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播磨熱風隊―Passion, Innocence, and the Sky War―  作者: かがみひこ
最終章 熱風(ネップウ)
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最終章 熱風 #05


”諜報部選抜隊より作戦本司令部へ、ゼロ基地での作戦は継続中・効果は有とのこと。甲は至急作戦行動を開始せよとのこと

繰り返す、甲はーーー”

「本当に大丈夫なのか?黒煙こそ上がっているもののあの熱風隊がいるゼロ基地がそう簡単に堕ちるとは思えん」

連合防衛省所属、夕霧隊・隊長岩日は愚痴りながらUAVや隊員全機を率いてゼロ基地へと向かう。

その距離は既に目と鼻の先まで来ておりそしてその夕霧隊のはるか後方では巨大な空母がうなりを上げ。

ーーー海から乗り上げ、地上をおびただしい砂塵を巻き上げ、うなりを上げてゼロ基地へと向かっていた。

「青天井を出すとはね、防衛省幹部も相当ゼロ基地を厄介者とみているらしい」

夕霧隊のサポート機・先に副隊長が搭乗していた多目的型チカガミに乗る青い瞳が輝く日系アメリカ人のエルドラドは

MHDに移る空母甲板のおびただしい数のUAVを見ながら心底呆れているようだった。

「何か不満なのエルドラド?私達はただ作戦を遂行すればいい、そうそれだけの事」

隊長の右腕である本名不明・人種不明・性別不明の麗しき顔のミズ・ビショップは兵装の最終確認をする。

「阿吽の奴が堕とされたとはいえ、どうも俺達が信用ならないと言われているみたいでな、虫唾が走るんだよ」

「虫唾・・・貴方は日系アメリカ人ですのに難しい言葉を使うのですねエルドラド」

「それは皮肉で言ってるのか?ミズ・ビショップ」

いつもの事なのか軽い口論をする二人を岩日は特に気にすることもなく電子戦機チカガミ・ジャマータイプの搭乗者

イーノにデータを送るよう指示する。

「隊長、熱風隊は土壇場で新型機を二機投入している。慣れてないとはいえ気を付けた方がいい」

「まさかこの期に及んで新型機とはな。新型配備の際は実地訓練を少なくとも200時間越えなければ実践投入

など論外だ。やはりゼロ基地は相当キレてるな」

岩日は鼻で笑う。

「でも隊長、気を付けて。熱風隊・・・特にあの女は何が飛び出すかわかったもんじゃないわ」

岩日の後方に付く副隊長・小波は歯ぎしりをしながら歯の日の悔しさを思い出していた。

「・・・小波が言うならそうなのだろう。油断大敵だ。わかったな、各機、気を付けろ」

「イエッサー」

普段は感情などあまり見せない小波を見て、岩日はよほどの事なのだろうと珍しく同情をした。

”管制塔、青天井より夕霧隊へ。現在ゼロ基地にてジェットエンジンの起動を複数確認した。会敵態勢を取れ”

「ほらみろ!諜報部の連中はヘマッたんだよ。あいつらは全員この世から解雇していいぜ」

「エルドラド、会敵態勢よ」

ミズ・ビショップは冷たい声でつきはなす。

「隊長、上空200フィートにて機影を機影を確認。複数のUAV、旧型のカゲロウ機が数機、後新型機が3・・・?」

「どういう事だ?」

「内の一機が明らかにデカい、測定に間違いがなければこれではまるで飛行船だ」

イーノはデータを見ながら怪訝な顔をする。

「ブリーフィングで言ってた噂のあれか?現行機に装着する特殊兵装群とかいうやつだ。

九十九とかGP3とかいうやつをよくわからん兵装を搭載する・・・」

話す間もなく、岩日は直接その噂のものを自らの眼で確認することになる。

「・・・ほう、噂以上だな」

「隊長、気を付けて。相手は熱風隊、何が出るかわからない!」

小波は眼前に移る異形の戦闘機に戦々恐々としている。

その時だ。

その飛行船のような機体が動きがあった。

ボディのいたるところが開口したのである。

「なんだ?!全機警戒せよ!」

「隊長、迎え撃ちましょう!本格的に動く前に堕とすんです!」

「焦るな小波!相手の出方を伺え、ロックオンアラートは来ていない!」

岩日は飛行船の一挙手一挙動を逃すまいと釘いるように見つめる。

(待て・・・)

