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カラオケ屋さんのレッドちゃん  作者: 深田おざさ
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上原舞夏と赤羽千秋(2)

 放課後、下駄箱で友達と別れた舞夏は千秋を待っていた。おっそいなー、帰る時千秋の方が絶対早いのに。

「おまたせ!」千秋が走ってきた。

「ちー、おっそいよー」

「明日からテストでさ、それの説明で長引いちゃった」

「明日からテスト?大変そうだわ、特進」

 中学時代、まじめに授業に取り組んでいた千秋とさぼり癖のあった舞夏が同じ高校に通えたのは、普通クラスと特進クラスがあるからだった。特進クラスは難関大学合格者数が毎回クラスの3割を超す、優秀なクラス。一方の普通クラスは勉強もそこそこで、特進に言わせれば「やんちゃ」なクラスである。実際、校則を守っている普通クラスの生徒は2割ぐらいだ。舞夏の白いセーターと鮮やかなピンクで染まったボブヘア、耳に付けた銀のリングも校則違反である。


「赤羽さん、ちょっといい?」靴を履いたところを、後ろから呼び止める声。男だ。

「あ、山田くんだ」千秋の知り合いらしい男にガンを飛ばす舞夏を横目に、千秋は男に歩み寄る。

「明日のテストのことでさ、さっき先生が言ってた―…」

 舞夏は山田とやらと話す千秋をジーっと見つめる。身長は150センチくらいで、肩くらいまであるまっすぐな黒髪が彼女の輪郭を際立たせている。いかにも校則通りの生徒、という感じなのだが、決して静かなタイプではなく、男女構わずに明るく接していくその姿を、嫌いになれる人はほとんどいないだろう。

「ちっ」舞夏は彼女たちに聞こえない程度に舌打ちをした。うちと千秋で帰ろうとしてたとこ見ただろーが、おい山田てめぇ。いつまで待たせるつもりだ。心の中で愚痴を吐く。ちーはあの性格だから、ノリの分かる男子なら何にもなんないんだけど、ああいうあんまり女子と接したことのないようなヤツは勘違いすんだよなー。

 山田と笑いながら話している千秋をみて、舞夏は思わず目線を外す。靴を見て、コンクリートの隙間にある小さな石を足で転がす。高校で男子と話してるちー見たのはじめてかも。こう見るとなんか小学校とか中学の初めの頃と違う気がする。


「じゃあまた明日ね山田くん。テストがんばろ!」

「う、うん。ばいばい」

 3分ほどで会話を切り上げた千秋が舞夏のもとへ戻ってくる。舞夏は山田の後ろ姿を一瞥して千秋に不満そうな顔を向けた。

「ちー、あの男はダメだよ。勘違いしてる」

「まーたそういうこと言って。そんなんじゃないって」ないない、と千秋は笑う。

「だいたい山田くん、彼女いるって言ってたし」

「ほんとかなー」

「それよりほら、11号室行こうよ!」

「げっ」そうだ、そういえばそんな話になってたな。

「いくぞっ、おー!」

「ちー、うるさい」舞夏の腕を掴んではしゃぐ千秋を見て、やっぱあの頃と変わんないな、と思いつつ、舞夏は力の抜けた注意をした。向かうは11号室である。

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