベッドに座った。
「この男キザやなぁ。」
紗夜は台本をペラペラめくりながら呆れたように言う。
「アタシこんな男ごめんやわ」
「じゃどんな男やったらいいん??」
紗夜は「うーん。」と一瞬悩む。
「やっぱり優しくて~格好いい人かな」
…。
「抽象的すぎひん?」
「うるさいなぁーーもう」
紗夜は「ふん」と少し脹れてそっぽ向く。
「いや。だってありきたりやん」
「あーーアタシの理想像に口出ししんとってーー。もう本読みの練習付き合わへんで!」
何も聞きたくないと言いたげに耳に手を当てて叫ぶ。
「ごめんごめん。優しくて格好いい人現れるといいですねーー」
「うわっ腹立つ!そんなん言うてたらホンマにせえへんで」
「ごめんーー」
私があわてて謝ると紗夜はより一層脹れていた。
「マジごめんーー。紗夜ちゃんかわいいーーもう美人~~」
「・・・しょうがないなぁーー。」
紗夜はそう言うと機嫌を直した。
「夏帆はどーいう人が好きなん??」
私のほうに視線を向けて興味津々に聞いてきた。
「うーん。分からん」
私の答えが気に食わなかったのか紗夜は私の近くに寄ってくる。
「分からんってなんかあるやろ~~??どんなん??」
私は暫し悩んであっ!という顔をした。
その様子を見て紗夜は期待に満ち溢れた顔した。
「私より強い人!」
・・・。
しばらくの間沈黙が流れた。
「なんでやねん。どんな解答や!ホンマありえへんわ。そんなん男のが願い下げやわ」
「どんだけ言うねん!」
そんな酷い解答したか?
「でも夏帆って男より男っぽいし男に頼らへんしで男が困るやんなぁー」
確かに男にあんまり頼らへんかなぁーー。。。
「まぁ運命の人が現れたらビビィィーーってすぐ分かるらしいで~~」
ビビィィーーってねぇ。。。
そんな人いるでしょうか。
辺りも薄暗くなった時紗夜が立ち上がり帰りの準備をする。
鞄に音楽プレーヤー、携帯、筆記用具など次々入れていく。
それもテキトーに。。。
鞄の中身はグシャグシャだろう。
そして上着を羽織り、一緒に階段を下り玄関に着いた時紗夜が言うのだった。
「言うん忘れてたけどアタシもその舞台出ることなったから」
・・・は?
「なにそれ?何の舞台?何で?何役?」
テンパる私をよそに紗夜はいつもと変わらぬヘラヘラ顔だ。
「さっき練習してた夏帆の出る舞台に夏帆の演じる明菜の親友役で~社長が私の仕事採って来てくれてん」
だからか。。。
さっきの本読みでやたらと親友役をやりたがったり、何回もやり直ししたり、そこだけ感情込めたり・・・。
てか私、気づけよ!
「そんなんさっき言うえばよかったやん。」
「だからぁーー忘れてたの」
「忘れるか!どーせビックリさせたかってん!!とかなんかやろ」
「せーかい♪ビックリさせたかってん。ビックリしたぁー??」
そう言うと紗夜は私の顔を窺う。
「はいはい。ビックリした、ビックリした」
「絶対してへんやん。んじゃぁアタシ帰るわ。お邪魔しましたぁ~~」
紗夜は用事は終わったと言うようにそそくさと帰って行った。
「気ぃつけてなぁー」
帰っていく後ろ姿に声をかけた。
すいません。
またまた男登場しませんでした。
次回男登場します!!
待っててねーーww