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播磨熱風隊―Passion, Innocence, and the Sky War―  作者: かがみひこ
第五章 報復(ホウフク)
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第五章 報復 ♯02

"ホープ3、エンジェル・ダウン!!繰り返す、エンジェルダウン!"

「ちょっと!三宅、何やってんの!」

柊が悲鳴にも似た罵声を無線で三宅に浴びせる。

「馬鹿う言うな!油断すればこっちが堕とされるんだ、ホープまで手が回るかよ!」

敵の猛攻はとどまることを知らなかった。

敵の勢力が収まりそうな矢先、UAVの増援が襲来したのである。

それだけではない、敵勢力はこちらのアームによる兵装交換を悟ったのかその行く手を阻み、

武器換装ができない状態だった。

勿論、B滑走路にもUAVが数機飛び回り、その行く手を阻む。

「まさか・・・な」

レオンは増援部隊を見て思わず洩らした。

「レオンさん、どうしたんです?」

春野がUAVにターゲットマーカーを合わせながら尋ねる。

「カラスで敵陣営に情報を盗みに行った時があったろう?そこからどうも雲行きが怪しい。

まさかとは思うが、これは報復か?」

「という事は向こうもこちらの情報を周知しているという事になりますよ?」

春野は不安に満ちた顔をする。

「どうだろうな・・・盗んだ情報も白鷺にダイレクトに入ってこっちには寸分も回ってこない。

なんにせよ、この修羅をくぐらんことにはなっと!」

レオンは急上昇して旋回し、自機の背後についていたカゲロウ”もどき”のケツにつく。

「ほら喰らえもどき野郎!」

バシュン!

”カラス機、コード:Three、実行!”

カラス機の放った短距離ミサイルがもどきを狙う、のだが。

ピッピッピーーー!!

カゲロウもどきの背後の空気が一瞬にして揺らぎ、視認不能になる。

短距離ミサイルはその制動を一気に失い、地へと落ちていった。

「カゲロウシステム?!」

「カラスよりゼロへ。たった今敵カゲロウもどきがカゲロウシステムのようなものを使った。

要確認を求む」

”ゼロよりカラスへ、こちらでも確認した。こちらのカゲロウシステムよりきわめて限定的な効果であるが

相手の背後に付くときは注意するんだ。あまり近づきすぎるな!”

無線から聞こえる司令官の声があわただしい。

事実確認の調査に入ったのであろう。

「参ったぜ、神谷隊長。聞いた通りだ、相手は限定的だがカゲロウシステムを使う」

「ああ、こちらも今確認した。だが幸いにも奴らの兵装は鞆しいようだ、

既に数機はホープみたいに飛び回るだけになっている。とりあえずUAVの数を減らすんだ、こいつらは自爆もいとわない」

神谷は巧みに動きカゲロウもどきをあしらいながら増援部隊のUAVを撃墜していく。

その時だ。

ビービービー!!

「ロックオンアラート?!まさか、あのもどきが?!」

神谷のMFDに警告が走る。

「くそっ!柊、神谷の援護に行けるか?!」

「行けるわけないでしょ?!もう既にテンパっちゃってんだから!」

柊もホープにまとわりつくUAVを追いそれ所ではなさそうだった。

そして、その時は訪れる。

ビィイイイイ!

「くそっ!撃ちやがった!!」

”神谷機ミサイルアラート!回避せよ!”

「間に合えええええ!!」

神谷機は出力を全開にし急速旋回するがミサイルは瞬く間に距離を詰める。

「!!!!!!!!!」

神谷が息を飲み、覚悟を決めたその時だ。

ダーーーン!

ミサイルは側面より迫る波動に撃ち抜かれ、爆破、飛散した。

「・・・・・・助かった、のか?」

神谷がレーダーを確認すると、その方向から未確認飛翔体が急速接近してきた。

レーダーのシルエットがやがて友軍表示される。

「あ、綾瀬ぇぇぇぇええええええええ!」

神谷は思わず叫んだ。

「待ってたぜバイオレンスお嬢様!」

「ふくたいちょ~」

「遅いわよ副隊!」

「真打ち登場!」

チームの面々が口々に歓喜の声を上げる。


「遅くなったわね、綾瀬機参戦します。播磨熱風隊!!」

綾瀬の号令とともにチームは息を吹き返すかのような軌道を取った。


「早いな!カラスのデータが即席とはいえフィードバックされている。レスポンスも良い。

あの挙動は電子イコライジングの賜物だな」

レオンは空を駆け巡る綾瀬機を見て感嘆の声を漏らす。

「綾瀬、B棟滑走路付近を飛び回るUAVを何とかしてくれ。これじゃあ兵装を受け取ることが出来ない」

「アームを使うのね、わかったわ」

綾瀬は急速旋回し、滑走路へと急ぎ向かう。

UAVは接近する綾瀬機を察知したのか、すぐさま軌道を変え綾瀬機を迎え撃とうとする。

「来なさいよ!見せてみなさいカワセミカゲロウ!」

綾瀬機は操縦桿のセーフティーカバーを親指で跳ね上げると副兵装が起動する。

「マワレェえええええええええ!」

ダーン!シュルルルル!

