3匹目
神獣についての説明が多いです。
目の前の地面に光り輝く魔方陣が現れた。それだけでも驚いたのだがその魔方陣の上に5,6歳ぐらいの金髪の少年を両手で抱えているフード付きの黒いローブを着た人物が現れたのだった。
「・・・」
「・・・」
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朝日が昇り始めたぐらいに目が覚めた私はその辺の散策を始めた。
森の中だからか空気が澄んでいて気持ちが良い。
「それにしても何で罰として新しい命なんだろう?しかもフェンリルって,生まれたばかりで最早世界最強なんですけど」
神獣とは神に力を分け与えられたフェンリル,ドラゴン,グリフォン,ユニコーンの四種類の種族のことでそれぞれかなりの力を持っているらしい。ちなみに名前を挙げた順に強いとされているらしく,おそらく私は世界最強だ。まぁ,強いほど数が少ないらしくてフェンリルは世界に1匹しか存在しないらしいけど。
「他の神獣にも会ってみたいなぁ。あ,でも,グリフォンは嫌だな」
神獣はそれぞれ特徴があるらしく,フェンリルは私の事だからまた今度でいいとして,ドラゴンは地球でも知られているものと同じ様な姿で各属性(アルジェントの生き物は必ず火,水,地,風,光,闇のどれかの属性を持って生まれてくるらしい。その属性によって使える魔法が決まるんだそうだ)に1匹存在しているらしい。体の色や性格などはそれぞれ属性ごとに違うらしい。
次にグリフォンは神話で知られている鷲の上半身とライオンの下半身を持つあのグリフォンと同じ様な姿らしい。それなに数はいるがプライドが高いらしくて群れで暮らすことはないそうだ。グリフォンが世界で最も素晴らしい生き物だという考えを持っているらしくてグリフォン以外には高圧的な態度をとるらしい。それは他の神獣にも変わらないらしいのであまり会いたくない。
最後にユニコーンはこちらも神話で知られている額に1本の角を生やした白馬と同じ様な姿らしい。人間に友好的らしくて人間にとって最も身近な神獣らしい。だが,戦闘能力が低い事と見た目の美しさ,さらに角は浄化の力を持っているため捕まえようとする人間が後を絶たないらしい。一応,ユニコーンを捕まえる事は法で禁止されているらしいがどの世界にも馬鹿な奴はいるものである。そして,ユニコーンは身を守るために必ず群れで暮らしているらしい。ちなみにさっきかららしいが多いのは知識として知っているだけで実際に見たわけではないからだ。
「あ,湖発見。水が綺麗だなぁ。広いし景色も良いからここで魔法の練習しようかな。それにしても魔法かぁ。古くて胡散臭い魔術書とかは前世で読んだ事があるけどあれは理論的な内容が多かったしなぁ。ファンタジー系の小説とかの方が参考になりそうだ。ああ,もっと娯楽系の小説も読んでおけば良かった。でも,歴史書とか実用書なんかの方が面白かったんだよねぇ。はぁ,読書は好きだったんだしもっといろんなジャンルに興味を持てば良かったのに前世の私の馬鹿」
私は溜息を吐きながら頭の中の知識から魔法関連のものを引っ張り出して魔法の練習を始めた。
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そう,私は魔法の練習をしていて次第に周りが暗くなってきたから洞窟に戻って来たんだ。そして,洞窟に入ろうとしたら後ろから魔力を感じて慌てて振り返ったら冒頭の状態になったんだった。
・・・うん。これ私関係ないよね?相手も私見て驚いてるみたいだから私がいるのは予想外だったんだろうし。転移魔法は一度行った事がある場所に移動する魔法だからこの不審者は前にここに来たことがあるんだろうね。そして前にいなかったはずの私がいたから驚くのも当然だよね。まぁ,それはともかく私には関係ないし,明らかに怪しくて面倒ごとっぽいから関わりたくもないしさっさと奥に行って寝ようっと。そう決めて私は奥に行こうとした。
行こうとした,行こうとしたのに何で攻撃魔法を撃ってくるかなぁ・・・。
何で敵意のない相手にわざわざ攻撃するんだろう?何で実力差が分からないの?え,馬鹿なの?それともまさかの自殺志願者とか?フェンリルって世界に存在している事じたいが稀らしくて存在を知ってる人間ってほとんどいないらしいんだよねぇ。だからこの不審者は私が神獣とは知らずに攻撃してるんだろうけどさぁ,明らかに私の方が強いじゃん。ほんと何で分かんないのかなぁ。めんどくさいなぁ。あ,ちなみに今私はずっと魔法障壁を張って不審者の攻撃を防いでます。魔法障壁は込める魔力量で強度が変わるんだけど,私の魔力って有り得ないくらい多いから余裕で不審者の攻撃を防げてます。あ,そうそう,何か私以外のアルジェントの生き物は神獣も含めて皆この魔法を結界って言ってるらしいけど本当はさっき私が言った魔法障壁が正しい名前らしいよ。そんな豆知識みないなものも知識として入ってる必要あるのかな?って言うかフェンリルって皆生まれながらこういう知識があるのかな?それとも私だけ?気になるけど他にフェンリルはいないらしいからなぁ。
「くっ,何なんだこいつは。結界が張れる銀色の巨大な狼なんか知らないぞ。しかも,この俺の魔法を防げるほどの結界だなんて!」
あ,やば,忘れかけてたけど,そう言えば今不審者の相手をしてたんだっけ。それにしてもこの不審者かなりの自信家だな。まぁ,人間にしてはかなり強い部類っぽいから当然かもしれないけど相手との実力差が分からないようじゃなぁ。うーん,雰囲気的にこの不審者,犯罪者っぽいよねぇ。抱えている男の子は貴族の息子とかでこの不審者改め犯罪者が誘拐してきたってところかな。犯罪者から攻撃してきたんだし良いよね?うん,良いよね!
「見逃してやろうと思ったが,我に仇なすというならばそれなりの対応をさせてもらおう」
今の私は神獣のしかも最も強いフェンリルだから少しそれっぽい話し方にしてみたんだけど,この話し方結構楽しい!うん,これから誰かと話す時はこれでいこう。あ,犯罪者は私が話した事に凄く驚いた顔をして消えていきましたよ。ちなみに消えたって言っても死んだわけじゃないからね?ただ,魔力の痕跡をたどって犯罪者が転移してきた元の場所に強制転移(魔力量が相手の倍以上ないといけないからほとんどの人は出来る人は少ないらしいよ)させただけだから。体を捕縛の魔法(魔法封じの効果付き)で動けないようにしてからだけど。あと,少年はここに残してます。最初は一緒に変えそうと思ったんだけど,どうやら街中ではあるみたいだけど建物の中から転移してきたわけじゃない事が痕跡をたどった時に分かったんだよね。そんな所に転移させたらまた,誰かに攫われるかもしれなからね。それじゃあ,折角助けたのに意味がないからここに残したんだよ。この子は今日は一先ず一緒に寝て明日目が覚めてから家に帰してあげようっと。それじゃあ,おやすみー。
折角のファンタジー要素である魔法の扱いが適当。しかも戦闘もろくにしてないという・・・。いや、でもユエは強すぎてまともな戦闘とかにならないんです。仕方ないんですよ。言い訳ですけどね!!