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仕方なく「イケメンで高身長な異国の王子様」を俺は演じる。  作者: 蓮太郎


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13/29

おかしな試験結果。

「わー!この学校、こんなに人いたんだ〜。」

人混みを後ろからみながら、唯が呟く。


お疲れ会から何日か過ぎた。

掲示板に、試験の上位30名が貼り出される日。


いつもの6人は、順位発表を一緒に見ようと言う話になり、掲示板の前に来ていた。

前と言っても、人混みの後ろからは、まだ字が認識できない。


「そこのベンチで人が履けるのを待つか?」

嘉隆は、ベンチを指さした。

「そうだな。」

大和も賛成したようで、6人はベンチに座る。


「あー緊張する!私の名前あるかな?」

唯は、確かな手応えに、順位発表を楽しみにしていた様だ。


「お、俺も。少し期待してる。」

慎太郎も、あわよくば、第五席を夢見ている。

飛んで十五席。

未だに気にしている様だ。


残りの4人は、平然としている。

大和と真子は、全科目90点台後半。

嘉隆と零は、全科目満点。

その順位だけは、圧倒的に他と差をつけているだろう。

4人は、特にワクワクする事もなく人混みがはけるのを待っている。

そんな中、嘉隆は一人、外には出さない様にしているが、心の中はざわついていた。

(零、首席をどんな顔で喜ぶかな?)

ただその事だけを考えていた。


「おっ、空いてきたな。そろそろ見に行こうか。」

大和と真子が立ち上がると、嘉隆達も続いた。


6人は、それぞれの思いを胸に掲示板の前に立っている。


首席は、嘉隆と零。

三席、大和

四席、真子


八席、慎太郎



二十八席、唯


「・・・やった。やったー!零!見て!私、ニ十八位!零のお陰だよ!」

唯は嬉しそうに叫ぶ。

「唯が頑張ったからだよ。」

零は、唯に優しく微笑むが、何だが元気がない。


「よしっ。」

慎太郎は、静かにガッツポーズをしている。


「あー、また大和に負けたー。」

真子は悔しそうにしている。

「俺と真子はほとんど変わらないよ。やっぱり嘉隆と西園寺はすごいな。もしかしたらと少しは期待してたんだけどな。」

大和は分かってはいたが、と言う様な表情で少し落ち込んでいる。

「次は頑張ろ!」

真子は、大和を励ます様に腕にしがみついた。

「ありがとう、真子、次は俺達が首席を取れる様に一緒に頑張ろう!」

二人は見つめ会いながら、笑う。


そんな中、嘉隆と零は俯いていた。


(零・・・もしかして、俺の世話で疲れ果ててあの最後の問題を落としたのか?!)

嘉隆は、零が首席のはずなのに、掲示板に、貼り出された結果が、自分と零が道立の首席である事に戸惑いを隠せない。

(教師がキャパオーバーの問題を作ったから、間違えた回答が正解になった?

いやっ、違う。それなら、俺が首席で零がニ席になるはず。

これはどういう事だ。

やっぱり、零を疲れさせて、無理させてるのかな・・・・俺はどうすれば。)

嘉隆は俯いたまま考え込んでいる。


その隣りで、零も俯いている。


時を遡る。

試験最終日、最終科目。

シャーペンを持つ手を止め、零は考え事をしている。

(私は、首席に興味も執着もない。

ただ、前までは憎たらしいと思っていた嘉隆に勝ちたいと、思っていただけだ。

だから、報復したり、されたり・・・

今は・・・好きな人に一番でいて欲しい。そう思う。)

コツコツコツ。

コツコツコツ。


「零、うるさいぞ。」

「・・・ごめん。」

(怒られてしまった。

嘉隆は、私がこの問題を間違えれば、喜んでくれるだろうか。

よし、嘉隆に首席は譲ろう。

・・・嘉隆、どんな顔をして喜ぶだろうか?)


零。

零!れーい!

ハッと零は我にかえる。

唯が心配そうに零の顔を覗き込んでいた。

「す、すまない。考え事をしていた。」


「大丈夫?首席なのに嬉しくなさそうだね。」


「う、うん。少し考え事をしてた。」

(嘉隆は、最後の問題を間違えたのだろうか?嫌らしい問題と言えばそうだったが、嘉隆が間違えるとは思えない。

・・・も、もしかすると、私が付き合って欲しそうにいつもするから、嘉隆は疲れているのか?精神が疲れているのか?!・・・私はどうすれば。)

零は、気づけばまた、俯いていた。


「おーい!お二人さん。俯いでどうした?」


『何でもない。』

二人は同時に、答えた。


「そう、首席なのに俯いて、全くもって憎たらしいぜ!」

大和は、二人が何故落ち込んでいるか分からないが、励ます様に言った。


「教室戻ろうか。」

嘉隆は、零に話しかけた。

「う、うん。」


二人は、お互いに、落ち込みながらも、

相手に元気がないことが気がかりだった。

(今日の夜に聞いて見よう。)

二人は同じ事を思いながら教室へ歩みを進めた。

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