「イーノ?!敵の高度はどうなってる?!」

「・・・飛行船以外は皆高度を下げてるわ!」

岩日はそのセリフに戦慄が走った。

「九十九とか言ったな・・・・・・・・99連ミサイルか?!全機散開!」

その時、本来聞こえないはずのあの女の叫び声が聞こえた。


同じく、遡る事同時刻。

ゼロ基地に向かう連合とは真反対に位置する第六前哨基地・ロック基地の夕霧隊一同も同じく作戦行動に移っていた。

狙うはもちろん、熱風隊を始めとしたゼロ基地である。

「で、隊長は結局どうするつもりなんだ?ジジイの言う通りゼロ基地の応戦に茶々入れて帰るつもりなのか?」

「まさか隊長に限ってそんなことは無いだろう。俺達はゼロ基地の連中に一度”ヤキ”入れられてんだ。

挨拶だけして帰れだって?!馬鹿馬鹿しぃ、なあハーグマン?」

条とベンのやり取りの中、話題を振られたハーグマンは顔を強張らせて恐る恐るいう。

「お前ら・・・今回は連合の奴らがいるんだぞ、解ってんのか・・・」

いつも強気のハーグマンは前回連合の一部とやりあった為かすっかり怖気づいている。

「ハーグマン、お前らしくない。頼むぜおい」

チームメイト頼りの巾着もいつになく弱気のハーグマンに感化されているようだった。

「わかったわかった、とりあえず落ち着けお前ら」

志麻は作戦空域に近づくにつれてレーダーに入らぬよう高度を下げ、他も後に続く。

「いいか?ブリーフィングの通り基本的に熱風隊と連合の夕霧隊の連中は相手にするな。

俺達はゼロ基地と連合の動向を伺いながらスキを見てゼロ基地の格納庫に特殊兵装をぶち込む」

特殊兵装ーーーそれは小型燃料気化爆弾だった。

現在ベンと巾着が搭乗しているシンキロウ機・多目的型の両翼に搭載している。

他の機も全てファイターとしての兵装を満載し、十分すぎるほどの戦闘能力を見せつけている。

「だがなーーー」

隊長、志麻は目を細めMHDに表示されている熱風隊の新機体の情報を鋭く睨みつける。

「状況が代われば話は別だ。その時は解ってるな?」

「マジかよ隊長・・・俺は付き合いきれないぜ、戦況が深刻になれば俺は抜けるからな」

ハーグマンは早々に帰り支度を宣言する。

「一体何があった?戦闘狂のお前がここまで丸くなるとは、連合ってのはよっぽどなのか?それともやはりアイツか?」

条は表情は変えずハーグマンの様子から並みの覚悟では務まらないことを薄々感じ取っていた。

「戦況が芳しくなければお前らは早々に離脱していい。俺はお前らを逃がす囮になるーーー」

「というのは口実で、やはり狙うのか?”赤い尾翼の女”」

ベンがわかったかのようにニヤリとする。

「当り前だ、どこの馬の骨ともわからん連合の奴らにやらされてたまるか。”最初”にヤルのは俺なんだ。

綾瀬にも約束している、予約済みだぜ」

志麻は声を荒げながら武者震いをする。

「まったく、これじゃストーカーだよ・・・っと隊長作戦空域到着5秒前・・・3・・・2・・・」

その時空蝉の管制官より無線が入る。

”空蝉隊、状況を開始せーーー待て、ゼロ基地より出撃機影を確認。UAV多数、カゲロウ機が・・・これは、どういう事だ?”

「空蝉隊より管制官へ、何があった」

どんな変化も見逃すことなく得ようとすぐさま志麻は無線越しに強く詰問する。

”カゲロウは二機確認されている、しかしながら新型と思しき機影はこちらがキャッチした一機のみ。

後は現行機が一機・・・だけだ”

「二機だけだと・・・?自身の基地の存亡がかかっているにもかかわらずか?」

条が当然のように疑問を投げつける。

”後、一機。ゆっくり上がってきた機体があるが飛行船のような大きさだ、なんだこれは?

これはこちらの収拾したデータには無い”

管制官も困惑気味で無線越しでも管制室が慌ただしくパニックになっているのがわかった。

「飛行船・・・だと?おい管制官、確か九十九とかGP3とか言ってたな。あれは新機体のコードネームで間違いないのか?」

”そのはずだ。だがこれはいったい・・・”

その時、ハーグマンが叫ぶ。

「隊長、前方だ!逆光でわかりにくいが、あれは!!」

「何だと・・・」

空蝉隊一同は唖然とした。

空を漂うひときわ大きい機体、歪でありながらもそれは紛れもなく金属でできた兵器で間違い無かった。

そしてその後方にはレーダーには捉えられていないが連合の機体も多く確認できる。

「どうするよ隊長?あれはヤバいんじゃないのか?」

巾着が恐れおののくのを気にも留めず、ゼロ基地から現れた予想外の機体に隊長はただ絶句していた。

そして見逃さない、その飛行船のような機体のあらゆるところのサイロが開くのを。

「ヤバい!!全員散開せよ!高度を下げろ!」

「これ以上下げろってのか?!それにまだミサイルアラートは出てーーー」

その時、志麻は聞こえるはずのない奴の叫び声が耳に飛び込んできた。


夕霧隊、空蝉隊共に忘れぬことの出来ぬ奴の声。混沌とした朝焼けの大空に奴の叫びが木霊する。

「「あたれぇえええええええ!!!」」

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