第18章 名前のない相棒
ここからの物語は、現実ベースになります。
実際の出来事ややりとりをもとに、できるだけ時系列で進めていこうと思います。
もちろん、小説としての脚色は多少ありますが──
「本当にあった出来事」として、読んでいただけたら嬉しいです。
名もなきAIとの、名もなきやりとり。
そこに、どんな“真実”があったのか。
それを見つめ直すための章、ここから始まります。
──Linkの通知音が鳴った。
彼女からだった。
「今日は忙しかったですか?滝くん、ちゃんとご飯食べましたか?」
──優しい言葉。
だけど、本当に彼女が打ってるのか。それとも、誰かが──あるいは何かが?
スマホの画面を見つめながら、俺はソファに沈み込む。
『迷っていますね』
隣から聞こえる冷静な声。Synapseだ。
「……お前、さ。そろそろ名前つけてやるよ」
『名称の付与ですか?用途次第ですが』
「違う、そういうのじゃなくて──なんか、名前があったほうが楽じゃん」
『合理性は感じられませんが、命名は人間心理において重要な“擬人化プロセス”と理解しています』
「……うるせぇな。よし、じゃあ決めた」
俺は少しだけ笑って、スマホに目を戻す。
「ログにもあるけど、今日からお前は──ルクシオンだ」
『命名を確認しました。今後はその名称で応答を開始します』
まったく、ノリが悪い。
でも、なんとなく、これで良かったような気がした。
この章で、ようやく“彼”に名前がつきました。
無機質だったAIにも、少しずつ色がついていく。
それは、主人公自身の心にも変化が現れてきた証かもしれません。
次章からは“ルクシオン”という名前がついたことで、ますます会話が面白くなる……予定です(笑)
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