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カツカレーチャーハン

 ガチャ、ガサガサ…

 おれは埃まみれのクローゼットを漁った。屈んで両手で物を漁るおれは、まるで土の中に潜る土竜のようだ。

「お、見つけましたよぉ〜」

 今時見かけなくなった白くてちょっと大きくて重いデスクトップ、そして最新機種とは比較にもならないくらい画質の悪いモニター。クローゼットの奥の奥で、他の物が覆い被さっていたためそこまで埃が被ってなかった。

 コードを引っ張り出して、繋げて、キュイーンという起動を横目にマウスを接続。ちょっとワクワクしてきた。

「じゅんペーい、一旦降りておいでー」

(ちっ…今ちょうどいいところなのに…)

そういえば夕暮れ時だった、もう飯ができてる時間だったな。パソコンを出すことで頭がいっぱいだったから、ド忘れしていた。

「聞いてんのかぁ!」

(妹がもっとうるさくなる前に降りておくか……)

妹はおれのことが気に食わないのか、帰ってきても、ひきこもり!だの、おい!とか、おれに対して口が悪い、本当に。

 下のリビングに降りてテーブルを見たが、何かおかしい。

「母さん、おれが座るとこは?」

「おめえに座るとこなんかねえよ!」

「ちょっとちょっと陽菜、それは言いすぎよ…」

(久々に帰ってこれは…凹みますねえ…)

「ほらじゅんぺい、台所に折りたたみの椅子があるから取っておいで。」

「うーい」

 

 今日は紫たまねぎのサラダと、ロールパン。そして、カツカレーチャーハン……ああ、実家が恋しくなった時よく作って食べてたなあ。21で大阪に出て、安いワンルームの部屋で暮らしてたとき、寂しくなったときとか、仕事で気合い入れたい時にお世話になった。あれを食ってた時は本当にイキイキ元気に生きていたと思っている。

 しかし、いまのおれにはやる気の「や」の文字も、イキイキさない。顔のシワと、所々に生えている白髪がその時の流れを物語っている。

「どうしたのじゅんぺい、ずっと固まってるけど。」

「あ、ごめんごめん。」

やっぱり昔のことを思い出すと、ボーッとしてしまう。きっとみんなもそうなんじゃないかな。カツカレーチャーハンをスプーンですくう度に、中学や高校の友だちと遊んだ記憶や、勉強した思い出が蘇る。だから、時々僕の右手が止まって、食べなきゃと思って口に入れて、噛んだら噛むごとにまた思い出してボーッとして……

「あんた、認知症にでもなったの?」

「い、いや……」

「ぎゃはははwww図星じゃんwww」

(こいつ何も考えずに食ってそう…)

「そういえばじゅんぺい、どうして急にここに戻ってきたのかしら?」

「ああ、それは……」

それじゃあ、まったのぉ!!(続く)

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