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播磨熱風隊―Passion, Innocence, and the Sky War―  作者: かがみひこ
最終章 熱風(ネップウ)
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最終章 熱風 #07

"ワザとかハーグマン?まさか戦闘狂のお前がその程度の損傷で戦前離脱というんじゃないだろうな?"

九十九ミサイルに襲われながらも空蝉隊はそれらを巧みにかわしていったがハーグマンの片翼は

黒煙を上げ爆炎による被弾を受けていた。

”許せ志麻・・・悪いが俺は抜けるぜ”

ハーグマンは旋回し、早々に作戦空域を離脱し始める。

”牙もへし折りゃれりゃ狂犬も大人しくもなるわな”

”もう空にお前の居場所は無いぜ。俺が代わってやるよ”

”やめろお前ら!・・・ハーグマン、計器を見て大きくぶれるようならもう一度消火剤を噴射しろ”

売り文句を言うベンや腰巾着を隊長はたしなめ、あくまでも隊長としてハーグマンを気遣う。

”・・・連合の連中を甘く見るんじゃない。あいつらのセンスは異常だ”

”忠告は真摯に受け止める。なんせ狂犬を大人しくさせる程の連中だ、何が飛び出すかわからん”

条がそういった矢先、一同のMHDに赤い警告が走る。

”ミサイルアラート?!機影はどこだーーーー”

ドォオオオオオオオン!!

ベンが叫んだとほぼ同時に、その機体は爆炎に包まれる。

”ベン?!各機旋回だ、フォーメーションを!”

”隊長、真下だ!あいつ・・・連なる渓谷をあのスピードと高度で抜けてきたというのか!?

狂ってるぜ”

条はデータを見て驚愕する。こちらの索敵レーダー網をスレスレの位置を維持しながら近づき

間一髪のところでミサイルを放ってきたのだ。

「よう、噂通りのキチ〇イのご登場だぜ」

空に一直線に舞い上がって来たのはレオンの登場するカワセミカゲロウだった。

”隊長機と同型だが、尾翼が黒い・・・前に黒い機体に乗っていたやつか”

「俺が隊長の右腕だ、よく覚えとけ。ここから先挨拶に行きたきゃ通行料払うんだな!」

レオンはベンを撃墜した後も獲物を狙うハイエナの如く次へと狙いを定める。

恐れを知らない勇猛果敢なレオンが狙うそれはもちろん、隊長機だ。

”くっ隊長、援護します!!”

”やめろ腰巾着、お前じゃかなわん!!”

志麻機に割って入るように腰巾着のシンキロウが飛び込み、シンキロウシステムを作動させる。

「相変わらず馬鹿の一つ覚えのジャミングか?時代はアナログ回帰なんだよデジタル坊や!」

レオン機は急減速して機首を大きく振り、ヨーを使い微調整すると腰巾着の真後ろに着きバルカンをマニュアル照準に入れた。

”ひっ、た、隊長、何とかしてーーー”

言い切る前に、腰巾着のシンキロウは穴だらけになり、爆炎が広がった。

”瞬く間に精鋭を二機もやるとはな、釣りは出るんだろうな?!”

「クレジットにペイもいけるぜ!」

条は瞬く間に仲間がやられたショックに憤慨した。

しかし、怒りをあらわにしつつも頭は冷静に状況を分析する。

条は志麻に両翼のLEDを点滅させ合図を送る。

”ーーー了解した”

「はっ、二手に分かれて自分を盾に先に行かせる気か?おい隊長さんよ、ずいぶん俺達の隊長に熱を入れているようだが

隊長と一番最初に寝た男は俺だからな?そこんとこ忘れんなよ?」

レオンは空蝉隊の動向をいち早く察知して相手を挑発する。

レオンならではの戦法ともいえるものであった。

”如何にもお調子者のお前がか?笑わせる、童貞がいかにも言いそうなことだ”

「・・・てめぇ今なんつった?」

”隊長は笑わせるなといったんだこのお調子者”

条は相手の挑発を志麻が受けないよう急ぎ割って入る。

「その後だ、童貞って言ったのか?この俺を?百人切りは超えているであろうこの俺を?!」

”聞いたか条?百人切りだってよ!ますます笑えるよこの童貞が!”

”フ、フフフ、フハハハハハハ!!!駄目だ、作戦とはいえさすがに笑ってしまうっアハハハハハ!”

レオンがムキになればなるほど二人はそれが面白く、思わず笑いが耐えきれなかった。

「てめぇら・・・熱風隊甘く見んなよオラぁ!!!」

経緯はどうあれ、レオンは空蝉隊を足止めする目的を果たせそうではあった。


一方、連合方面。

”エルドラド、あの後方の奴から叩きましょう。あいつがカラクリの現況の様だわ”

ビショップはそういうと機首を変え、オオルリカゲロウに狙いを定める。

”はーん、なるほどな。小波が突っ込むときにあの機体は赤い尾翼にレーダーを照射していたが・・・

どういう仕組みになってんだろうな?まあ連合が後から接収解析すればいい話か”

エルドラド・ビショップの二機のチカガミは多連装ミサイルのロックオンをかける。

「あれでマルチロールか?!恐ろしく早い・・・まるでファイターだ」

「分析は終わっています。あいつらのチカガミシステムは意味を成しません」

三宅とひよりはオオルリで綾瀬のサポートを主に担当予定であったがのっけから連合のファイター二機相手に

恐れおののく。

”やばいめちゃくちゃロックオンされてる!待ってて、そっちにUAVを回すからっ!”

