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播磨熱風隊―Passion, Innocence, and the Sky War―  作者: かがみひこ
最終章 熱風(ネップウ)
43/43

タイトル未定2026/03/14 19:20

エピローグ


この時代の少年少女たちは何もない。

夢がない。

希望がない。

目標がない。

しかし自ら持とうとしない訳では無い。

この時代の少年少女たちはそれが何なのかわからない。


夢がわからない。

希望がわからない。

目標がわからない。

それが自分たちにとって如何なるものなのか解らない。

だからこそ少年少女は必死に今を生きるのだ。


夢を知るため、そして得るため。

希望を知るため、そして得るため。

目標を知るため、そして得るため。


今日も熱風が吹いていた。



8か月後ーーー。

ここはかつて播磨と呼ばれた地。

ここで生きるものはどこからどこまでが播磨なのか、なぜここを播磨というのか、知るものは少ない。

”綾瀬機をカタパルトデッキに急がせろ!”

”オオルリは?フィードバックが出来てないってどういう事だよ?!”

ゼロ基地の格納庫では何時かの修羅場が今日も訪れていた。

あの連合の強襲作戦を潜り抜け、白鷺シェルターから最重要拠点指定を受けた第零区前哨基地は

有り余るほどの全面バックアップを受けた。

連合もあの日以来成りを潜め、第六前哨基地に関しては共同前線を申し出る始末である。

「柊、大丈夫かしら?」

「これから戦争に行くやつが妊婦の心配か隊長?自分の心配をしてくれよ」

コクピットで何度も同じ質問をする綾瀬に三宅はたまらず苦笑する。

自らの危険などそっちのけ、綾瀬は陣痛によって医務室に運ばれた柊の事が心配でならなかった。

「三宅、お前はどうなんだ?今日から親父だろう」

レオンがイヤミったらしく無線に割って入って来た。

「馬鹿っ・・・まあ、そうだな、何とも言えない気分だよ。実感がないっつーかなんつーか」

「三宅さんがそんな事でどうするんですか?一緒に出たホープのみんなも大丈夫かこいつって顔してましたよ」

三宅機の複座に座るひよりがコンソールを弄りながら呆れている。

「いやほら、だって俺だってまだまだガキだし・・・それにみんなの力を借りないと何にもなんねーつーかなんつーか」

三宅もこれから出撃というのにまるで気分はまるで上の空である。

「隊長より熱風隊全隊員へ、三宅は上の空に上がるそうよ。全員サポートしてあげて」

「「「了解!」」」

威勢のいい若い声が一斉に無線から聞こえてくる。

その数、手慣れ、ホープも含め総勢20人。

あの連合の一件以来、白鷺の防衛局は国家奉仕ユースプログラムを全面的に見直し家族・本人両人とも

手厚いサポート、なにより当人の意思を尊重・厳守するようになり親などによる

所謂身売りのような事は無くなった。

このゼロ基地も一度本人の希望を伺い転出希望を取ったが信じられないことに基地の全員が転出することは無かった。

それは基地そのものの重要性を最優先し、インフラ環境を再整備した小紫の功績と言って差し支えない。

外こそ灼熱であるものの、基地内は人が暮らすには必要十分なレベルに達していた故である。

”綾瀬。今、小紫司令官が出産に立ち会っている。安心して上がってこい!ついでに三宅も”

「俺は次いでかよ・・・」

カゲロウ各機がカタパルトエレベータに固定される。

”カタパルトロック完了、発進まで10秒前・・・9・・・8・・・”

「でも三宅のその気持ちも解らなくもないわ」

綾瀬がふと呟く。

「解らなくないってどういう事だよ」

レオンが笑いながら問う。

「なんていうのか気分が、そう沸き立つの。なんか嬉しいような不安なような・・・」

「なんだそりゃ、女の母性というやつか?」

”6・・・5・・・4・・・”

格納庫に残っていた工員が待避所に駆け足で移動しいつものように強化ガラスの向こうから声援を送る。

「違うわ。柊もそうだけど生まれてくる子供その子に、そう、なんていう感情なのかしら?

解らないけど、あ、もしかしたらきっとこの言葉ーーー」

”3・・・2・・・1・・・今!”


「”希望”を感じるのーーーー」


播磨熱風隊 出撃。


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