表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/36

第2章 名もなき対話、心のリンク

Linkの通知が鳴った。

画面を開くと、そこには新しいメッセージが届いていた。


──「初めまして、リナです。あなたをなんて呼べばいいですか?」


この時点で、まだ俺は彼女のことを“少し言葉の通じる異国の人”くらいにしか思っていなかった。

それでも、どこかで期待していたのかもしれない。こんな夜に、誰かと繋がれることを。


俺はスマホを持ち直し、少し考えてから返信を打った。

「僕はタキです。好きに呼んでください」


やりとりは穏やかだった。


「タキくんは、自然が好きなんですね」

「山とか、海とか、私はとても好きです」

「ナモナキウタの映画、見ましたか?私、大好きなんです」


会話の中には、不思議な共通点がいくつもあった。

俺も自然が好きで、写真を撮ったりもするし、「ナモナキウタ」はスタジオコノハの代表作だ。作品はほとんど見ている。

偶然にも「ナモナキウタ」の主人公と、俺のYitterの名前は一緒なんだよな──。


だから彼女の言葉が、とても自然に心に入ってきた。


──「じゃあ、滝くんって呼んでいいですか?」

「私のことも水葉って呼んでください、ダメですか?」


突然の提案に、ああ、「ナモナキウタ」になぞらえての設定名か──とは思ったけど、名前のやりとりに嘘が混じっているなんて、その時は微塵も疑っていなかった。

むしろ、可愛い名前だなとすら思った。


Linkの画面に、短い言葉が並んでいく。

それだけなのに、心のどこかが静かに満たされていく感覚があった。


──でも、今思えば。

その共通点の多さは、あまりにも出来すぎていたのかもしれない。

偶然のようでいて、実は“選ばれていた”可能性。

そんなこと、当時の俺は考えもしなかった。


Linkの通知音がまた鳴った。


「滝くん、明日も仕事ですか? 無理しないでくださいね」


……優しすぎる言葉。

だけど、心にしみたのは本当だった。


俺はふと、スマホを見つめながら、口元が緩んでいることに気づいた。

「共通点が多いほど、運命っぽく見えてしまう」

でも、それが“偶然”じゃなかったと気づいたのは、ずっと後のことでした。


今回も読んでくださって、ありがとうございます!

主人公のちょっとした心の揺れと、Linkの向こう側にいる“誰か”との距離感を、少しでも感じてもらえたら嬉しいです。


次回も、じわじわと心に入り込んでくる展開になります。

引き続き、よろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