異世界にきて一番心配になったこと
「起きたか?」
目を開けると知らない男のひとがいた
しかもめちゃイケメン。
それは作り物のようで神様の最高傑作といわれても信じてしまいそうなぐらいきれいな顔だった
「・・・誰?」
いつもの僕なら蹴り飛ばしたり殴ったりするだろうけれど寝起きで息を呑むほど美しい顔にのぞきこまれて普通にきいてしまった
「誰って・・・あぁ、ディーだよ」
彼はどこかで見たことのあるようなきょとんとした顔をするとその綺麗な闇色の目を細くさせて笑った
「あぁ、そうなんだ」
この綺麗な顔のお兄さんがディーってことは変身できるんだろうなぁなんてなぜか普通に納得できる自分にディーは驚いていた
「なんで俺がディーだってしんじるの?」
「なんでって・・・ここは僕がいた世界じゃないんでしょ?んでわんこが喋るんだから変身したって不思議じゃないなって、魔霊術なんてものがあるくらいだし・・・」
そうでしょ?と僕が言うとディーは尊敬したようにすごい順応能力だなっと笑った
うっ、その笑顔は反則です。自分でも顔が熱くなるのが分かって顔をふせた
不思議そうな顔をしているディーをみるかぎりディーは天然さんなのだろう
なんか寝起きなのが恥ずかしくなってきた・・・
まぁいまさらだし恥ずかしがることもないか
自分の適当さに苦笑しつつディーに問いかける
「そういえばなんでディーが起こしにくるの?別に僕はいいけど女の子を男の人が起こすって言うのはどうかとおもうよ?」
「ごめんね、今メイドたち急がしそうで頼める感じじゃなかったしさ執事たちに頼むなら俺が行ったほうがいいかな?って」
誤っておきながら全然申し訳なさそうじゃないのはなぜだろう・・・
「それに早くサキに会いたかったしさ」
・・・やっぱ変更、天然じゃないあれだ天然たらしだ
ひいた顔の熱がまた熱くなった
僕は男の人に興味はないけどディーは顔が良すぎるのだ
ほんとに!顔が無駄にいいんだ!神様は不公平だ
ジトーと恨めしげな目で見てるとディーは勘違いしたのかご飯食べる?と聞いてきた
確かに少しお腹は空いたけどそれよりも今はお風呂に入りたかった
昨日地面に寝てしまったのにお風呂に入らないで寝たから気持ちが悪いのだ
「了解。じゃああがってから朝食にしよう、なにか欲しいものは?」
「んー、じゃあ着る物を用意して欲しいんだけど・・・」
「当たり前だよ、任せといて、気に入るものを用意しとく」
「あっ、違うの。出来れば男物を用意して欲しいんだけど・・・できれば動きやすくてゆったりしたやつ」
ディーの服をみたところお約束な王子様のようなものではなく普通のTシャツにジーパンだった
・・・それをここまで着こなせるやつはいないだろう・・・
たぶん服にこれとった大きな違いはないと思う
「ん?まぁいいけど・・・」
不思議そうな顔をしながらもディーはうなずいてくれた
僕は基本体を動かしてないと駄目なタイプの人間だからいつもゆったりした服を好んできている
女の子らしい服は可愛いとおもうけど僕は着たいとは思わない
「それでは待っておりますね、姫。」
ディーがふざけて僕にお辞儀をした
・・・様になりすぎてすこし照れたけどもう赤くなるようなことはない。慣れた
「えぇ、それでは御機嫌よう」
二人は顔を見合わせてプッと同時に噴出した
なぜかは分からないが昨日会ったばかりだというのにディーとは昔からの友人のように絡むことができる。
これなら異世界にきて不安になるなんていう王道パターンも無くてすむかもしれない
そして、僕は別にディーがいなくても僕なら「ま、いっか」ですむだろうなと苦笑いしながらお風呂にむかった
「あ、制服しわしわになってる・・・ここってクリーニングあんのかな・・・?」