”綾瀬機、コード:GP3、実行”

カワセミカゲロウから歪なミサイルが二発、尾を引いて発射される。

そのミサイルはコードのような導線を引いておりB滑走路の上空で交錯するように飛び回る。

そのミサイルの導線にUAVが接近したその時である。

バァアアアアアアン!

導線は連続して起爆して凄まじい爆熱を吹き出し、複数のUMAは撃墜される。

「ひぇえええええ、なんだあれ?!」

遠巻きで見ていた三宅が思わず恐れおののく。

「ゼロへ、これでいけるわね。兵装を出して、三宅、ぼさっとしない!」

「あ・・・ああ、任せとけって!ゼロ、トラックを出してくれ!早く!」

”よし、兵装換装したトラックを滑走路に出せ、ついたら運転手はすぐに逃げろよ!”

海堂が周りに取り急ぎ支持をだし、基地からトラックが難題も飛び出してくる。

”三宅、好きなの持っていけ!アームから兵装データを取得して使えるはずだ。A滑走路も落ち着きを取り戻した。

補給に入れる機体はすぐにこい!”

境が各機にコールを入れる。

待ってましたといわんとばかりに三宅機は一発でアームによって兵装を回収し、他の機体も難を逃れる。

だが、いまだにカゲロウもどきが2機程残っており、ゼロ基地への焦土作戦を実行しようとしびれを切らしていた。

「綾瀬、頼めるか。俺はバルカンが20%しか残っていない」

「わかったわ。大丈夫よ神谷、20%残っていれば十分。熱風隊とドッグファイトするとどうなるか

思い知らせてやりましょう」

綾瀬は新型機が予想を上回るほど相性がいいのか自信に満ち溢れている。

「さすがだな、付き合うぜ綾瀬!」

神谷機と綾瀬機は出力を全開にしてカゲロウもどきの尻を追いかける。

カゲロウもどきが出力を上げようとしたとき、前方からの機影にロックオンが入った。

「新型ばっかりに星を上げさせてたまるもんですか!私のマイクロミサイルもまだまだいけるんだから!」

柊機がその牙をむき出しにして迫ってくる。

カゲロウもどきは上昇しようと機首を上げるとそこには黒い影が。

「そ、そうはいきませんよ!」

「またあのストレートをもらう訳にはいかんからな」

カラス機が短距離ミサイルの狙いを敵機に定めていた。

たまらず降下しようとするとそこには兵装を得たばかりの三宅機が上がってくる。

「よう、出迎えご苦労!俺の”これ”が欲しいみたいだな!この好きもんが!」

しかし、八方塞がりになろうともカゲロウもどきは諦めない。

二機は連携し、尾翼の辺りの空気が揺らぎ始める。

「カゲロウシステム?!」

春野が戦々恐々と状況を伝える、がしかし。

「何のための有人だと思ってんだ!なあ綾瀬!」

「なめんじゃないわよ!あたれぇぇぇええ!!」

ダラララッラララララッラ!

”両機バルカン掃射開始・・・10パーセント、5パーセント・・・”

ダンっ!ドーーン!!!

”2パーセント、バンディット・ダウン。さすがだな播磨熱風隊!”

ゼロ基地を脅威に陥れたカゲロウもどきは火柱を上げて墜ちてゆく。

他のUAVも残りの手慣れ勢が仕留め上げ、ゼロ基地の空は晴れ渡った。

”敵影無し、脅威レベルゼロ。ターゲット・ニュートラライズド、全員よくやった。本当によくやった!”

海堂が歓喜の声を上げ、そこにいた一同が全員つられ喜びの声を上げる。


”お帰り、綾瀬。苦労かけたな”

「ええ、ただいま。後、ちょっといいかしら」

綾瀬は呆れたような声を出してゼロに問いかける。

”どうした?”

「後ろで伸びている人運びたいから。ついたら人よこして頂戴」

綾瀬が後ろを軽く振り向くと、そこにはすっかり気絶しまっている小紫監査官がいた。


「まったく・・・現場に着いて早々のびてんじゃないわよ」

綾瀬は呆れていたが久しぶりに心から笑ったような気がした。

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