もしかして・・・
「ここって・・・お城?」
僕の目の前にはいつの間にかあのネズミの国にあるお城の何十倍もでかい立派なお城があった
信じられない気持ちで、でももしかしたらという気持ちで問いかけた
「ねぇ、ディー・・・もしかして・・・今の魔法?」
「マホウ?いや、俺が今使ったのはテレポートだ。魔霊術と呼ばれるものだが」
マレイジュツ・・・地球にはそんなものがあるはずがない、ということはここは異世界・・・いや、でもそんなありえないことがあるはずないし・・・
でも現に僕は今テレポートという非現実的な経験をしたばかり
「サキの世界には魔霊術はないのだな?」
僕の困惑した表情をみてディーは確信して言った
でも僕の頭の中はひとつのことでいっぱいだった
今、ディーは「サキの世界」といったのだ
・・・つまり・・・やっぱりここは異世界なんだ
もしかしたらお兄ちゃんは・・・
「おい!サキどうした?」
「えっ」
「どうした?大丈夫か?顔色が悪いが・・・」
ディーが顔を覗き込んでくる
「あっ、ううん大丈夫、ちょっと気分が悪くなって・・・」
僕はディーの顔が見たくなくて・・・自分の顔が見られたくなくて顔をふせた
「・・・そうか、なら話はサキが落ち着いてからにしよう。サキの部屋に案内する」
「・・・うん。ありがと」
僕は動揺を隠すために笑顔の仮面をした
「あぁ、着いて来い」
■■■■■
ディーに案内された場所は想像どうり無駄に高級そうで無駄に広かった
「ふぅ・・・」
ディーにメイドをつけようかと言われたが一人になりたかったので断った
・・・つーかやっぱいるんだ・・・メイド・・・
一人で考えたいことがあったのだがここが異世界だと思われる場所だと意識して無意識に緊張していたようだ、一気に眠気が襲ってきた
「・・・少し寝よう」
僕は天井付きお姫様ベッドに倒れこむとすぐに眠りについた
・・・えぇそれはもうフッカフカでモッフモフで最高でした
■■■■■
・・・き・・・・さ・・・さ・・き・・・・・咲・・
・・・お・・兄ちゃん?
大好きなお兄ちゃんの声が聞こえて目を開けるとそこはどこまでも続くお花畑だった
・・・またこの夢か
僕のお兄ちゃんは3年前に神隠しになっている
それ以来僕はこのただお花畑にいるだけの夢をみるようになった
この夢をみていると気持ちが安らぐ・・・
まるでお母さんに抱きしめられているような気分になるのだ
お兄ちゃんはお父さんよりもお母さんよりもあのおじいちゃんよりも強くてとても優しかった
そんなお兄ちゃんが消えて僕のお母さんとお父さんは誘拐だと警察に捜査をお願いしたりしていた
結果お兄ちゃんは見つからなかったが・・・
しかし僕はお兄ちゃんが自分が望んで僕らの前から消えたと思っている
だってあんなに強いお兄ちゃんが誘拐なんてされるはずがない
それにお兄ちゃんは自分が消える1年ほど前から僕にフェンシング、剣道、ボクシング、柔道、、、あらゆるスポーツをやらせていた
僕は小さい頃からなぜか誘拐されやすかった
だから知らない場所にいたときの対処法なども教えてくれたんだと・・・
・・・さっきまでは思っていた