柊はコンソールを弄り綾瀬機に割いていたUAVをオオルリカゲロウへと回す。

「駄目だ、あいつらがこちらに狙いを定めている時点で既にこちらのカゲロウシステムのネタは割れているはずだ。

なら出来るだけ俺達が囮にならなければっ」

ビィー!!

三宅が柊に制止を促した途端、ロックオンアラートが鳴り響く。

「この距離でか!?」「三宅さんっ!!」

”三宅機、ミサイル警告!回避せよ!ミサイル警告!”

三宅は改造された自身の眼球変わりとなるMHD装着の眼球式アイコンを巡らせ、迫り来るミサイルにめがけて

デコイフレアを無数に放つ。

その時間はわずかゼロコンマの世界。

ミサイルはフレアにより相殺されるがその爆風を追い風にするように二機が迫り来る。

その機首にトランプのビショップが描かれるミズ・ビショップ機。

その機首に色とりどりの煌びやかな宝石を描かれるエルドラド機。

”中々いい反応だ、生体強化か?”

エルドラドはけん制するかのようにバルカン砲を掃射する。

勿論当てるつもりなどない、狙いを定めるビショップへとおびき寄せているのである。

”中々いい動きよ、一突きで仕留めてあげるわ”

チカガミ・ビショップ機に搭載された世界でただ一つの兵装、超電導レールガン・レイピア。

”ターゲットロック!”

”オオルリ気を付けて!!直線状にトランプ柄の機体?!”

柊が叫ぶと同時にビショップの機体から一瞬の閃光が走る。

ダァアーーーン!!

「うううぉおお!!」

三宅が叫ぶが時すでに遅し、爆音と共に放たれた一瞬の閃光はオオルリを貫いた。

否、貫いたように見えたが・・・機体を滑るように逸れた。

”なんだと?!”

完全に仕留めたと思ったビショップは驚愕した。虎の子の一撃を受けて無傷なのだから。

”あれは、おいビショップ。あいつの機体は超電導だ、電導が覆っている?

そういう事か、それであの赤い尾翼の事も理解できた。あいつは周りの防御一式を担っているのか”

事態を傍から見ていたエルドラドは事の一部始終を見て理解した。

”そう、ならそれこそ勝機はこちらにあるわ。見てなさいよ・・・”


一方、綾瀬機もUAVを蹴散らしながら突っ込んで来る隊長・岩日の機体に悪戦苦闘を余儀なくされていた。

”綾瀬機、コード:GP3、実行!!”

「オオオオオオオ!!!」

綾瀬は叫び、岩日機に爆導索を放つも岩日はそれを華麗に交わし、綾瀬機に距離を詰める。

岩日だけではない、連合謹製のUAVもまるで獲物にまとわりつく蠅の如く綾瀬の周りを飛び回る。


「くそっ!」”綾瀬機、コード:M-Scatter、実行”

マイクロ連装ミサイルを四方八方撃ちまくる。


「このっ!」”綾瀬機、コード:coil、実行”

ファイター型UAVが連なるところに向けてに4連装レールガンを撃ちまくる。


「いいかげんにっ!」”綾瀬機、コード:Three by Three、実行”

フォーメーションを組む隊長機に向けて中距離連装ミサイルを放つ。


「ちくしょう!!」”綾瀬機、落ち着け!むやみやたらに撃っても当たらんぞっ”

綾瀬は機体背部のレーザーカノンを起動させる。


しかし、それも詰められた距離を多少引き離すだけで当てる事すらままならない、夕霧隊隊長・岩日機には。

”流石は大規模状況用兵装だな、飛行船のような機体には武器がわんさか積まれているわけか”

「・・・バレバレって訳ね。どうりで飛ぶ前から命狙おうとするなんて小汚い事をする連中だわ」

”あれは俺じゃない!!連中が勝手に仕組んだことだ!”

岩日はまるでレッテルを着せられたかのように感じ、それを全否定する。

”(ピピッ!)ーーーなっ?!・・・わかった。く、空を知らん堅物どもが”

「どうしたの、もう怖くなった?!」

岩日は管制から何らかのコールが掛かり渋い声を出す。

”ビショップ、エルドラド、距離を取れ、いったんフォーメーションを組み替える”

”・・・了解””ジジどもか、俺達だけでいいものの余計なことを”

岩日達夕霧隊は旋回し、いったんゼロ基地上空へと高度を上げた。

「・・・どういうことだ?」

三宅が不安げに声を上げる。

その時、柊から悲鳴のような声が上がった。

”な、なによこれ?!き、機体?戦闘機が固まりみたいになってこっちに向かってくるっ!?”

その時、侵入者を撃退した小紫や隊員たちが息も絶え耐えに管制室に戻ってきて

あるファイルを管制官、ゼロに渡す。

”・・・これは?!今向かっている奴なのか!!綾瀬以下、熱風隊。気を付けろ、今そっちに向かっている無数の機体はーーー”

聞き終える間もなく綾瀬はそれを肉眼で確認し、愕然とした。

「確認したわ・・・まるでサソリの様」

「なにあれ・・・嘘でしょ?!」

「どうやら覚悟を決める時が来たようだな」

「くそっ前門の虎後門の狼だけでも手一杯なのにな、そのくせ龍も来たってか?!」

ゼロ基地に目前に迫って来た空母”青天井”。

砂塵を大きく巻き上げ、地響きを鳴らし、その歩みを止めた空母。

そして牙を剝くようにその巨大戦艦の無数の砲門が開かれた。

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