表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
仕方なく「イケメンで高身長な異国の王子様」を俺は演じる。  作者: 蓮太郎


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

17/29

出発前夜

「何だが緊張してきた・・・胸の辺りが重い。何かが居座ってる様な。」

零は、荷物を詰めながら項垂れている。

「大きいのが居座ってるからな。」

嘉隆は、胸元を見ている。

「ば、バカ!どこ見てるのよ!

・・・見たい?」


「・・・見たいけど、我慢している。」


「バカ。」

零は恥ずかしそうに胸元も腕で隠した。


「それはそうと、荷物多すぎないか?」

キャリーバッグをパンパンにしている零を見ながら、嘉隆は呆れ気味だ。

「女の子は色々入り用なの〜。」

零は、口をとがらせながら、パンパンになったキャリーバッグを閉じた。

「ふぅ。終わった。

嘉隆は、もう準備できてるの?」


「うん。多少カバンに荷物は積めたんだが・・・零達には悪いけど、俺はサイフとスマホ持って帰れば何とかなるんだよな。」


「まぁ羨ましい。久しぶりに荷物持ち復活させようかな。」

零は、目を細めた。


「いいぞ。というか最初からそのつもりだし。」


「いいよ。自分で持つ。」


「たまにはいいだろ?

別にそれくらい苦じゃないし。」


「ありがとう・・・じゃあ明日はお願いしようかな。」


「任せろ!」

嘉隆は頼られて嬉しそうだ。


「うん。」

零は、嬉しそうに、ベッドにもたれて座る嘉隆の横に座る。

「零。」


「何?」


「近い。というか、くっついてる。」


「うん。」


「うんじゃない。」


「いいでしょ・・・明日からしばらく二人きりじゃないんだし。」

零は、嘉隆の腕に絡みついた。


「・・・まずい。まずいよ?」


「がんばれ。」

零は、居心地が良さそうに、嘉隆の肩に頭を置いた。


「・・・今日だけだからな。

・・・ごめんな、零。

俺の気持ちも分かってほしい。」


「うん。分かってる。だから毎日我慢してます。」


「ありがとうございます。」


「私も、ありがとうございます。

大切に思ってくれて。」


「うん。大切に思ってるよ。」


二人はゆっくり流れる時間を堪能するように、無言でしばらくくっついていた。


零は不安そうな顔で口を開く。

「私、嘉隆のご両親にどんなふうに思われたかな?

ハーフだし、見た目派手だし。

こないだテレビ電話した後、初めて普通が良かったって思ったんだ。」


「普通がいいのか?零はハーフで見た目派手だけど、中身も普通とは言えないけど、普通じゃないから・・・俺は好きになったんだと思うぞ。

初めて人を好きだと思った。

零は、自信を持てばいい。」


「・・・それ、褒めてる?

ふふっ。でも嬉しいよ。

私も嘉隆が大好きだよ。」


「・・・ダメだ。」

嘉隆は、大好きと言われてこらえきれなくなった。気づけば零を抱きしめてしまっていた。

「嘉隆?」

「今日だけ。」

「うん。今日だけ。」

零は、嬉しそうに微笑んだ。


嘉隆は、腕の中の零に静かに囁く。

「零。」

「何?」

零は、照れた様な、嬉しい様な、初めて見せる雰囲気で、嘉隆に問いかけた。


「母さんからさ、テレビ電話の日から毎日電話かかってくるんだ。

零と居る時は無視して、帰ってからかけなおしてるんだけどな。」


「ふふっ。お母さん可哀想だよ。」

「でも、毎日、毎日、零と話したいってうるさいんだよな。

心配しなくても、母さんも父さんも零に会えるのを楽しみにしてる。」


「そっか。私もそれを聞いて楽しみになってきた。」


「良かった。」

嘉隆は、零を抱きしめた腕をほどいた。

二人は向かい合って、見つめ合う。


「もう、終わりですか?」

零は、寂しそうな顔をする。


「・・・じゃぁ、もう少しだけ。」

嘉隆は、零をもう一度抱きしめた。

今度は、零も嘉隆のに腕を回して、優しく力を込めた。

「これ、まずかったかも。

幸せ過ぎてクセになりそうだ。」

嘉隆も、後悔と、幸せを感じながら零を抱きしめた腕に優しく力を込めた。


「そうだね。私は毎日でもいいよ。」

「うん。毎日したいな。」

「がんばれ、嘉隆。」

「がんばるよ・・・これは今日だけな。」

「うん、今日だけ。」


二人は、幸せで胸がいっぱいになった。

「充電できたか?」

嘉隆は、零に問いかける。

「うん。充電完了。」


二人は名残惜しそうに腕をほどき、向かい合って見つめ合った。


「明日朝早いしそろそろ寝ないとな。」

嘉隆は、残念そうな表情で言った。


「そうだね。」


「じゃぁ、帰るな。」


「うん。」


「・・・。」


「どうしたの?」


「こんな時、恋人はキスしたりするんだろうなと思って。」


「うん。そうだね。

今度、恋人になるには。

について、討論しましょ?」

零は、これ以上はまずいと思って、冗談めかしく言った。


「ありがとう。ごめん。」


「うん。」

零は少し寂しそうに俯いた後、顔をすぐに上げた。

「討論、ホントにしようよ!

宿題ね。」


「あ、あぁ、考えとく。」


「うん。」

零は、満面の笑みで嘉隆を見た。


「じゃぁ、帰るな。

また明日。」


「うん。おやすみ。」


「おやすみ。」


いつもの様に、零は玄関で嘉隆に手を振った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